PATEX HUNTER

マルクス経済学の視点で、「パテック・フィリップ」と「ロレックス」の世界を中立的私見で、社会科学的に分析しています。

〝君は『オールニュー』を知っているか〟を検証する。

2007-12-28 | 悩み

 数年前,怪しげな日本の雑貨街で,何でもいいからとりあえず〝イイ感じ〟のロレックスを探求していた私は,某ショップでオリジナルドーム風防の5513のとても汚い縁取りなしのサブマリーナと,こちらもオリジナル風防ですが,外装キズだらけで文字盤も焼けすぎの1675GMTがともに198000(当時は両モデルともこれぐらいの価格で,特別,安くは感じませんでした。今とは比較になりません)で販売されているのに少し,心打たれ,〝文字盤のドット夜光縁取りなし〟のロレックスを持っていなかった私は,初めから『オールニュー』を思いつき,早速,日本ロレックスに問い合わせをし,『5513は文字盤を交換すると縁取りあり,になります』 (5513ノンデイトのサブマリーナの後期タイプは文字盤に縁取りがあります)と言われ,仕方なく1675を購入しました(下図参照)。こちらのモデルの文字盤はもちろん縁取りなしの〝後年のオリジナル〟です。

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 ※ロレゾールや金無垢を『オールニュー』にする人はまずいないと思いますが,以前とは違って,顧客からの要望でオールニューをロレックスでは受けてもらえない場合がありますし,受けてもらえても1016エクスプローラーのようにケースの厚みが変化する場合もあります。もちろんモデルによっては最初から受けてもらえませんが,充分吟味研究してからロレックスへ依頼しましょう。金無垢パーツも含めて,バネ棒のような単純消耗品のパーツでもない限り,以前のように返却していただけませんから。

ところで,アンティークとはいえ,知らない人(…知人でも他人なのでイヤですが…)汚く使ったロレックスをヨシとしない私は,アンティークステンレスロレックス独特のくさいステンレス臭も嫌(メーカーのオーバーホールでこの臭いは消臭されます)なので,日本ロレックスにオーバーホール,プラス,〝初めての〟オールニューを実行したのでした。

結果は,1675の購入金額よりも高くつきましたが,満足です。(ブレスも新品装着で当時合計207532円。内装パーツの交換によって料金は変動します)

私は1675の新品当時はまだ幼稚園児でしたので,その雰囲気を知りませんし,経年経過で磨耗したであろう,丸みがかった1675のケースや,ブレスのバックルに致命的な凹があるのはやはり,私が経年経過させたものでもないので腕に着けていても,必ず嫌気が差すと思いましたので,サッサと日ロレに出したのでありました。

でも,この1675GMT,一度も着けて外出したことがないのは言うまでもありません。。

こんな『引き篭もり』こそが,ロレックスハンターであるロレヲタの悲しい性というものでございましょう。

※『オールニュー』とは,基本的に〝ムーブメント以外の外装部品をすべて新品のメーカーパーツに交換し,見た目新品〟にすることをいいます。例外的に,ムーブメントまでスイス送りで全内装パーツまでも交換し完全新品(ハックなしのキャリバー1570搭載のエクスプローラー1016をハックありのキャリバー1570搭載の1016にした事例もあります)にする,ことは例外で,これを『オールニュー』とはいいません。ただし,ミドルケースの交換は現在,シリアルが変更しますので,くれぐれもレアシリアルで高価な中古ロレには注意が必要です。

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Ref.1803とRef.118238を比較検証する。

2007-12-23 | 通販・買い物

デイデイターの私は帰宅後,そのまま直ぐにRef.1803(circa.1970) DAY-DATEに着替えています。このロレックスは完全なる自宅用です。その第一の理由は〝軽量〟だからです。これに尽きます。

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この軽さは,忘れてしまうほどで,そのまま愛犬のゴールデンとともに寝込んでしまっています。金無垢は常時体に着け続けると良いそうで,なんとなく私は健康もその購入理由の一つとして金無垢を購入し続けている気もします。

ところで今回は,両時代のロレックス最上級モデルの中の〝一般通常モデル〟の〝Ref.1803Ref.118238を比較してみましょう。

上の写真の左側は先程のRef.1803で,右側はRef.118238(circa.2002)の〝DAY-DATE〟です。

     Ref.118238の重量はRef.1803の1.4倍。

     Ref.118238の中古価格は150万円,Ref.1803のそれは100万円。

     Ref.118238のブレスレットはコンシールドの新旧2タイプ,Ref.1803のそれはコンシールドとクラスプの2タイプ。

     Ref.118238の日付,曜日変更の操作は簡便。Ref.1803のそれは,曜日を固定して午前零時を中心に針を左右に振れさせて日付を変更させるという面倒さ。

     文字盤のバリエーションはRef.118238Ref.1803。しかし,Ref.1803のダイアル(後年のオリジナル)はアンティークの味わいがある

     フーテッドベゼルの立体感がRef.1803は甘い。

     ブレス付きRef.1803のコンディションの良いものは極めて少なく,玉数も少ないためRef.118238よりも中古価格上昇率は1.5倍程度。

     Ref.1803の風防はプラスチック製でRef.118238のそれはクリスタル。

     Ref.118238Ref.1803のコマに相互互換性はありません。

…余談ですが,同時代桁リファレンスの18KWG(純度750)製と950Pt製の〝DAY-DATEのコマに互換性がありますし,コマネジやバネ棒は18KWGで共通といわれています。1コマあたりの価格は倍違いますし,もちろん重さも違いますが,新品の見た目は同じです。18KWGが黄ばんでくるのは経年によるものです。

…ですから,これを悪用して,ショップで稀に,〝18KWGのDAY-DATEのコマ取り不可の連続ブレスに,「950PT打刻のDAY-DATEのコンシールドクラスプ部をリンクさせた極めて軽量の偽装950PtDAY-DATEブレスを装着させた,ロレックス純正貴金属のガッチャマンボッタクリ950PtDAY-DATEが普通に売られているのには驚いたことがあります。950Pt〝DAY-DATE〟を購入検討されているほどの御方なら,並行新品より150万円ほども高いですが,六十回無金利にしていただいて,パッケージ(パッケージ料金は三万円程度の経費だそうです)された日本正規店でお求めされたほうが安心ではないでしょうか。

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以上,クリスマス直前の〝DAY-DATE〟ご購入のご参考にしていただければ幸いです。

950Pt〝DAY-DATEの写真はオーストラリアロレックスのカタログより引用。


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現行デイトナ,116509(18KWG)と116520(SS)を徹底比較検証する。

2007-12-16 | 悩み

 デイトナ購入に際して一般的に忘れがちなのがホワイトゴールド製のデイトナでしょう。それゆえに確かに前モデルの16519(18KWGの革ベルトタイプのデイトナ)のマーケット流通量は製造期間の短さ(3年間)も手伝って極めて少ないです。

 前モデルの18KYGSSのデイトナの店頭中古価格が等価,ということは前回検証いたしましたが,邦人はとかく〝金無垢=イエローゴールド=成金=嫌悪感〟というマイナスイメージが付きまといます。成金の是非は兎も角,一方の金無垢〝ピンクゴールド=桃金=LEONに洗脳された,ちょい悪オヤジ=おしゃれ〟という方程式が成り立ちますが,現行デイトナにこの桃金色,はありませんので,〝ホワイトゴールド=ステンレスに見た目同じで地味=上品,隠れたおしゃれ〟という可もなく不可もなく,というイメージでしょう。プラチナは更にホワイトゴールドのイメージを強烈にした,〝知る人ぞ知る〟といった極めて所有者の自己満足に傾斜した価値観を持たせる貴金属,といえましょう。

 こういった前提を踏まえて,今回のテーゼを検証してみましょう。

ステンレスのデイトナ(116520)の購入者はほとんどが,日本正規店(正規店では抽選会でもないかぎり,ステンレスのデイトナは一見さんには容易に定価販売いたしません)ではない,いわゆる〝ショップ〟で購入する普通の給与所得者で,ロレックスのコレクター,エンスー,ヲタ,ではありませんので,以下の購入動機が考えられます。

     スポロレ最高の複雑時計だし,クロノグラフが好きだから。

     コンビ(ロレゾール)のデイトナよりも並行価格は高いが,ブレスやベゼルなどに金色があるのは成金っぽく,職場,外回りでは仕事上日常の着用は困難なのでオールステンレスのデイトナのほうがオン・オフ問わず,気軽に着用できるから。

     芸能人が着用していてカッコイイから。

     みんなが知っているし,レアだから。

     海外各国定価以上のプレミアが付き,下取り買取ともリセールバリューが高いから。

     ロレックスのスーパースターモデルだから。

などです。

 これらの項目を,〝パッと見ステンレスかと勘違いされるホワイトゴールド〟のデイトナ(116509)と比較検証してみましょう。

流石に理由に〝ステンの方が,ホワイトゴールドのデイトナより重量が軽いから〟…はないでしょうけど,

     116509でも同じことです。

     116509も見た目は同じです。

     一般芸能人は116509のラインナップ自体知りえませんし,見た目は同じなので,カッコよさは同じです。

     116509の方が116520より生産量は少ないのでレアです。また上記③同様,〝みんな〟はホワイトゴールド製のデイトナ自体,知りません。

     116509にプレミアは付きません。むしろ正規店店頭の販売価格が高いのは日本が世界一です。116509のリセールバリューは購入時よりも大きく下がり傾向にあるのに対して,116520のそれは緩やかに下がるか逆に今後上がる可能性も期待できます。

     116509は見た目同じですが,基本的に116520ではないので,ロレックスのスーパースターではありません。

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 この様に見ていくと,116509を無視して,116520にそれほど頑張って購入するひつようはないでしょう。

決定的な116520の購入動機は〝金色ぎらい〟によるものなのでしょうから,〝見た目おなじ〟の116509でよいと思います。

これは現在のような並行新品価格,中古価格にお互いに大差がない場合に言えることです。

 ただ,現在,両モデルの文字盤に交換の制限(下記画像参照)がありますし,タキメーターベゼルデザインに違いもありますが,価格差,価値差を大きく左右するものでもありません。

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 私は現行の116509用ルーレットダイアルは嫌いですがベゼルデザインは116520のそれよりもカッコイイと思います。加えて100万円以上も出してステンレスの軽さではなく,

116509の金無垢の重量体感は,116520の比ではないことは確かです。

 恐らくロレックス社は長年続くステンレスデイトナの異常需要に一石を投じる意味でも116509をリリースしたはずです。本来のモノの価値とは何か,ということを消費者に考えさせるために。ステン人気に乗じた利益追求とはあまり考えたくありませんが。

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 しかし,ショップの店頭価格は現実に116509116520とは価値以上の大差がないはずなのに,金無垢よりもステンレスの方が安価というイメージの方が先行して,実際のデイトナ購入時にはステンレスデイトナで頭がいっぱいになって選択の余地がなくなっている。これが一般人の購入動機というものでしょう。これはデイトナ永遠の苦悶といえます。

※デイトナの画像は日本ロレックスのカタログより引用。


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金無垢:ステンレス=等価。これはロレックス16520だけです。

2007-12-15 | 悩み

 16520の中古価格急騰はあっという間に16528と同じ店頭中古価格となりました。私は日本正規店で新品購入いたしましたので,16528の購入額はもちろん16520の4.5倍もしましたし,重量も16528の方が16520よりも1.6倍もあります。

 ステンレスのデイトナ,確かにカッコイイですね。ジーンズに似合います。スーツにだって似合います。ライフシーンを問わず着用できる,究極のメンズウォッチといえるでしょう。

 しかしながら,金無垢のデイトナも重くてカッコイイです。会社の経営者,役員でもないかぎり,日常の仕事で着用することには少し抵抗があります。また〝ゴールドロレックスは成功者の証〟というアメリカ的考えからすれば,若年者には不向きとも言えます。

 つまり成功者が着用する16528と同じ大切なお金を払って16520を購入する方々は〝何者〟なのでしょうか。

 こういう価値観で金無垢デイトナと同じ価格のステンレスのそれを買う人は,正直,カッコ悪いです。数多あるコレクションの一つとして16520を購入するバブルな,お金持ちならお話は別ですが,ナケナシの虎の子の大切に積み立てて温めて来た自己資金で,異常なプレミアム(=金無垢と同じ価格)の16520を購入すること自体,ナンセンスです。

 お金が可哀相ですし,ステンレスは軽すぎます。将来,金無垢の重さに比べてステンレスの軽さは情けなくもなります。 『金無垢デイトナは似合わないからステンレスデイトナを買う』と言う前に,ステンレスデイトナを金無垢と等価で購入する方が私の目から見ても似合いません。

 まずステンレスを買う前に冗談でも金無垢を腕につけてみましょう。16520購入に躊躇う筈です。それが世界的価値観のある正常な人,物事に分別の付くオトナです。

 そうはいっても,店頭価格3,000,000円を目指して今日もマーケットから流通の〝玉数〟が激減しつつある16520は,世界的価値観を無視したロレヲタに大きく支えられながら価格高騰中なのです。

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1+16520ステンレスデイトナの異常価格急上昇を検証する。

2007-12-11 | 悩み

 私は現在,ステンレスのロレックスにはあまり関心がなく,ステンレスポールニューマンやステンレスの手巻デイトナの,新品PTデイデイト118206以上の販売価格をショップで見るたびに失笑していましたが,先日久しぶりにショップでまともに16520のプライスを見ました。凄く高価というよりも,手放すともう永遠に買う気が起こらないロレックス,になってしまった,と実感しました。

116520の買取価格もショップ店員さんの談話では三年前と比較して30%も上昇したとのことで,16520に至ってはコンディションによっては200万オーバーの販売価格とのことです。ひどいですね。

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この16520のプレミア価格が上昇し続ける理由ははっきりしています。

第一116520が本物とフェイクでそれらの区別が通常困難であり,両者の差別化として,本物の116520にそれほど価値を見出せないこと。

第二に日本ロレックスで修理可能な過去のデイトナが現在16520になってしまったこと。

第三に為替レートが基本的に円安傾向で,外国で買い負けていること。

であります。

第一と第二の理由によりロレックス初心者の需要高が大きく作用しマーケットからまず極上美品の16520から順次姿を消します。第三の理由により利益幅さえ確保できれば,それほど玉数を販売する必要はないが,とりあえずショップの面子として国内へ供給する必要から必然的に仕入値は高くなり,それにショップの営業利益も加重して販売価格を高値に付けざるを得なくなります。もちろんこれは16520に限ったことではなく,〝昨年新品で買えた価格で,今は中古価格〟…というロレックスが続出しています。

これからも16520の価格は異常上昇します。 〝黒・白〟ともに販売価格〝300万円時代〟の到来はそう遠い話ではありません。16520の価格上昇が手巻デイトナの急騰に牽引されているように,同時進行的に116520も同じ現象を辿るでしょう。

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