特別国会が始まりました。不当にも野党の質問時間が削られるという安倍政権の不誠実な国会運営の本質があらわになるなか、9条改憲についても野党の質問が始まりました。安倍晋三首相が目論む9条改憲の危険な問題点とはーー2017年11月26日配信「沖縄タイムス+プラス」社説から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)
※以下、転載はじめ↓
〈社説[9条改憲]キメラのような存在に〉
国会は20日から22日まで代表質問を行い、憲法改正に対する安倍晋三首相の見解をただした。衆院選後初めての代表質問で浮かび上がったのは、9条改憲を巡る慎重論、反対論の根強さである。
立憲民主党の枝野幸男代表は憲法9条への自衛隊明記について「専守防衛から大きく逸脱する」と批判、希望の党の玉木雄一郎代表も首相の改憲案に「違和感を禁じ得ない」と指摘した。
9条改憲に慎重な公明党の山口那津男代表は、憲法改正に触れず、首相も議論を避けるかのように立憲民主党や希望の党代表の質問に答弁しなかった。
自民党は来年の通常国会に自民党素案を提出する意向だという。だが、改憲の意味についても、波及効果についても、まともな議論はほとんどない。多くの国民が9条改憲に緊急性を感じていないからではないか。
安倍首相が打ち出した9条改憲案は、戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めた憲法9条の1項、2項を残したまま、新たに自衛隊を明記する-というものだ。
「自衛隊を明記するだけなので今と何も変わらない」という指摘もあるが、その考えは危険である。首相案には、自衛隊を明記するだけなのに9条が9条でなくなるというマジックが潜んでいる。
1項、2項を残したまま自衛隊を明記すれば、憲法前文と憲法9条に盛り込まれた平和国家の理念は著しく変質し、日本国憲法は「キメラ」のような存在になるだろう。
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ライオンの頭、ヤギの胴、ヘビの尾をもったギリシャ神話の怪物-それがキメラである。
集団的自衛権の行使を認めた安保法によって、自衛隊の行動は変質し、憲法9条は大きな痛手を負った。形骸化は否定しようがない。
しかし、防衛力整備や軍事力行使などに関し、9条2項が依然として一定の歯止めの役割を果たしているのも事実である。2項を残して自衛隊を明記した場合どうなるか。 「キメラ憲法」は政府解釈によって自衛隊がライオンにもヘビにも変貌する仕組みである。
自衛隊の活動に対する制約は弱まり、集団的自衛権の行使を認めた安保法の違憲性もかき消され、行使の範囲が拡大されるおそれがある。9条2項の死文化が間違いなく進むだろう。
「自衛隊を明記するだけ」の9条改憲は、ソフトで受け入れやすい印象を与えるが、及ぼす影響は大きい。
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敵基地攻撃能力の保有検討、非核三原則の見直し発言など、緊張が高まる北朝鮮情勢を背景に、政権や自民党周辺から防衛力の強化を求める声が相次いでいる。
安倍首相は日米首脳会談で「日米が100%ともにある」と明言した。
それを地で行くような、海上自衛隊による平時の米艦防護、米原子力空母との共同訓練、航空自衛隊と核搭載可能な米戦略爆撃機の共同訓練。
9条改憲と安保法は密接にリンクし、沖縄基地の機能強化の動きとも連動している。
【出典】2017年11月26日配信「沖縄タイムス+プラス」社説
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