結論から言いますと、米俳優、ポール・ニューマン氏(1925-2008)が日常着けていたと思われるロレックスのコスモグラフは、白エキゾチック(恐らく外周はレッドではなくホワイトタイプ。以下同様)のステンベゼル×ノンオイスターであるRef.6239もしくは6262(おそらくこちら)と、晩年まで愛用していたと思われるノーマル黒文字板のプラベゼ×オイスターのRef.6263でしょう。
それでは検証に移ります。下記の3枚の画像が本物のロレックスのコスモグラフという前提でご覧ください。
モノクロ画像上段(1970年前後のニューマン氏)とカラー中段(1972年のニューマン氏)は白のエキゾチックダイアル付きのコスモグラフRef.6239もしくは6262を着用し、カラー下段(2000年以降のニューマン氏)は頻繁に目にする黒文字板のノーマルなRef.6263を着用しております。
ところで、ロレックスの時計を単独で時計オークションとして開始された頃から現在も海外カタログには、ステンレスモデルでなくとも、エキゾチックの黒白の文字板カラーの違い、リファレンス違いなども無視して、いわゆる〝エキゾチック〟文字板付ならば、すべて〝ポールニューマン〟であると記載されてきましたが、これは営利的で商業主義的なものに他なりません。上記の2ないし3種類のコスモグラフだけとなれば絶対的な個体数には限界があるため仕方の無いことかも知れませんが。
私がたくさんのニューマン氏の写真を見た限り、今回掲載した画像に登場するRef.6239もしくは6262、およびRef.6263が、我々が敬愛してやまないニューマン氏のコスモグラフであり、真の〝ポールニューマン〟モデルなのです。
Ref.6239もしくは6262の白エキゾチックは単に彼の所有した2本のコスモグラフの1本にすぎず、もう一本の黒ノーマルダイアルのRef.6263も〝ポールニューマン〟モデルということになります。
だからよく見られる、ノンオイスターまたはオイスターのプラベゼ×白エキゾチックや、ノンオイスター×黒エキゾチックは本当のところ〝ポールニューマン〟モデルではありません。これらは真の〝ポールニューマン〟モデルの一つ(ステンベゼルにノンオイスター×白エキゾチック)から単に〝エキゾチック〟文字板だけが営利目的から一人歩きした結果に消費者が巻き込まれた似非ポールニューマンまたは標榜ポールニューマンといえます。ロレヲタはこの辺も要注意してコレクションを弁えていますので、敢えてあらためて申しておきます。これらはポールニューマンモデルではなく、単に〝エキゾチック〟モデルというわけですね。更に言えば金無垢のポールニューマンもないのです。
話は変わりますが、私は以前ニューマン氏が一見するとプレジデントブレスのようなブレスレットにやや大振りで黒文字板、黒ベゼルのクロノグラフを着用している写真を拝見したことがありますが、どうも氏はオメガのスピードマスターも所有していたことは想像に難くないと思われます。だとすると、オメガヲタからすれば、こちらも〝ポールニューマン〟モデルというわけですが。
※〝エキゾチック〟ダイアル:現在海外オークションでも認知され、それらカタログの出品ロットタイトルにも〝ポールニューマン〟とともに併記されるようになりましたが、以前は日本のみの呼称であったようです。