tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカはインフレになるか、日本への影響は

2021年07月18日 16時57分04秒 | 経済
アメリカはインフレになるか、日本への影響は
 最近アメリカの論調で、アメリカ経済はインフレの懸念があるという意見が出、論争があるようです。
 
より多い見方は、この所のアメリカの物価上昇は一時的なもので、アメリカ経済がインフレになることはないだろうという見方の様ですが、それに対して、金利の動きを見れば、長期金利が上昇傾向で、物価連動債の金利を超えてきているので、長期的にはインフレ傾向が出るのではないかという見方があるようです。
 
インフレの懸念を言う意見には、アメリカの賃金が上昇傾向を見せており、賃金と物価が共に上がるのではないかといった指摘もされているようです。
 
もともとアメリカは2%のインフレターゲットを掲げ、日本では安倍政権も日銀もそれに倣ったところですが、それは、2%程度のインフレの経済状態が、元気もあり、好況感のあるいい経済状態だという意識からきているものでしょう。
 
現実のアメリカを見ますと、この数年物価の大勢は2%を超えており昨年はコロナの影響で下がりましたが、今年に入って急激に上昇に転じ、4月には4%を超える上昇になっているようです。
 
 一般的に言えば、ある程度の上昇は当然でしょう。理由は、
・昨年マイナスだった反動
・今年に入ってのコロナ征圧の雰囲気
・世界的な資源価格や半導体価格の上昇
・アメリカの経済回復が特に顕著
・バイデンの経済政策への期待
等アメリカならではの要因も沢山あります。
 
こうしたアメリカの社会・経済の雰囲気の変化はあるにしても、国際的な、エネルギーを含む資源価格の上昇といったものは、通常は一時的なもので、時間がたてば、正常な安定した状態に戻るのが普通でしょう。
 
世界的な景気回復を予想した資源価格や、半導体価格の上昇なども過去の繰り返しに見ますように、多少期間が長くなっても一過性のものです。
 
そういう意味では、経済学的には、アメリカの物価は早晩沈静し、インフレの心配はないという判断になるのですが、一つだけ気なる点があります。
それはこの時期一部の賃金(サービス関連など)一部にかなりの上昇になって来ているという問題です。
 
FRBのパウエル議長も、賃金の動向には注意が必要と言っていますが、昨年は半数の州で最低賃金の大幅上昇がありましたが、昔のように労働組合の力は強くないので、こうした一時的なインフレが、かつてのスタグフレーションのように、賃金インフレとして固定化してくるとを避けようという意識も強いようです。
 
前FRB議長、現財務長官のイエレン女史も、賃金の動向には注目と言っているようで、当面アメリカの舵取りの心配は少ないと言えそうです。
 
日本にとっては、かつての円高で苦しんだ経験を考えれば、アメリカが賃金インフレ状態になれば、当然ドル安を求め、「ドル安になれば円高」ということで、物価の上がらない日本へのマイナスの悪影響が当然考えられますから、日銀も対策怠りないと思いますが、さし当たって、アメリカの賃金動向には要注目という事でしょう。