tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

FRB金利引き下げへ、日銀は? 円レートは?

2024年08月24日 15時17分03秒 | 経済

米カンザスシティーで恒例のジャクソンホール会議が開かれ、FRBのパウエル議長が、懸案のアメリカの政策金利引き下げにつて、いよいよ9月にはアメリカも金利の引き下げに動く意向を示したようです。

8月には日銀が、マネーマーケットが予期しなかった金利の引き上げを行い、マネーの世界は一時混乱して、一部のマスコミには日銀の責任のように言われたりしました。

ずっと以前から、日本の金利引き上げ、アメリカの金利引き下げは、金融の世界では必然のことと理解されていて、投機筋の思惑が外れただけの話ですが、金融政策担当者にはご苦労なことです。

今度のFRBのパウエル議長の発言でも、即座に円レートは144円と1円以上円高になったりしています。

マネーの世界は9月のFRBの利下げは織り込み済みということのようで、それが0.25%か0.5%かが今後の注目点という事のようです。

勿論。FRBの金利引き下げは、マネーマーケットのためにするのではなくアメリカの景気を安定した健全なものに維持するためです。

インフレ抑制のために金利を引き上げた結果、物価が下がりきらないうちに雇用不振が深刻化しそうで、金利を下げて経済活動を活発にし、雇用を増やそうという事です。

アメリカの住宅業界などは、もうだいぶ前から金利低下を織り込んで新設住宅の販売をし、この夏には新設住宅の需要が伸びて来ているとのことです。

金利政策の本来の目的は、その国の実体経済の安定した発展を目指すものですが、今日のように、経済の国際化が進み、変動相場制で、しかも、金利水準、それに影響されて動く為替レート、そしてその動きを利用してキャピタルゲインを得ようとするマネー経済が巨大な規模という時代では、物事は単純ではありません。

勿論実態経済で動くお金も、マネー経済で動くお金も同じお金ですから、それぞれの国が国民の生活を良くしようという目的でとる金融政策が、他の国の実体経済に大きな問題を生じることもありますし、マネーの動きだけで莫大な利益を上げる国際投機資本が、金融工学を駆使し、変動を大きくしてキャピタルゲイン獲得に動くこともあるのでしょう。

そしてそうしたマネーの動きが、実体経済に大きく影響するというのが今日の世界経済なのです。

具体的な問題として日米間の今後の経済関係を考えますと、アメリカは9月には政策金利を引き下げるでしょう。日本はこれからも政策金利を引き上げて、経済・金融の正常化を図らなければなりません。

出来れば急ぎたいのですが急ぐと,ドルと円の為替レートの変動、具体的には円高ドル安の動きを加速し、それが多様なマネーゲームを誘発し、実体経済済の動きを混乱、場合には破壊するような事態を生む可能性があります。

日銀も8月の金利引き上げで予期せぬほどの為替・株式市場の混乱が生じ、苦労したようです。

アメリカの場合には、より大きな影響を世界に与える可能性があるでしょうから、あくまでも慎重でしょう。

しかし、日米ともにやらなければならない事は決まっています。いかに余計な混乱を避け、実体経済の安定的な成長発展を損なわないかが大事です。

日本にとっては次第に円高が進むことになるのは必然でしょう。円安も、円高も行き過ぎては実体経済の安定はありません。特に、行き過ぎた円高は、かつての経験の通りです。

これから必要になるのは、金融政策に加えて実体経済を健全なものにする経済政策です。

経済政策は政府と労使の協力で可能になるのです。何卒、失敗しないようにお願いしたいと願う所です。


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