PATEX HUNTER

マルクス経済学の視点で、「パテック・フィリップ」と「ロレックス」の世界を中立的私見で、社会科学的に分析しています。

オーバープレミアム、ロレックス・デイトナのデッドストックの価値を検証する。

2005-08-27 | 通販・買い物
 ロレックスにおいて、男性の処女志向の価格が反映して具現化しているものの一つがデッドストックのプロフェッショナルモデル、特に〝ステンレススティールのデイトナRef.16520〟でしょう。
ROLEX0138ROLEX

 〝デッドストック〟についてはロレックス専門店の業者の方々がその定義について議論されていますが、基本的に、完全な未使用はロレックス正規店頭もの以外にはない、というところが私の結論です。それ以外が、デッドストック論をより複雑にし、自己中心的な論議が噴出する原因にもなっているのですが。。

 ところで、この〝未使用表示〟のRef.16520の現実の売買では、年式にもよりますが、その絶対量の減少から、中古の約二倍以上で売買され、日本正規品+購入者、日付未記入保証書請求葉書き、であれば、もっとプレミアムが付きます。

 しかし、数十日後には腕に着け、ホログラムシール上のシリアルナンバーは汗で消え、裏蓋シールの周囲からシールが腐食し、最終的には、それも剥がして、購入時の半値の中古に成り下ります。つまり処女喪失です。
 よしんば、これをそのままのコンディションで金庫にでも保管されつづけたとしても、所詮は〝油を必要とする機械〟ですから、数年後にはロレックス社での正規オーバーホールは必要になります。そのときに、未使用ミントコンディションは失われ、これまた処女性は喪失してしまいます。
ROLEX0144ROLEX

 ではなぜ、デッドストックを求めるのでしょうか。

 それは〝コレクターの性(さが)〟に他なりません。〝実体としての価値〟はどうでもよく、〝自己の底知れぬ、マスターベーション的な欲望発散〟なのですが、以前〝手巻デイトナやポールニューマン〟のところでもお話したように、このRef.16520の裏蓋シールと包装ビニールに100万近くの価値=〝国産新品軽自動車価格〟なんてあるはずがありません。
 【実体の価値がない=市井には理解されない=プレミアム価格の根拠が脆弱ゆえに価格が暴落】という方程式が成り立ちます。非投機的行動と、数多くの個体数を次々とハンティングをよしとする〝ロレックスハンター〟は、【コンディションの良い中古を捜し求めつづける】ことを、その醍醐味として楽しみます。

 つまり、資金力にまかせて実体のないものは購入しないということです。

 現状のロレックスのプレミア価格はその希少性価値が作った、当然の帰結…という人もいますが、こういうものはクラシックカー他の品物では、コレクターの競り合いで、蒸留酒のように、ゆっくりと形成されることが一般的ですが、ロレックスのプレミア価格は〝ロレックスブーム〟といわれているとおり一過性的な流行なので、この急激な取引価格は、中古・並行時計業者の煽動に、ロレックスの門外漢が鴨として、うまく引っかかった帰結としての〝ロレックスプレミア〟といえます。

 ブランドが考える、マーケティングは一過性ブームに陥らず、長期的でゆっくりとした上昇発展を希求するものです。ロレックス社もそう考えているとおもいます。
なぜならロレックス正規仲卸会社の方のお話によると、ロレックス社は販売量が増加したからといって、生産ラインを増加させない、ということからも自明でしょう。

 中古時計店によく見られる、REF.16520の未使用、REF.1016、REF.1019の現行販売価格は10年前と比較すると、愕然とするほどのオーバープレミアが付いて、かなりの希少性を醸し出している感を、ロレックスファン初心者には与えますが、あの価格で本当に売れればいいと、熱心に思っている業者はほとんどいなく、売れれば儲けもの、お店の広告塔、…的なところが本音ではないでしょうか。だから一年以上の在庫であっても、不良在庫ではないのです。

 …本日はここまでのお話にいたします。

 今週はラッフルズプレイスで華人系新会社にVC投資してきましたが、次回は、アジアで香港と日本と競り合う、シンガポールの時計事情をお話いたします。
 休暇中、華人と訪問したシンガポールロレックスセンターの日本語が話せる初老の男性はとっても腰の低い、やさしいお方でした。でも英語でロレックスについていろいろと教示していただき、楽しいひとときでした。日本にはないロレックスのフリーカタログ、ちゃっかり持ち帰りました。日本では雑誌にも未掲載の珍しいチュードルがいっぱいありました。ちょっとドキドキしました。

 やはり、ロレックス購入は正規がいいですね。



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ドイツの素敵なパテック・ロレックス正規店。

2005-08-21 | 旅行記
 FRANKFURT AM MAINの中心街、KAISERMARKTとGOETHEHAUSに隣接する、EU諸国屈指のロレックス正規店〝CHRIST〟本店(写真下)です。
 この建物はビックリするほど大きくて、圧倒されます。ドイツでのVCの仕事で先月、フリーの時間のときにウィンドウショッピングしてきました。元来、ドイツ屈指の宝石商で、オリジナル宝石も一見の価値があります。
 ROLEX0154ROLEX


 ドイツでは時計製造もする、〝WEMPE〟(本店はHAMBURG。)と二分する、ビッグ時計店としてメジャーです。こちらはドイツ国内はもとより、PARISやNEWYORK、MADRIDにも支店があります。

 世界ではこのお店と、SINGAPOREに、その本店がある〝THE HOUR GLASS〟がロレックスの二大オーガナイズドリテイラーだそうです。
 
 ハンブルグの時計店のプラチナブロンドの女性店員がおっしゃっておりましたが、私はこの辺は明るくありませんので、不明です。

 それにしても、欧州の路面時計店のディスプレイは、とってもお洒落です。
 正規店として、お店の趣味もいいから、貴族的な富裕層が、いっぱいパテックやロレックスを買っていって、お店も資本蓄積して、いっそう巨大なお店に拡大していくのでしょうね。

 ヨーロッパでディスカウントは不可能といわれているのは良く聞きますが、それは、その時計店側から見て、そのお客様によって、ケースバイケースでしょうけど、私はいつも最低15%は、しっかり割引してもらっています。おまけに消費税が一般に日本より高額ですので、タックスリファウンドでさらにキャッシュバックされますので、うれしいです。

 もちろん現地、ドイツ語での会話が前提となりますが。

 確かに、ドイツにはフランスよりも、パテックやパネライのレアな時計が、デッドストックとしてあります。たぶん他国よりも時計の正規価格が相対的に高い、のでしょう。

 私は仕事で随伴のトルコ系ドイツ人と、三人でウィンドウショッピングしていましたが、一人のドイツ人に〝あまり、レア、レア…とレア物ばかり、食べ過ぎると、おなかをこわしますよね。。〟といって、みんなで爆笑しながら、ゴールドロレックスを観た後、ゴールドファイルの大きなお店に行きました。


 


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ロレックス並行輸入並びに中古品取扱い店について検証する①。

2005-08-20 | 通販・買い物
 日本のロレックス流通には大きく2つに大別されています。正規店と並行店と呼ばれるお店です。

 正規店は日本ロレックスによる安定的なロレックスの供給と、展示用ディスプレイや備品、粗品などのプレミアムを時計店にもたらします。ですから、正規品以外のロレックスを販売すれば正規店として認可されなくなります。

 一方、並行店の流通は、更に複雑で、海外正規店がその源泉であることには、どれも共通ですが、直輸入パターン(海外正規店から直送輸出または海外正規店店頭で並行店側が直接買付国内持込→日本の並行店)と、仲介バイヤー介在パターン(海外正規店→バイヤー→日本の並行店)に分けられ、純粋に言うとロレックス社の〝正規〟流通経路から言うと、海外正規店から手を離れて〝販売〟されてしまったのですから、神経質的に言えば、純粋な〝新品〟ではありません。

限りなく新品に近いブルー〟といった感じでしょうか。

 その証拠に、ギャランティーには日付スタンプが押印されていたり、備品が欠品、裏蓋シールが剥がされていたり、最悪にもギャランティーに外国人バイヤーのサイン(海外正規店店員のそれではない)がされている場合が、都内では多々見られるからです。
 
 では、日本の並行店のロレックスという時計の流通販売拡大に対する貢献度という点でいえば、どうなのでしょうか。答えは貢献をした、です。

 日本のロレックスマーケットは、内外価格差を非常に意識した海外現行品と、中古、アンティークのトリプルパンチで、現行正規品にも影響を及ぼしながら、総体的物量は全体として大きくなりました。加えて、メーカー修理費だけでもかなりのウェイトを占めてきており、多少の正規品販売売上が減少しても、それほど影響は受けていないものと推察されます。
 
 しかしながら、並行店では、十数年前に比べて、世界経済における、日本経済の相対的低下により、内外価格差を縮小し、以前ほどロレックス販売で利鞘を大きく儲けることは困難となっていることは、数年前から漸次、ロレックス専門店の他ブランドへの転換ないし縮小が見られることからも確かといえましょう。

 現在、日本におけるロレックスマーケット(ロレックス売買需給バランス)は、その実体と動向から高度成長(1993‐2003年)から安定成長(2004‐X年)に入ったと言われています。
その一つの理由はエクスプローラーRef.114270、16570やデイトナ116520が、以前より労せずして、正規店でも購入できていることが一番わかりやすい現象といえましょう。

…とりあえず今日はここまでのお話となります。



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ロレックス・デイトナ Ref.6XXXナンバーシリーズの真価を検証する。

2005-08-19 | 通販・買い物
 ROLEX DAYTONA Ref.6XXXナンバーシリーズとはロレックス・デイトナのRef.6241、6262、6264、6263、6265モデルの総称であり、いわゆる〝ポールニューマン〟に始まりエルプリメロ自動巻ムーヴメント搭載のRef.1652Xシリーズ登場でその終焉を向かえた手巻〝DAYTONA〟(1960年代初期~87年)のことです。
 
 ロレックスハンターはロレックスの売買で差益を獲得しようとする投機家ではありませんので、投機目的でRef.6XXXナンバーシリーズを所有することはここでは考えないことにしましょう。また「頭の中はロレックスのことで仕事にならない」、というライフスタイルであっても、現実はロレックス以外の、市井で働き、生活もしているので、「物価(モノの価値)を考えることが可能な人間」であることも前提として付け加えます。

 それでは、手巻デイトナ(ROLEX DAYTONA Ref.6XXXナンバーシリーズ)の真価について、その是非を以下の通り、検証してみます。

【価値がある理由】
・現行のデイトナには〝ない〟何処か〝エキゾチック〟なデザインがあり希少である。
・バルジューの希少なムーヴメントが搭載されている。
・現行より小ぶりでカワイイ。
・プラスティックの黒ベゼルが現行にはない。
・世界的(特にイタリアと日本)に人気がある。

【価値がない理由】
・1993年にはポールニューマン・ステンレススティールで140万、それ以外のデイトナでは90万が2005年ではそれぞれ650万、300万と、日本の経済成長とは大きく反比例して、価格が実体(単なるステンレス製のクロノグラフ)を無視した異常な高騰がみられる。つまり上記の価格変動に見られるとおり、本来の〝物の価値〟から大きく逸脱している。

→現在の海外バイヤーおよび世界3大時計オークション(サザビーズ・クリスティーズ・アンティコルム社)の各落札取引価格は次の通り…
・ポールニューマン・ステンレススティール:280万円前後→日本国内一般人に売却時の利鞘は200~300万円程度。
・ポールニューマン以降の手巻デイトナ・ステンレススティール:180万円前後→同上に同じく利鞘は100万円前後。

…これらデイトナをバイヤーが仮に直接、一般消費者に箱、タグ、小冊子をかき集めて、10本販売すれば、JPYで年収1,000万~3,000万となり、日本の平均サラリーマン年収の数倍となる。もちろんこんなステンレススティールの手巻デイトナ購入者はローンを組んでせっせと支払う、平均以下の暇なサラリーマンが大半であろうと思われる。

…ちなみに当時(1982年前後)の日本ロレックスのカタログによると、
   新品Ref.6265/8 金無垢  296万円
新品Ref.6265/0 ステンレス38万円
   新品Ref.18038 デイデイト398万円(コンシールドクラスプブレス付)
   新品Ref.16013 デイトジャスト89万円(ロレゾール) 
並行店または質屋で見かけるデイデイトやデイトジャストの中古価格とデイトナの異常価格を比較すれば、言わずもがなです。

・そもそも、製造しなくなっただけの手巻レアムーヴ〝バルジュー〟ムーヴと、同様にエクシオシオールパークのムーヴや、現行エタムーヴなど他社の機械機構との違いは、一般消費者には理解できないし精度比較も生活上なんら支障も無い、加えて、ムーブ毎に比較した価格をつけることは困難。
・パーツがそもそも当時のオリジナルとは言い難い。加えて箱が付属と言えども、本来の箱であるものはほとんど無い。
・本物の手巻デイトナとその保証書さえあれば、取扱説明書やタグ、内外箱は事後に添付し、さらなる付加価値をつけて高額で販売される可能性がある。
・ロレックス社の修理が拒否されていく事態が進行中である。つまり、社外修理はパーツの交換時に改造品となる可能性が高く、ロレックスのオリジナル性が損なわれる。
・前オーナーのキズ、凹み、ダイアルヤケに郷愁や趣きは、通常感じられなく、未使用に近いコンディションが理想だが、だからといって、ポールニューマンのオールニューは現実不可能である。
・手巻デイトナが現行であった販売当時は店頭では売れず、注文しても入荷せず。(←何故か中古ショップに都合が良いように、レアの根拠とされている)
・かなり精巧なリダンダイアルが横行していて判別が困難なものがドイツで確認されている。

… このように検証すると、手巻デイトナの現状価格はロレックスの門外漢だけがその価格で購入し維持する、きわめて特異な集団の評価に支えられていると言えます。

 ロレックスハンターは市井でも地位のある方々なので、もちろん、〝モノの価値〟を冷静に判断できます。したがって、手巻デイトナは、現状の価格になる前に既に購入していたか、さもなければ、購入なぞ考えもしていないのです。

 ごくひとつまみの先天的ブルジョアなら話は別ですが、コンプレックスのメルクマールであり、独り善がりの没個人化の危険性が高いポールニューマンデイトナ、の代金600万円もあるのなら、デイデイトなどの別の金無垢のロレックスや洋服や株投資やAV機器などに分散投資するのが自然で、ライフスタイルにも幅が出て活き活きした人生に当然なります。

…100万円以上のプレミアムが付くステンレススティールのロレックスに実体価値はありません。この辺もまたの機会にお話いたします。

 急上昇中のシードゥエラーRef.1665と、〝スティーブ・マックイーン〟モデルと呼ばれるエクスプローラーⅡRef.1655の高騰は、日本の業者の最後の切り札として登場しました。
しかし、ロレックスオーナー集団との、最後の決戦?はGMT-MASTER、Ref.1675をもって事実上の終結となり、全ラインのプロフェッショナルモデルのプレミアは急落することでしょう。

 そのよい一例は、日本で100万円オーバーの大人気、〝R〟ナンバーのエクスプローラーRef.1016が、海外オークションでは45~50万円台で常に取引されるようになってきたためです(L、R以前のハック付は落札取引40万前後、ハックなしはコンディションや年式にもよるが35万前後であり、ハックがつけば消費者にとって正しく〝八苦〟…となる)。つまり、日本店頭のRef.1016の、そのほとんどが、いわゆる〝不良在庫〟化しているといえましょう。



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ロレックスの〝後年のオリジナル〟ダイアルについて。

2005-08-18 | うんちく・小ネタ
 ロレックスの後年のオリジナルで代表的なものはなんといってもRef.1016です。このエクスプローラーの後年交換用ダイアルは、その特徴として、〝王冠マークが「歪に開いている」〟ことです。

 後年のオリジナルダイアルとは…、一般的に次のように定義されているようです、「製造中止モデルのダイアルを新品交換するために、補完的かつ一時的に生産したダイアル」のことです。

 それらはRef.1016以外には、Ref.1601、1803(PGは無い)1665、1655、1675やデイトナ手巻き最終タイプなどで、プロフェッショナルモデル以外はカラーバリエーションは限られています。しかし、これらはいつまでロレックス社に在庫しているか不明です。在庫無くなり次第…が正しいようです。

 ここで、たった『ダイアル一枚で、プレミアムが300万円』付いてしまうものが、よく知られた、〝ポールニューマン〟と呼ばれた手巻きのデイトナです。

 この〝ポールニューマン〟の次世代の〝最終タイプの手巻きデイトナ〟にロレックス社のオーバーホールで文字盤交換用としてストックしてあった、〝ポールニューマンの文字盤〟を交換して付けたものが多く見られます。
 つまり、本来ポールニューマンタイプではない手巻きデイトナに、ポールニューマンのあの文字盤に交換してもらい、実しやかな俄か〝ポールニューマン〟としてしまうのです。ですから、デイトナに白黒合わせて、4種類の交換ダイアルが存在したことになります。1980年代から1990年代初期までなら、このような、投機目的の強かなロレックスバイヤーは海外には多くいたようです。
 そのよい例が、スクリューロック付きプッシャーがある手巻きデイトナの文字盤が〝ポールニューマン〟のデイトナ(600~700万)です。これのほとんどは年式からいっても、オリジナルのポールニューマンではない、〝亜流のポールニューマン〟でしょう。

 本物のロレックスハンターやコレクターは〝オリジナルに拘りますので、後で組込まれた〟ロレックスは買いません。加えて言いますと、ポールニューマンのデイトナは価格の割には怖くなるほど、軽くて、ガチャガチャしています。お金の価値とまったく均衡していないのが、購入後、罪悪感さえ感じてしまうのは何故でしょうか。

…手巻きステンレススティールのデイトナの市井価値についてはまた次回の機会にお話いたします。

 



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