司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

誤って消印をした収入印紙の還付の可否

2011-09-27 07:49:46 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 登記等を受ける者は・・・登録免許税の額に相当する金額の印紙を当該登記等の申請書に貼り付けて登記官署等に提出することにより,国に納付することができる(登録免許税法第22条)。

 そして,印紙による登録免許税の納付は,登記機関が納付の事実を確認して消印をすることによって行われる(登録免許税法第25条)。

 したがって,登記申請書に貼り付けた印紙を当該登記の申請人が消印をしたときは,使用済み印紙を貼り付けたのと異ならないことから,登録免許税を納付したことにはならないとして,当該登記の申請は受理されない取扱いである。

 すなわち,登録免許税の過誤納金として還付を受けることはできない(登録免許税法第31条参照)。

 また,印紙税の課税文書に所定の金額を超える収入印紙を貼り付けたり,印紙税の不課税文書に収入印紙を貼り付けた場合のように,誤って納めた印紙税額は,還付の対象となる(印紙税法第14条)が,「印紙税の納付目的で文書に収入印紙を貼り付けた」ものである必要があるので,登録免許税の納付目的の場合は,同法に基づく還付の対象とならない。

cf. 誤って納付した印紙税の還付 by 国税庁
http://www.nta.go.jp/taxanswer/inshi/7130.htm

 ここで,「印紙税の納付目的で文書に収入印紙を貼り付けた」ものでないとして,税務署で印紙税法第14条の不適用確認を受けると,郵便局で「収入印紙の交換」をしてもらうことが可能となる(印紙納付法第3条第3項)が,「租税又は国の歳入金の納付に用いられた疑いがある収入印紙」「汚損し又はき損されている収入印紙」は,交換の対象とならない。

 なお,印紙税の納付のために貼り付けられたものでないことが明らかなもの(例えば,有価証券取引書,登記申請書,各種申請書等に貼り付けられている収入印紙)についても,消印が行われない限り,有価証券取引税,登録免許税等の納付があったことにならないので,消印がされていないものは,交換の対象として処理されている。

 しかし,消印がされているものは,交換の対象とならない。

cf. 収入印紙の交換制度 by 国税庁
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/07/01.htm

収入印紙交換制度の導入に伴う印紙税の過誤納確認等の取扱いについて by 国税庁
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/810119/01.htm



 「登記申請書に貼付する収入印紙には消印しない」は,司法書士としてはイロハのイであるが,上記の理屈は周知されていないと思われる。うっかりには注意しましょう。
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2 コメント

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明治31.11.7民刑1934登録税収入印紙は申請人が消印しても差し支えない。 (みうら)
2011-09-27 20:34:02
明治31.11.7民刑1934登録税収入印紙は申請人が消印しても差し支えない。という先例がありますので、そのまま使えるはずですが。
不動産登記法55条1項・4項で滅失時の消滅承諾が可能だが、不動産登記規則125消滅承諾が145滅失で準用されていません。
どうなっているのでしょうか。
御回答 (内藤卓)
2011-09-28 16:27:44
「先例」と言っても,変更されずに生き長らえて,現に効力を有するか否かが問題ですが。

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