タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

かぞえって知ってます?

2020-09-25 20:52:38 | 産科
シルバーウィークはどこも混雑していましたよ。
我々夫婦は満と、かぞえで還暦なので、そのお祝いにと孫とシャボン玉をしているのです。
ですが今では若者よりも高齢者の方が多くなりつつあって、歳を取ってもあまりおめでたくなくなりましたね。
定年も60歳から65歳になり、そのうち70歳になるでしょう。
だから60歳になっても仕事を辞める気にはならないものです。

今日は丹波篠山市長室に出かけてきて、市との契約書を交わしてきました。
記者会見も有ったので、新聞にも出るかもしれません。
市から依頼されるまでもなく、私はこの地でできるところまで、お産の介助を続けるつもりなのです。
だって私より後の世代で、産婦人科を開業したいなどと考える人はとても少ないからです。

では市民病院では分娩を取り扱うところは?と言うと、それもなくなってきているのですよ。
宝塚市民病院は昨年に4億円の赤字を出して、これ以上存続できなくなりそうなので、
産婦人科や小児科、救急医療などから撤退して、利益の出る高齢者医療に特化しようと検討されているのだとか。
今年はコロナのせいで、一段と赤字が進んでいることでしょうからね。

川西市では、市民病院は民間に移譲されたのですが、2019年分の決算が報告されて8億円近く赤字になったようです。
せっかく民間に移譲されても、これでは存続できないでしょう。

お隣の三田市民病院では、同じく2019年に17億円の補填を受けたようで、
産婦人科からは撤退したいので、神戸市北区と提携すると言われています。
提携と言えば聞こえは良いのですが、要するに産婦人科にかかりたい妊婦さんは済生会病院に行って欲しいということです。

加西市民病院は産婦人科を閉められました。
三木市は民間に土地を無償提供したのですが、結局破断になりましたよ。
それで三木市と小野市で合同で病院を新設されたのです。
小野市は小野レディースクリニックを無償で提供すると言われたのに、次の先生が3日でギブアップされたそうです。
それでお産の取り扱いを止められたのですよ。

丹波市だって、県立病院ができて喜ばれているのでしょうけれど、
そこはまだ「地域周産期医療」を提供できていないのです。
さらには1億円出すから開業して欲しいと募っておられますが、誰も手を上げないのです。
誰だって、1億円もらっても利益が出ないと知っているからですね。

そんな中での本日の、丹波篠山市とタマル産婦人科の提携だったというわけです。
まあ、これで市民のみなさんには一件落着と行けば良いですね。
今頃、助産所で産むことになっていたのを考えると、とても良かったですよ。
しかもわずかの助成だけで産婦人科医療を継続できるのですから、市の財政健全化に寄与することでしょう。

ただし、これだけでは解決できない大きな問題が残っているのです。
ついでなので、ここで丹波医療圏域の問題点を指摘しておきましょう。
むかしは1次医療、2次医療、3次医療とか言ったものです。
ですが今はそんな言い方はせずに、正常分娩を取り扱う施設、地域周産期医療を提供する施設、そして総合周産期施設という風に分類されるのです。
1次の代わりに正常、2次の代わりに地域、3次の代わりに総合、と言うようになったのです。


正常分娩を扱う施設とは、タマル産婦人科の他に、県立丹波医療センターもこれに属するのです。
次の地域周産期医療施設とは、済生会病院のように、周産期に係る比較的高度な医療行為を、24時間体勢でできる施設を指します。
そして総合周産期医療を提供するのは、神戸大学病院や神戸市立医療センター中央市民病院などの、リスクの高い妊娠に対する医療や高度な新生児医療を提供する施設を指します。
わかりにくいので、図で示してみましょう。

丹波圏だけが、ブルーの地域や、ピンクの総合が無いでしょう?
ここが問題なのですよ。
今日もせっかく記者の方々が居られたので、説明したのですが、キョトンとされていたので、
おそらく分かっていないのでしょう、何が問題なのかを。