消費税、所得税問題を超えた政策も
枝野立憲民主党代表の消費税を時限的に5%の減税という構想をきっかけに種々の議論があるようなので、コロナ後の最大の問題でもあると予想される消費の問題と税制について考えてみました。
税制改革の基本的在り方として「レベニュー・ニュートラル」を考えてきましたが、コロナ後の経済財政策として、特に消費不振問題への対応ということになりますと、税制だけではとても不十分でしょう。
レベニューニュートラルの問題はまた法人課税についても考えてえてみたいと思いますが、ここでは、消費不振対策をもう少し総合的に考えてみたいと思います。
消費不振対策で、安倍政権が失敗ばかりだった最大の問題点は、国民に、将来不安を植え付けたことでしょう。結果は、このブログで追いかけてきましたように、平均消費性向の継続的低下です。
個人消費はGDPの6~7割を占めますから、平均消費性向が3ポイント上がればGDPは2%ぐらい高まるでしょう。物価上昇がなければ実質経済成長が2%上昇になりますし、もし消費者物価が上がっても政権の目標インフレターゲット2%に近づいてこれも政権には結構なことでしょう。
安倍政権は財政健全化を掲げて、消費税増税をやるぞやるぞと国民を萎縮させたり、年金問題などで、財務相が自ら諮問した年金問題の答申を受け取り拒否して、老後の資金は自分で作れとNISAやiDeCoを推奨したり、消費の伸びない政策を色々打って来ていました。
結局、消費は伸びず経済停滞で、日本経済はじり貧、結果は非正規など低所得世帯の増加で、格差社会は進行、子供の6人以1人は貧困世帯などと、以前では考えられないような日本社会になりました。
こういう形というのは経済停滞のスパイラルとでもいうものでしょう。貯蓄するほど経済は停滞、不安になってまた貯蓄に励むという形です。これからはこの逆をやらなければいけないのです。
日本社会は貧しいのではありません。世界でも有数な豊かな国です。クラウドファンディングで大きな金が集まるような、豊かさが遍在する格差社会化が問題なのです。
お金の偏在する社会を、政策を変え、雇用・賃金制度の在り方や福祉社会指向の税制などで、格差の少ない、ジニ係数が0.3を切るような社会を作れば、豊かな中間層は拡大し、消費は健全に伸び、経済成長は高まり、その結果として将来不安が解消するというのが今後日本経済は取るべき方向でしょう。
消費税と個人所得税、そして社会保障の負担と給付の在り方などは、パッチワークではなく、GDPの適切な配分の在り方として、国民の総意を把握しつつ、民主的に決めていく問題でしょう。
働き方改悪なども、同一労働・同一賃金などという耳障りのいい標語を掲げながら、実体は格差社会を助長する方向に日本社会を進めることになることを、今の政権は十分な理解もなくやっているようです。
戦後の日本は、事業の人事・賃金制度も、税制も、巧まずして格差の少ない社会を作るようなシステムに作りあがられていたようぬ思われます。
よく言われますように、戦後の日本がやって来た事は、「資本主義と言いながら現実には理想的な社会主義を実現していたのである」などと解説されるのをお聞きになった方も多いと思います。
これはかなり当たっていると思います。本来、日本の伝統文化は「和」、つまり、カタカナを使えば、バランス、ハーモ二ーといった概念を基底に、自然と人間も、多様な人間同士も、安定して共存するのを是とするものだったと考えられるからです。https://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/b88e1cb7e67ac9f7ec0f23712bbdaa90(参照)
この問題は、次回にでも、もう少し具体的に論じる必要があるように思うところです。