昨日まで「ミスター トゥー レイト」(遅すぎる男)と呼んで解任を主張していたFRB議長のパウエルさんについて、今日のニュースでは、 トランプ大統領は、一転「解任するつもりはない」と言っているとのことです。
このニュースと共にNYダウは1000ドルの急騰、連れて日経平均も600円ほど上がっています。
相互関税90日間延期の時もそうでしたが、トランプさんの変心が読めれば大金持ちになれそうですね。
冗談はさておき、言い出した事がコロコロ変わるような覇権国のリーダーでは、政界中が大迷惑というのが、今の世界の現状でしょう。
IMFは、アメリカがこの状態では、世界経済の成長率(実質)は、1月に予測した3.3%から0.5ポイントの大幅低下で2.8%になるという新しい予測を出しました。
説明は、アメリカの言い出した高関税政策が実施されれば、世界中の貿易額が縮小し、アメリカ自体の経済成長率も0.9ポイント下がり「勝者なき貿易戦争」になるという前提のようです。
IMFがこうした予測を出す事は、こうした客観的な予測を正式な国際機関として発表することで、事の重大さを世界に認識してもらうという事と同時に、アメリカ自体に、というよりトランプさんに「お考えの政策は、お止めになった方がいいのではないでしょうか」と問いかけ、出来れば、変心をして頂きたいという意味を持つものでしょう。
このブログでもすでに、中國がアメリカと関税の掛け合いをしてもお互いにマイナスが生じるだけだから関税戦争から降りる、アメリカとまともにやり合う事はしない、との意向もあるようで、アジア諸国もそれにつられ、さらにヨーロッパまで、そんな雰囲気になると、世界にアメリを敬遠して素通りしようとする、いわゆる「アメリカ・パッシング」になって、アメリカ自体が大きな痛手を負う可能性もありますよと書いています。
トランプさんは、現在のアメリカの「覇権国で基軸通貨国」という過去から積上げた大きな実績の上に乗っていますから勝手なことが言えるので、トランプさんの手でそれを壊してしまったら、普通の国に成り下がる事にいなってしまいます。
アメリカの世論調査でも、今のトランプ政策では、アメリカは駄目になってしまうのではないかという心配の方が増えているようで、支持率が低下していますが、トランプさんも少しずつその辺りに気付いてきているようにも感じられます。
相互関税の90日の延期、パウエルさんの解任はないという変心も、ダウ平均の連続の下落、ドル安、さらには、アメリカ国債の価格低下(アメリカへの信用の低下)、その結果アメリカ国債が売られる可能性という現実が、「偉大なアメリカを再び」のスローガンと違った方向にアメリカを持っていきつつあるとトランプさん自身に感じさせて来ているのではないでしょうか。
戦争の仲介では「当事国がいう事を聞かない」からという事も出来ますが、アメリカ国債の価格が下がるといった経済現象には反論は出来ません。政策を変えるしかないのです。
そうして意味で、これからトランプさんの変心がいろいろとありそうです。多分それは、アメリカにとっても世界にとっても良いものが多いでしょう。
トランプさんがこれからどんな変心をするか見て行きたいと思っています。