タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

淋菌は注射で治る?

2015-09-02 21:21:26 | 婦人科


大阪市の統真(とうま)くん、7月30日生まれ。
「強く賢く、優しく育ってください。
TVが無いことで、とてもゆったり静かに過ごせて良かったです。
きめ細かな声かけをしてくださったので、安心でした。」

真実の愛で、世界を平和に統一できればいいですね。
すばらしいお名前ではありませんか。

TVが無い生活は、赤ちゃんにとっては、とても必要なことですね。
TVに子育てをしてもらっていてはいけませんものね。
だいたい大人がTVにかじりつくのも時間がもったいない。
それでも入院が長い方は、最近ではスマホやDVDなどで見られていることも有ります。
まあ、ルールを決めればいいのでしょうね。

9月から、このブログは夜の外来に合わせて、月、水、金に更新させていただきます。
なので、これまでのように曜日によって内容を限定しないようにしていくつもりです。

今日のお話は淋菌感染症です。

新生児が生まれるとすぐに、目薬をしていたのです。
塩化鉄という、酸化剤なのです。
だからしばらく涙は黒くなって、目の周りが黒くなってしまうので、
お母さんに心配をかけていたのです。

この塩化鉄の目薬の目的は、お母さんの膣の中に、淋菌というバイキンが居ることが有り、
それが赤ちゃんにお産の時に感染してしまい、
赤ちゃんが失明してしまうことを防ぐためなのです。
ところが今は、淋菌による感染はかなり減少したこともあり、
また目薬が安すぎて採算が取れずに発売中止になってしまったので、
タマル産でも、この、生まれた時の目薬や中止したのです。

そのためか、ときどき新生児に目やにが出る子が増えたように感じています。
増えた子だけに、抗生物質の目薬を処方しているのです。

女性の場合、クラミジア子宮頚管炎はよく有るのですが、
淋菌感染症は少ないですね。
最近久しぶりに診断したので、驚くくらいです。
ですが、男性ではときどき有るようですよ。
なぜ性感染症なのに、男性に多くて女性に少ないのか分かりません。
同程度居てもよさそうなのですが。

治療は今までの飲み薬はほとんど効きません。耐性菌が増えたためですね。
注射剤しかダメなのですよ。
ところが最近感染した女性のパートナーは、飲み薬で治したらしいのです。
ホントかな?
注射薬でもセフォシジム、セフトリアキソン、スペクチノマイシンくらいでしょう。
このうちの1つを常備していますよ。
もちろんこの女性にも、注射してあげました。

それでも問題は有ります。
淋菌は性感染症だから、性器や膀胱にばかり居ると思われるでしょうが、
のどに居ることも有るのですね。
オーラルセックスの増加により、感染者の10~30%は、咽頭にも居ると言われています。

先ほどの抗生物質の注射の一部は、のどの感染には弱いのです。
保険が利かないので、膣も咽頭も2箇所も細菌検査に出すのは無理がありそう。
耳鼻科なら咽頭なのでしょうが。
だから治ったと思っても、咽頭に感染が残り、キスでうつすということが有るかもです。

性行為で感染すると、2~7日の潜伏期間が有って、
その後排尿痛や、尿道や膣からの分泌物が増加します。
淋菌の場合は男性は強く症状が出て、女性は気付かないこともあるのですけれど。

先ほどの女性に、彼氏にクギを刺したか?と質問したところ、
大丈夫だと答えていました。
私に言わせると、またすぐに患者さんとして来られることになるのに、
と教えてあげた方が親切かな。
そう、必ずと言っていいほど、STDをもらってくる人は、繰り返すものです。

ただ、脳に抑制が効かない、というのも、1つの疾患、あるいは発達障害ではあります。
延髄などの原始脳は性欲を表出しますし、
外側の大脳皮質は、それを抑制する方向に働きますからね。
酩酊状態では、抑制が効かないという経験をお持ちではないでしょうか。

だから治すためには、注射薬でよく効くのを探してくる、のではなくて・・・。