ずいぶん長い間、このブログでは消費者物価指数の動きを追跡してきました。
世界中、物価が上がらないなどといわれた時期がありましたが、コロナの終息とともにアメリカ、ヨーロッパが、ロシアのウクライナ侵攻問題も絡み、原油の値上がりなどが原因で、賃金インフレを起こしました。
日本でも、賃金も上がらないけれど、消費者物価も上がらないから何とかなる国などといっているうちに物価が上がり始め2022年からは、賃金が上がらないこともあって、消費者物価上昇で毎月実質賃金水準が前年割れといった状況になって、それが25か月も続きました。
欧米の賃金も物価も8~10%上昇とは上昇のレベルは違い、日本は賃金が上がらす経済実態は消費不況で、消費者物価指数上昇もせいぜい4%でしたが、日銀はインフレターゲット2%を掲げていましたから政策金利も上げられず、それが大幅円安をよび、それがまたインフレの原因になると大騒ぎになりました。
しびれを切らした日銀は、先月、国際投機資本も予期しない利上げに踏み切り、マネー市場は大混乱のようでしたが、我が国の物価問題は、ようやく終結の時期を迎えているようです。
消費者物価主要3指数の推移(原数値)
資料:総務省「消費者物価指数」
上のグラフでは、7月の消費者物価指数はまだ上昇ですが、その主因は、政府の電気・ガス料金への補助終了と生鮮食品値上がりのせいで、緑の線の日本経済自体の物価上昇傾向は、多少長かった波状一斉値上げ上げといった動きはなくなり、2%インフレ目標に沿ったものになりつつあるようです
心配された今春闘賃上げの価格転嫁促進政策の物価への影響も、消費者物価指数レベルではあまり大きくないようです。
同じ消費者物価指数の動きを、対前年上昇率で見たのが、次の図です。
消費者物価主要3指数対前年変化率(%)
資料:上に同じ
これで特徴的なのはやはり緑の線の動きで、物価上昇が問題になった時期、大きく上に膨らんでいることが解ります。
長い目で見ますと、これはコロナ時代に消費不振で値下げさえもあった日常生活関連商品群がワンサイクル遅れて、値上げに動いた結果とみられるところです。
これが終わったところで、今後の日本の消費者物価指数は国内要因による上昇は賃金上昇の影響が中心となるでしょうから、多分沈静化でしょう。
緑の線が大きく下がって2%を切ってきたことが、国内インフレの終息を示唆するものとみていいのではないでしょうか。
今後を予想すれば、余程の大幅賃上げでもない限り、国内インフレは起きないでしょうし、外部からの上昇要因は、原油、LNG、輸入穀物などの上昇基調の可能性はありますが、海外物価上昇は世界共通ですから日本だけが困るわけではありません。
さらに、円レートは、これからはどちらかと言えば、円高基調という事でしょうから海外物価の影響はその分相殺されるでしょう。
ということで、2年余にわたって政府、日銀、国民を悩ませた消費者物価の上昇という問題は何とか終わりを告げたように感じるところです。
このブログでは、実質賃金がプラス化するかという問題もあり、もう少し消費者物価指数の動きを追うつもりですが、物価問題は、一応終結としておきたいと思います。