tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ジョブ型、終身雇用型、日本企業の雇用は?

2021年07月29日 21時21分34秒 | 労働
ジョブ型雇用についての議論が活発になると、これから就職しようとする学生、企業で専門領域を担当して活躍する人たちの中で、自分はどういう道を選んだらいいのかと考える人たちも増えてくるのではないでしょうか。
 
まず、ジョブ型雇用という場合には、企業は即戦力を求めているという事がはっきりしているわけですから、今の日本の場合、例え大学卒であろうと、大学院卒であろうと、企業の特定の職場で、すぐに仕事ができるという人材は多分ほとんどいないでしょうから、就職第一歩は、これまでと同様、就活のプロセスを経ての採用になるのでしょう。
 
もちろん、面接などで、何を勉強して来たかなどは聞かれるでしょうが、企業の採用担当者は、どちらかというとそれよりも、わが社に就職して上手く馴染んでくれるかとったところを見るのが一般的です。
 
従って、新入職員研修を終えてどんな部署に配属になるかは、会社の判断によって決められることになるのでしょう。
まだ当分の間、ここまでは多分従来の雇用慣習とあまり変わらないケーが殆どということになるのでしょう。
 
ただ一部には大学の研究室や、大学発ベンチャーなどで経験を積むことで、その仕事の専門家として採用される人もいるかもしれません。ジョブ型雇用に適した採用ということになるのでしょう。
 
従来、企業は将来専門分野につけたい人でもローテーションで種々の仕事を経験させる育成方式を取ってきましたが、今後は、早期に専門分野に配置することも多くなるでしょう。ただし正社員採用で社内昇進してきた人材であれば、ジョブ型雇用にする必要を感じない企業も多いのではないでしょうか。
 
特に、一専多能の従業員として育ってきていれば、管理者教育をしたうえで、専門部門の管理職、更には役員への道が用意されているというのが日本の企業では一般的なキャリヤーコースになっているからです。
 
こうした日本企業の雇用・人事制度を見てきますと、ジョブ型雇用という形の採用は、ごく限られた特殊技能の、しかもスカウト採用の人材に限られてくるような気がします。
従来なら、年俸制の契約社員といった人達でしょうか。
 
定期採用で、社内育成型の人達で、ジョブ型雇用に転換したい、同期生より能力が優れて高いから、より高い給与水準を望むといった人材などの場合、引き抜きを防ぐためにもジョブ型に切り替え、高給を支給という企業側の選択の場合もあると思われますが、処遇の方法はいろいろあるので、本人の希望が最優先でしょう。
 
ジョブ型処遇・雇用を、人件費の節約のために導入というのは、恐らく長期的には上手くいかない人事政策ということになるようです。
ジョブ型にした方が、安定的に企業業績が上がり、従業員も企業も共に生活の安定、企業の成長に貢献するのでなければ導入の意味はありません。
 
日本企業の採用が、新卒一括採用というという方式を残す限り、ジョブ型雇用、処遇は、当面、人事政策上の刺激のための味付けとしての役割ということになるのではないでしょうか。