8月の参議院選挙に向けて消費税減税についての議論が活発です。
石破さんは「適切な対応」という表現で、状況によって判断という事のようですが、その状況というのはどうなのでしょうか。
最も気になっているのはトランプ関税の90日間の期限が切れた時どうなるかでしょう。
トランプ関税が何故90日間伸びたかという内幕の報道があり、トランプ政権内の意見対立の様相、良識派の素早い動きがトランプさんの90日延期の判断につながったなどとの解説です。90日後にどうなるかはまだ皆目不明です。
確かに先行き不安だから、消費減税で、少しでも生活が楽に、という気持ちも解りますが、それが別途国民負担を増やすのかどうか、それとも、当面時限的な減税だから赤字国債で賄えというのかその辺もはっきりしません。
だいたい政府は、消費税は社会保障の充実のためと言っているのですが、増税の際、これは社会保障のこの部分にこう使いますといった明確な説明はなく「どんぶり」の中に入ってしまえばあとは解らないのです。
訪問介護などは事業者が急減しているようですがどうなっているのでしょうか。これで減税したら更にどうなると心配の向きも多いでしょう。
米価が上がって、消費者物価が上がるからという意見もありますが、これは消費税減税で対応するのではなく備蓄米放出、農業政策で対応する問題でしょう。所が本気で問題にする政党はいません。
こんな状況を見てきますと、与野党の中の消費減税主張というのは、しっかりした根拠のある政策ではなく、当面選挙の得票を狙った発言といった感じが強くなって来ます。
消費減税をしたら財源をどうするか、期限付きの消費減税を言うなら元に戻すときの経済状態をどう見るかといった責任を持った議論が必要でしょう。
政府には消費税と社会保障費の関係を「どんぶり勘定」でなく「これこれだから2%の増税になりました」という形の国民への解り易い説明が必要でしょう。
減税要求の野党については、社会保障を削ることはないという責任ある論拠の明確な説明がないと、無責任と言われるのではないでしょうか。
政権は勿論ですが、政党として、税と社会保障の一体改革というからには、国民負担率何%、その内、税が何%、社会保障負担が何%、税の中では消費税、法人税、所得税の相互割合、特に所得税については累進税率をどう考えるか、といった、日本経済・社会の基本的な在り方を、それぞれに明確にしながら、その中での相互関係を考えつつ部分的な問題を議論することが必要ではないかと思うところです。
日本が何故低成長なのか、格差社会化が進むのは何故か、それが日本社会の劣化とどう関係するのか、対策は何か、国際関係や移民の問題なども含めて、常に目指す総体的な姿の全体設計の中での適切な部分設計という基本スタンスがいかなる政策を考える時にも必要なのでしょう。
当面の人気と、選挙の得票といった末節の問題が主要目標になるようでは、何も変わらないのではないでしょうか。