2021年6月日銀短観:好調、目先停滞、投資計画堅調
昨日、日本銀行から、この6月時点の「全国企業短期経済観測(短観)」が発表になりました。
製造業好調、非製造業も回復という事で、現状はコロナ禍からの回復が見えていますが、この先3か月ほどについては、企業は多少停滞を見通しているようです。
ただ、もう少し長期の見通しに立つ設備投資については、積極的な計画を持っているようで、遅れている中小企業にも、次第に回復の波が及ぶことが期待されます。
数字は、いわゆるDIで回答を100として良いと答えた%から悪いと答えた%を引いたものです。
先ず、代表的な指標である、製造業大企業を見ますとDIは14で、3か月前の3月の5から大きく改善しています。
中堅企業は5(3月は-2)、中小企業は-7(3月は-13)でそかなりの改善です。
改善の遅かった非製造業も、大企業は1(3月は-1)中堅・中小企業も,まだマイナスながら、それぞれに改善をみています。
一方、3カ月後の予想についてみますと、順調に改善ではなく、何となく停滞の雰囲気が全体的に感じられます。
これは多分、デルタ株、東京五輪、ワクチン入荷状況など、どうにも良く解らない点が多いことに起因するものではないかと思われますが、重要なのは、その先秋以降の日本経済がどうなるかでしょう。
その辺りを企業がどう見ているかについては、同じ日銀短観の中で調査されている設備投資計画が参考になるように思われます。
企業が設備投資意欲を持っているということは、将来に対して何らかの目標や希望を持っているということと理解できるからです。
という事で企業の設備投資計画について見てみますと、どちらかというと強きの様子が見て取れます。
短観では設備投資計画については、2020年度と2021年度の設備投資の実績と計画の対前年伸び率の数字が出ています。
設備投資の中身は、土地投資を含むものと含まないものがありまして、土地投資はこのところほとんど減少傾向です。
企業の将来に向けて大事なのは「ソフトウェア・研究開発を含む設備投資(除く土地)」ということになるわけですが、これについては、一様に企業は強気の姿勢を示しています。
大企業の場合は製造業、非製造業ともに2020年度は減少でしたが、2021年度につては、製造業10.3%、非製造業10.4%の増加を計画しています。
中堅企業、中小企業においても製造業、非製造業ともに前年のマイナスからプラスに転じ、特に中堅企業の製造業では15%増を計画しています。
その内訳のソフトウェア投資と研究開発投資の分けてみますと、圧倒的にソフトウェア投資の伸びが大きく、中堅企業製造業では55.5%の増加が計画されています。
一方、研究開発投資は、プラスに転じてはいますが、大企業中堅企業ともに1桁の増加にと止まっていて、中小企業の非製造業の62%が唯一気を吐いています。
企業としてはコロナ後にかなりの期待を持っているということは感じられますが、特に大企業の研究開発投資が本格的に動き出してほしいと感じられるところです。
菅総理は、日本をワクチン研究の世界のセンターにと言っていますが、リーマンショックからアベノミクス時代を通して日本の 研究開発投資(注)は、官民ともに異常な停滞を記録しています。
中國、韓国に後れを取る分野も多くなっているようですが、政府の積極政策で、本格的な巻き返しに邁進することを期待したいと思う所です。
注:https://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/4d4fd6af93bfe3f6a21a1a047aac35b1