tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政権独善の結果?ワクチン迷走曲

2021年07月14日 15時19分27秒 | 政治
政権独善の結果?ワクチン迷走曲
コロな征圧の本命は「ワクチン」という事は初めから解っていたことではないかと思いますが、日本のワクチン迷走曲は、最初は「ワ」の字も聞こえないような出だしでした。

われわれは、日本の製薬会社がワクチンの製造開発に頑張り、政府が積極的に応援するのかと思っていましたが、政府は、ワクチンの国産化にはまったく無関心だったようです。

当時から、日本では出来っこないと決めていたのでしょう。結局アメリカのファイザーとイギリスのアストラゼネカと供給契約、後にモデルナ(アメリカ)を追加ということになったのですが、アストラゼネカは契約した1億2000万本のうち9000万本は兵庫県のJCRファーマという企業に同社が委託生産ということで、政府はあわててJCRファーマに補助金を出したりしたようです。

 しかしアメリカでもイギリスでも、大統領や首相が新型コロナに感染するほどの状況ですから、ワクチンは先ず自国優先になるのは当然でしょう。一方WHOでは低所得国ではワクチンが手に入らないのは望ましくないと述べるなど、ワクチンの配分問題は日本にとっても容易でないようそうでした。

 4月には訪米中の菅総理がファイザーのCEOにワクチン供給を国内通話で要請するといった珍事もあり、「電話なら日本からでもいつでも出来ますよ」などと揶揄される一コマもあったりしました。

そんなこんなでなかなか来ないワクチンも6月頃からは接種も進み、菅総理が、バイデンさんを真似て1日100万回の接種をといったことから、真面目な日本人は急速に接種体制を整え、地方自治体は大規模接種会場、企業では職域接種の家族も含めるといった配慮、各地の医療機関も、かかりつけ医も協力体制を整えるといった真剣な努力が始まりました。

その成果もあって、1日100万回接種が達成されたと政府が発表し、菅総理の顔を立てました。WRSという各地からの報告を集計したもので、一週間程度のまとめ報告が多いようなので、正確性は別として、100万回を達成したにもあったかもしれません。

これでようやくコロナ征圧の見通しも立ってくるのだろうか、日本人はやる時はやるから、などと思ったとたん6月末には、担当大臣から「新規の職域接種の申込み停止」、「地方自治体の大規模接種会場の申込み停止」の発言が飛び出しました。

オマケは、「ワクチンの在庫がたまっている自治体への配分を1割程度減らす」という事です。

そんなに在庫を抱え込んでいる自治体があるのがそもそもおかしいのですが、前述のWRSの数字を、既に配布したワクチンの数字から差し引いて、差が大きければ在庫がたまっていると判断するのだそうです。

在庫管理は難しい仕事で、計算した在庫と棚卸が合わないのが通常ですが、心理的に在庫を増やしたと思う原因は「あとから入荷がストップしたら大変」とか「接種の更なる促進」という状況でしょうからどちらも健全なものです。

トヨタ方式で在庫が減るのは、ジャストインタイムで部品が届くという生産計画とシステムが確立しているからです。
後から来るワクチンの量が減ったり、来なかったりしたら折角たち上げた接種システムや人員配置をどうするか、1日100万回とハッパをかけておいて、一体何を考えているんだ、というのが接種に本気になった人達の感覚でしょう。

WRSの正確性がどの程度か(菅内閣は数字に弱いのは定評)自治体は政府の計算通りに在庫を過剰に持っているのかという疑問、始めたからには何があろうと100万回打つ努力をするという自治体の入れ込みなどはすべて無視して(まったくの無頓着で)、全ては政府の思う通しにやれという、ほとんど独りよがりの判断、こんな事が、根底にあるように感じられます。

もとはと言えば、頭から外国のワクチンを買うことに決めて、国内で頑張りには見向きもせず、アメリカに行ったから国内通話で交渉できると考えたり、ワクチン獲得能力と無関係に接種回数の目標を高言したりという、計画性、綜合的配慮に欠けた政府のやり方のせいなのではと思っていますが・・・・・。