コロナ後にとるべき経済政策について9回にわたって見て来ましたが、お付き合い頂いた皆様には厚く御礼申し上げます。
4度目の緊急事態宣言、五輪無観客会場の増加の効果、ワクチン確保の行方など、未だ予測不可能な点はいろいろありますが、それらが何とか巧くいって、コロナ後が出来るだけ早く来ることを願いながら、今回でまとめにしようと思っています。
今回のシリーズのテーマには大前提が2つありました。
1つは人類社会の持続可能な発展目標、SDGsに則ったものであること、2つには、社会が格差化するとその社会は決して持続的なものにはならない、という2つの基本的な視点です。
2013年以降、円高の解消があったにも関わらず、消費不振の最大の原因は非正規雇用などに代表される所得格差の拡大によるものでしょう。
かつて日本経済が順調に成長していた頃の所得格差は、政府の所得税制、企業の雇用賃金制度などが、格差化を否定するものでしたら、まさに北欧諸国並みに小さいものでした。
結果的にいわゆる中間層が大きな部分を占める社会なり、消費の伸びは順調で、それが新製品の需要、ひいては技術革新に刺激を与え、政府の技術立国政策と相まって順調な経済成長を実現してきたという良き時代でした。
ところで現状はといいますと、円高解消で企業は収益が回復しても、国内需要はほとんど伸びず、内需不振から、企業の投資は海外へといった傾向が強く、外国のGDP拡大には貢献しても、国内の投資は大きくは伸びず、政府の技術開発や研究開発の軽視もあって、先端技術開発は停滞したままでした。
多くの国民は、少子高齢化で日本経済の将来は大変だという政府の思い込みの結果のゼロ成長の中で「親の代より貧しくなる」と将来不安に駆られて来ました
こうした国民の将来不安による消費不振、企業のリスクテイクの停滞の結果のゼロ成長経済、それによる将来不安の一層の深刻化という悪循環を、国民の健全な消費活動、企業のチャレンジ精神の活発化という経済成長促進型の好循環に変えることが、コロナ後を見据えた政府の経済政策になるべきでしょう。
そのためには政府の所得税体系の見直し、法人課税の構造改革など、税制や補助金制度などの、後追いではなく、将来の持続的発展を政策の基軸に置いた政治姿勢が極めて大切だということは、歴史と経験の教える所でしょう
同時に、過去の経験から言えば、経済というのは、国民や企業の意識や気持ちの持ち方で全く変わるのです。
このブログでは、戦後最大の不況と言われた昭和40年不況脱出のきっかけ、石油危機による、当時99.8%を輸入エネルギーに頼ると言われた日本経済のどん底からジャパンアズナンバーワンへの発展のきっかけについても触れています。
経済政策には、国民の将来への意識にどう働きかけるかが極めて重要です。そしてその背景には、政府の信用、政府への信頼感がなくてはなりません。
国民に平気で嘘を言う、説明はいつもすれ違いや国民が忘れるまでの先延ばし、記録も記憶も平気で廃棄・忘却、国会論議は不十分で決まるのは強行採決などという事が重なれば、国民は、何が本当なのか、何が正しいのか、何を選択したらいいのか、正確な判断が不可能という事になるのではないでしょうか。
ところで早晩選挙になるのでしょう、こんな状況の中で、どんな結果になるのでしょうか。