緊急事態宣言でも堅調な消費:4月家計調査
少し遅くなってしまいましたが、4月の家計調査の結果を見ておきたいと思います。
先月、3月の家計調査で、何となく、家計に消費意識が出てきた感じがすると書きましたが、4月も引き続き、消費は、何となく堅調に向かうのではないかといった感じを受けるところです。
もちろん昨年の4月は最初の緊急事態宣言で、全国の家計は緊張の真っ只中だったということはあると思いますが、今年の4月も同じ緊急事態宣言の中です。
言われていますように、消費堅調の原因は2つほどあって、一つは家計も企業も緊急事態馴れして、巣篭り需要などの新たな消費パターンが生まれ、単純な蟄居と緊縮で対応するのではなくなったという事でしょう。
もう一つは、何となくコロナ馴れしたような感覚も(若い人中心でしょうか)生まれ、繁華街の混雑も結構な増加を見ているという状況との関連でしょうか。
それに、ワクチン接種が進んできたことも安心感につながっているのかもしれません。
家計調査の2人以上所帯についてみますと、消費支出は前年4月比12.4%の増加で、増加の中身を見ますと消費支出主要10品目のうち、対前年比で減少しているのは水道・光熱だけで後の9品目は総て増加、特筆すべきは3月にも触れました、ずっと不振だった衣服・履物が、対前年4月で85.2%という、最大の増加率になっていることです。
これは、外に出るためのオシャレ需要でしょうか、外に出れば、関連するいろいろな消費も増えるという事になるのでしょう。二番目の増加品目は教養娯楽で、これが26.5%の増加ですから被服・履物の増加が目立ちます。
これは確かに消費需要については結構なことですが、困ったことに、デルタ株の侵入と共に、コロナの新規感染者の増加につながる可能性が高くなることが考えられます。
特に、おしゃれして外出といった動きが若い方達に多いとすれば、若い人たちへのワクチン接種が遅れているということとの関連が心配されるところです。
まさに前門の虎、後門の狼ですが、決定的な解決策は、早期のワクチン接種の徹底だという事を政府には十分認識してほしいと思うところです。
ところで、いつも見ています2人以上勤労者所帯の平均消費性向を見てみますと、昨年4月の70.9%からこの4月は77%と6.1ポイントの大幅上昇で、一昨年4月(コロナ前)の78.3%に近づいています。
差し当たっての問題は、この消費需要の回復をもたらしている家計の心理の変化とデルタ株コロナウィルスの感染力の強さ、加えて東京五輪による内外含めての人流の変化の合成のベクトルがどう動くかという事でしょう。
最も注目すべきはデルタ株の感染力の強さかもしれませんが、相手がウィルスであるだけに予測不能という面が多いのが気にかかります。
日本社会全体のあらゆる努力でデルタ株の感染力をどこまで食い止められるかが勝負なのでしょうが、国民の健康と生命を守るという政権が、水際対策やワクチン政策を中心に、どこまで適切な対策を取れるかが重要なカギを握ることになるような気がしています。