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学術会議総会、政府に「改悪法案提出やめ議論を」の「勧告」全会一致

2023年04月21日 | 国際・政治
■日本学術会議が総会で政府への「勧告」全会一致で採択
 
日本学術会議は4月17、18の両日、東京都内で総会を開き、政府に対し、今国会への学術会議法改悪案の提出をとりやめ、開かれた議論の場を設けるべきだとする「勧告」(※1)を出すことを全会一致で決めました。


■「声明」より強い意思表示、18年ぶり

日本学術会議法では、学術会議は科学的な事柄について「政府に勧告することができる」と規定しています。この「勧告」は政府に対して実現を強く勧めるもので、これまで学術会議が会員任命拒否問題や政府の法改悪方針をめぐって出してきた「声明」より強い意思の表出と位置付けられており、総会で決議した「勧告」を出すのは18年ぶりということです。細かい字句の修正は、幹事会での議論を経て梶田隆章会長に一任されました。

日本学術会議の梶田隆章会長は「『勧告』という形で表明する強い意思を、政府が真摯に受け止めることを期待する」と述べました。


■国民に向けた「声明」も表明

総会では政府への「勧告」とあわせて、国民に向けた「声明」(※2)も議論し、出すことを決定しました。当事者である学術会議との真摯な対話を欠いたまま、政府が法改悪方針を突然示した問題や、学術の独立性の意義、法改悪への危惧を表明するもので、「勧告」と同じく、細かい修正は梶田会長に一任されました。


■政府からの「介入」だと批判続出

内閣府が17日の総会で示した学術会議法改悪の条文案は、学術会議の会員・連携会員以外の第三者が会員選考に関与するために新設する「選考諮問委員会」の委員について、首相が議長を務める総合科学技術・イノベーション会議の議員と、日本学士院の院長と協議の上、学術会議会長が任命すると明記。さらに、法改正後3年と6年をめどに、組織のあり方を見直す法改正などを講じるとしており、会員からは、政府からの「介入」を危惧する声が多数あがっていました。


以下、「勧告」と「声明」全文を掲載します。(サイト管理者)


(※1)「勧告」は以下の通りです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【勧 告】 日本学術会議のあり方の見直しについて

令和5年(2023年)4月18日
日本学術会議


この勧告は、日本学術会議第 187 回総会において決定したものである。


標記について、日本学術会議法第 5 条の規定に基づき、日本学術会議第 187 回総会の議決により、下記のとおり勧告します。

            記

政府は、現在、立案中の日本学術会議法改正案の第 211 回国会(通常国会)への提出をいったん思いとどまり、日本学術会議のあり方を含め、さらに日本の学術体制全般にわたる包括的・抜本的な見直しを行うための開かれた協議の場を設けるべきである。

以上

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(※2)「声明」は以下の通りです。

【声 明】「説明」ではなく「対話」を、「拙速な法改正」ではなく「開かれた協議の場」を

令和5年(2023年)4月18日
日本学術会議


この声明は、日本学術会議第 187 回総会において決定したものである。


日本学術会議法にはこのような前文があります。

「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。」

これが昭和 24 年に設立された日本学術会議の基本的精神です。

第 25 期(2020 年 10 月から 3 年間)における日本学術会議の活動は、総理大臣による理不尽な任命見送り問題の解決への取り組みから始まりました。政府による任命見送りは、透明性を欠いた決定と言わざるを得ず、その理由も示されていない点で、最低限の説明責任も果たされていません。そして、今日にいたっても解決していません。このような状況の下ではありましたが、世界の変化が著しく加速しつつある 21 世紀におけるアカデミーの役割を改めて明確にするために、日本学術会議は自らの改革についても検討を開始しました。

その際、日本学術会議はアカデミーの本質的要件として 5 要件(①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政支出による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性)を提起し、今後のアカデミーの果たすべき役割、現行体制のもとでの日本学術会議の改革方策などを包括的に検討したうえで、2021 年 4 月に「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を公表しました。そして、ここに記した改革方策を着実に実行するとともに、科学技術担当大臣との対話も開始しました。

しかし、政府の考え方を示した方針の公表という当初の約束が果たされないまま、2022 年 8 月に担当大臣が交代し、その後、新たに日本学術会議担当となった大臣のもとでも政府方針は公表されず、実質的な対話のないままに推移しました。そして、2022 年 12 月に唐突に日本学術会議法の改正という政府方針が一方的に通告されたのです。

われわれは、何の対話もないまま突如政府方針が公表され、その後直ちに 1 月から始まる通常国会に法改正案を提出するというやり方は拙速であるとの声明を出し、改めて広く学術に関わる関係者を交えた開かれた協議の場を設けて、われわれの報告書も踏まえ、真に日本の未来の学術の発展のために必要な改革の方策について議論すべきであると主張してきました。しかしこの提案は一顧だにされず、内閣府の担当者から、今通常国会に提出を予定されている法改正案についての一方的な「説明」を受けるのみの状況です。われわれは法改正案の検討状況の「丁寧な説明」を求めているのではなく、日本学術会議がより良い役割発揮をするためにどうあるべきかについて「真摯な対話」を求めているのです。

われわれの懸念は、日本学術会議法の前文にあるように「科学者の総意の下」に設立された本会議に関する法改正案を当事者との真摯な対話のないままに内閣府が独自に策定するという手続上の正統性の問題に加えて、提案されている法改正案に含まれる選考諮問委員会の設置、中期業務運営計画の策定そして日本学術会議の存在自体を否定するかのようなフォローアップ方針などが日本学術会議の独立性を毀損する可能性があります(*1*2)。この点で、国内外の研究者や学術団体からは、日本学術会議が提起する懸念を共有する声が届いています(*3)。

17 世紀にヨーロッパ各国でアカデミーが設立されて以来、学術の健全な発展のためには時の権力や宗教の介入を遮断することが重要という認識がはぐくまれてきました。そしてその際に考えられていたことは、政府などの権力から独立し、自律的に発展する学術がもたらす多様な見解によって、われわれの社会や世界の理解が豊かになり、そのことを通じて人類の福利への貢献が期待できることでした。学術は学術固有の時間軸のもとで編み出された論理と判断によって正当とされる見解を生み出します。この独立と自律を旨とする営みとしての学術を社会の中に備えること、これは文明の作法ともいうべき事柄です。それゆえ、今回の日本政府の法改正によって、日本の国際的な評価や信頼が傷つけられるのではないかという懸念が生まれます。また、国内的にも政府と学術界の信頼関係を蝕み、研究力の低下を引き起こし、さらには学術が社会に貢献するという役割が損なわれるおそれがあります。

もとより、アカデミーの設立に際しては、それぞれの国の歴史や社会、法制度を踏まえたうえで、先に述べた 5 要件を実現していくことになり、その姿は多様になります。われわれは、この点も踏まえたうえで、日本における「より良き」アカデミーのあり方についての報告書を取りまとめ、その実現に取り組んでいます。このような考え方のもとでわれわれは政府に対して、今回の拙速な法改正の提案をいったん取りやめ、日本学術会議のあり方を含む学術体制全般の包括的・抜本的な見直しのために、幅広い関係者の参画による開かれた協議の場を設けることを求めているのです。今回の法改正を「日本の学術の終わりの始まり」にしてはならないと考えるからです。


*1: 内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』に関する懸念事項(第 186 回総会による声明に関する説明)(令和 4 年 12 月 27 日)
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-25-s186-setumei.pdf

*2: 2 月 16 日第 338 回幹事会における内閣府からの「検討状況」説明についての懸念事項
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/339-kenen.pdf

*3: 日本学術会議の在り方について(政府方針、懸念事項など関連資料)
※日本学術会議の在り方についての方針に対する声明一覧等を掲載しています。https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-20.html

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【出典参考】2023年4月19日付け「しんぶん赤旗」、「日本学術会議」ホームページ    https://www.scj.go.jp/index.html



【追加情報】法改正案、今国会提出見送り――きっぱり断念を!

なお、政府は4月20日、会員選考方法の変更を盛り込んだ学術会議改正法案を今国会で提出することを見送ることを決め、与党側に伝えました。

学術会議は、前述のように同法改正は、政府からの「介入」であり「独立性を損なう」と批判が続出。国内外のノーベル賞受賞科学者からも日本政府の姿勢に批判の「声明」などが寄せられていました(明日の当ブログで紹介)。18日の学術会議総会では、政府に法案提出の見送りを求める「勧告」を全会一致で決議、国民に向け「声明」も表明していました。

政府は今月28日に改正法案を閣議決定する構えでしたたが、学術会議の反発が強まる中で、自民、公明の与党内でも法案の審査が進まなかった。閣議決定が大型連休以降にずれ込むと会期末の6月21日までに十分な審議時間が確保できず、今国会での成立は難しくなるとの見方が広がっていたものです。

学術会議の全会一致での「勧告」が政府を追い詰めた格好です。政府は学術会議が指摘するように真摯な協議に応じるべきで、6人の任命拒否を撤回するとともに、学術会議の独立性を損なう法案はきっぱりと断念すべきなのは当然です。(サイト管理者)


【出典参考】2023年4月20日配信「朝日新聞DIGITAL」



※平和、いのち、くらしを壊す 大軍拡・大増税に反対しよう!
■署名用紙は下記「憲法共同センター」ホームページから
https://www.kyodo-center.jp/wp-content/uploads/2023/01/20230123shomei.pdf


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■署名活動はオンライン署名サイト「Chage.org」で行われます。
https://chng.it/YYVtM9Wr8G



※ #ロシアはウクライナ侵略をやめろ!



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(9条改憲NO!全国市民アクション)http://kaikenno.com/?p=1826
■これまで取り組んできた「安倍9条改憲反対!改憲発議に反対する全国緊急署名」に変え、新しい情勢に合わせた「憲法改悪を許さない全国署名」に取り組みます。
■ネット署名 
https://chng.it/R2YgNbLD
■署名用紙(プリントしてお使いください)
http://kaikenno.com/wp-content/uploads/2021/12/%E6%86%B2%E6%B3%95%E6%94%B9%E6%82%AA%E3%82%92%E8%A8%B1%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E5%85%A8%E5%9B%BD%E7%BD%B2%E5%90%8D.pdf


2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に! 
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を


※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://toda9jo.web.fc2.com/
*「とだ九条の会」ホームページは2014年11月24日、上記アドレスに引越しました。
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*「とだ九条の会」ブログは2014年11月10日、上記アドレスに引越しました。
■「とだ九条の会」ツイッターのアドレス
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