司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

フリーランス人材との契約に独占禁止法を適用

2018-02-15 19:19:00 | 会社法(改正商法等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26935580V10C18A2EE8000/

「公正取引委員会は,競争政策研究センター(Competition Policy Research Center(CPRC)。所長:岡田羊祐 一橋大学大学院経済学研究科教授)内に「人材と競争政策に関する検討会」(座長:泉水文雄 神戸大学大学院法学研究科教授)を設置し,個人が個人として働きやすい環境を実現するために,人材の獲得をめぐる競争に対する独占禁止法の適用関係及び適用の考え方を理論的に整理するため,平成29年8月からこれまで6回にわたって会議を開催し,検討を行ってきました(別添〔参考〕を参照。)。
 このたび,同検討会における議論を経て,「人材と競争政策に関する検討会」報告書が取りまとめられましたので,公表いたします。」(後掲報告書)

cf. 「人材と競争政策に関する検討会」報告書について by 公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/feb/20180215.html

コメント

また地面師グループが逮捕

2018-02-15 19:18:00 | 不動産登記法その他
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26955280V10C18A2CC1000/

 5年前の横浜の事件で,地面師グループが逮捕された。

 またですかの感。
コメント

組織再編等の債権者保護手続において,1月2日又は3日には異議申述期間は満了しない?

2018-02-15 17:05:33 | 会社法(改正商法等)
 標記について,最近問題となっているようである。

cf. ESG法務研究会
http://esg-hp.com/

 発端は,平成30年2月8日に開催された東京司法書士会千代田支部セミナーで,東京法務局の担当者が標記の取扱いである旨を説明したことにあるようだ。


 問題となるのは,1月2日及び3日が民法第142条の「その日に取引をしない慣習がある『その他の休日』」に該当するのかという点である。

○ 民法
第百四十二条  期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。


 根拠とされている最高裁判決は,

cf. 最高裁昭和33年6月2日大法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52894

であり,「一月三日は一般に元日二日とともにいわゆる三ヶ日として休暇休業日とするのを慣行としているが故に、一月三日は民訴一五六条二項にいう一般の休日に該当するものと解すべきである」と判断していることによる。

 しかし,この判決は,民事訴訟手続において,「一月三日は民訴一五六条二項にいう一般の休日に該当する」としているのであり,「一月三日は民法第142条にいう「その日に取引をしない慣習がある『その他の休日』」に含まれる」と判示しているのではない。


 この点,かつて仲間内で話題になったことがあり,次のように述べたところである。

cf. 平成23年1月1日付け「1月1日が日曜日」

(再掲はじめ)
 来年の元旦(平成24年1月1日)は,日曜日である。

 したがって,あまり意識されないが,1月2日(月)は,「振替休日」(国民の祝日に関する法律第3条第2項)となる。

 1月3日(火)は・・・法律上(例えば,民法第142条)の「休日」ではなく,「行政機関の休日」(行政機関の休日に関する法律第1条第1項第3号)に過ぎない。「土曜日」と同じ取扱いである。

 会社法等における期間満了日の判断においては,ご注意を(レアケースであろうが。)。
(再掲おわり)


 かつて,青山修「株式会社法と登記の手続」(新日本法規)平成11年刊(205頁)においては,「1月2日又は3日が公告期間の末日に当たる場合は,1月4日が期間の満了日となり,翌日の5日に効力が生じるとされる(4日が日曜日のときは,更に1日延長される)。」と解説されていた。
※ 株式譲渡制限規定の設定の登記手続に関する解説であるが,会社法前は,この効力は,期間満了日の翌日に生ずるものとされていたことによる。

 この解説の元となっているのは,東京法務局商業登記研究会編「商業法人登記速報集」330頁であり,「国民生活の実態を考慮すれば,1月2日・3日は民法142条にいう「休日」に該当すると考えられる」ことが理由付けとされていた。


 しかしながら,民法第142条を解釈するに当たり,「国民生活の実態を考慮すれば」が理由であるとすれば,上記最高裁判決から60年,青山氏の書籍刊行からも約20年近くを経過し,国民生活の実態も変容し,また外国からの起業が増えて,正月休みに対する意識(会社関係者及び会社を取り巻く利害関係者の「意識」である。)は大きく変わり,上記最高裁判決にいうところの「一月三日は一般に元日二日とともにいわゆる三ヶ日として休暇休業日とするのを慣行としている」とは言えず,1月2日及び3日が,民法第142条にいう「その日に取引をしない慣習がある『その他の休日』」に該当するとは,必ずしも言い切れないであろう。


 上記東京法務局の担当者の解説によれば,「例えば,合併公告を平成29年12月1日(金)に官報掲載した場合・・・満了日については・・・平成30年1月2日(火)までとなるものと誤り,その翌日である1月3日(水)を効力発生日とする登記の申請がされる例があったが,これは当然に期間の計算の誤りであり,正しい満了日は,更なる繰り延べの結果,1月4日(木)となる結果,効力発生日は,翌5日(金)以降でなければ,会社法の規定に反し無効と解される」ということであるが,大いに疑問である。

 民法第142条の規定は,「国民にわかりやすい民法」を目指した債権法の改正作業においても,改正の対象となっておらず,「その日に取引をしない慣習がある『その他の休日』」については,なお解釈に委ねられている。1月2日及び3日が,民法第142条にいう「その日に取引をしない慣習がある『その他の休日』」に該当するとは,会社関係者及び会社を取り巻く利害関係者の「意識」として,必ずしも明らかではないであろう。

 そうであるにもかかわらず,「当然に期間の計算の誤りであり・・・会社法の規定に反し無効と解される」と断定するほどの合理的理由があるであろうか。

 日本の法令においては,1月2日及び3日は,「行政機関の休日に関する法律第1条第1項第3号が定める休日」に過ぎないのであり,これを商業登記実務の取扱いとして,「民法第142条が定める「その日に取引をしない慣習がある『その他の休日』」」に該当するものとするのであれば,法務省民事局長通達等で明示する必要があると思われる。この場合にあっては,土曜日や12月29日~31日についても,同様に取り扱うべきであろう。

 否,組織再編等の債権者保護手続において,異議申述期間の末日が1月2日又は3日である場合においても満了する,という解釈を採るべきである。



○ 行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年十二月十三日法律第九十一号)
 (行政機関の休日)
第一条  次の各号に掲げる日は、行政機関の休日とし、行政機関の執務は、原則として行わないものとする。
 一  日曜日及び土曜日
 二  国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日
 三  十二月二十九日から翌年の一月三日までの日(前号に掲げる日を除く。)
2  前項の「行政機関」とは、法律の規定に基づき内閣に置かれる各機関、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる各機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関並びに会計検査院をいう。
3  第一項の規定は、行政機関の休日に各行政機関(前項に掲げる一の機関をいう。以下同じ。)がその所掌事務を遂行することを妨げるものではない。

 (期限の特例)
第二条  国の行政庁(各行政機関、各行政機関に置かれる部局若しくは機関又は各行政機関の長その他の職員であるものに限る。)に対する申請、届出その他の行為の期限で法律又は法律に基づく命令で規定する期間(時をもつて定める期間を除く。)をもつて定めるものが行政機関の休日に当たるときは、行政機関の休日の翌日をもつてその期限とみなす。ただし、法律又は法律に基づく命令に別段の定めがある場合は、この限りでない。


○ 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年七月二十日法律第百七十八号)
第二条  「国民の祝日」を次のように定める。
元日 一月一日 年のはじめを祝う。
成人の日 一月の第二月曜日 おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。
  《略》

第三条  「国民の祝日」は、休日とする。
2  「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
3  その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

○ 民法
第百四十二条  期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
コメント