PATEX HUNTER

マルクス経済学の視点で、「パテック・フィリップ」と「ロレックス」の世界を中立的私見で、社会科学的に分析しています。

現行デイトナ,116509(18KWG)と116520(SS)を徹底比較検証する。

2007-12-16 | 悩み

 デイトナ購入に際して一般的に忘れがちなのがホワイトゴールド製のデイトナでしょう。それゆえに確かに前モデルの16519(18KWGの革ベルトタイプのデイトナ)のマーケット流通量は製造期間の短さ(3年間)も手伝って極めて少ないです。

 前モデルの18KYGSSのデイトナの店頭中古価格が等価,ということは前回検証いたしましたが,邦人はとかく〝金無垢=イエローゴールド=成金=嫌悪感〟というマイナスイメージが付きまといます。成金の是非は兎も角,一方の金無垢〝ピンクゴールド=桃金=LEONに洗脳された,ちょい悪オヤジ=おしゃれ〟という方程式が成り立ちますが,現行デイトナにこの桃金色,はありませんので,〝ホワイトゴールド=ステンレスに見た目同じで地味=上品,隠れたおしゃれ〟という可もなく不可もなく,というイメージでしょう。プラチナは更にホワイトゴールドのイメージを強烈にした,〝知る人ぞ知る〟といった極めて所有者の自己満足に傾斜した価値観を持たせる貴金属,といえましょう。

 こういった前提を踏まえて,今回のテーゼを検証してみましょう。

ステンレスのデイトナ(116520)の購入者はほとんどが,日本正規店(正規店では抽選会でもないかぎり,ステンレスのデイトナは一見さんには容易に定価販売いたしません)ではない,いわゆる〝ショップ〟で購入する普通の給与所得者で,ロレックスのコレクター,エンスー,ヲタ,ではありませんので,以下の購入動機が考えられます。

     スポロレ最高の複雑時計だし,クロノグラフが好きだから。

     コンビ(ロレゾール)のデイトナよりも並行価格は高いが,ブレスやベゼルなどに金色があるのは成金っぽく,職場,外回りでは仕事上日常の着用は困難なのでオールステンレスのデイトナのほうがオン・オフ問わず,気軽に着用できるから。

     芸能人が着用していてカッコイイから。

     みんなが知っているし,レアだから。

     海外各国定価以上のプレミアが付き,下取り買取ともリセールバリューが高いから。

     ロレックスのスーパースターモデルだから。

などです。

 これらの項目を,〝パッと見ステンレスかと勘違いされるホワイトゴールド〟のデイトナ(116509)と比較検証してみましょう。

流石に理由に〝ステンの方が,ホワイトゴールドのデイトナより重量が軽いから〟…はないでしょうけど,

     116509でも同じことです。

     116509も見た目は同じです。

     一般芸能人は116509のラインナップ自体知りえませんし,見た目は同じなので,カッコよさは同じです。

     116509の方が116520より生産量は少ないのでレアです。また上記③同様,〝みんな〟はホワイトゴールド製のデイトナ自体,知りません。

     116509にプレミアは付きません。むしろ正規店店頭の販売価格が高いのは日本が世界一です。116509のリセールバリューは購入時よりも大きく下がり傾向にあるのに対して,116520のそれは緩やかに下がるか逆に今後上がる可能性も期待できます。

     116509は見た目同じですが,基本的に116520ではないので,ロレックスのスーパースターではありません。

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 この様に見ていくと,116509を無視して,116520にそれほど頑張って購入するひつようはないでしょう。

決定的な116520の購入動機は〝金色ぎらい〟によるものなのでしょうから,〝見た目おなじ〟の116509でよいと思います。

これは現在のような並行新品価格,中古価格にお互いに大差がない場合に言えることです。

 ただ,現在,両モデルの文字盤に交換の制限(下記画像参照)がありますし,タキメーターベゼルデザインに違いもありますが,価格差,価値差を大きく左右するものでもありません。

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 私は現行の116509用ルーレットダイアルは嫌いですがベゼルデザインは116520のそれよりもカッコイイと思います。加えて100万円以上も出してステンレスの軽さではなく,

116509の金無垢の重量体感は,116520の比ではないことは確かです。

 恐らくロレックス社は長年続くステンレスデイトナの異常需要に一石を投じる意味でも116509をリリースしたはずです。本来のモノの価値とは何か,ということを消費者に考えさせるために。ステン人気に乗じた利益追求とはあまり考えたくありませんが。

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 しかし,ショップの店頭価格は現実に116509116520とは価値以上の大差がないはずなのに,金無垢よりもステンレスの方が安価というイメージの方が先行して,実際のデイトナ購入時にはステンレスデイトナで頭がいっぱいになって選択の余地がなくなっている。これが一般人の購入動機というものでしょう。これはデイトナ永遠の苦悶といえます。

※デイトナの画像は日本ロレックスのカタログより引用。

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