タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

前期破水したらどうなるの

2014-04-07 21:27:47 | 産科

今日、入院の母子の面会に来てくれた子供たちは、中学生と小学生の姉妹でした。
赤ちゃんのイトコになるのですね。
上の子は柏原タマルで、下の子は篠山タマル産で生まれたのだそうです。
そうそう、4月1日が開院記念日なので、おかげさまで創立15周年ということになりました。

さて、今日、月曜日はお産のお話でしたね。
最近、妊娠36週で破水された方が居られました。
復習しておきますが、37週からが正常のお産ですよ。
このように陣痛が発来する前に破水してしまうことを、前期破水と言います。
本当は37週以後に、陣痛が先に来て、子宮の出口が10センチ開いて、パンと破水するのが良いのですよ。
それが適時破水なのです。

この前期破水は10人から20人に1人、起こるとされます。
私の感覚としては、もう少し多いようにも感じるのですが。
陣痛が来る前に破水してしまったら、どうなるのでしょう?
よく有ることなので、前知識は持っておいた方がいいですよね。

今はもう無いのですが、私も働いていた尼崎に有ったある産院では、
破水して24時間が経つと、帝王切開というところが有りました。
確かに外国では多いのですよ。
例えば早産しそうな時に、日本では破水しても待機的になるべく長く保たせるという治療をしますが、
欧米などでは、週数が浅くて胎児がすごく小さくても、平気で帝王切開をすぐにしてしまいます。
日本でも最近は、30週にもいかないような前期破水のお母さんを、母子センターに紹介しても、
比較的に早期に産む方向にあるようです。しかも意外と膣から産む場合も有ります。

なぜ破水すれば、すぐに、できれば24時間以内に産んで欲しいかと言えば、
だいたい24時間から48時間もすれば、子宮に感染がおこって、熱が出てくるのですよ。
そうすると、赤ちゃんがせっかく元気で生まれてきても、赤ちゃんも熱が出て、
呼吸が早くなってきます。タマル産で抗生剤の治療でましになることも有りますが、
ひどいと母子センターに赤ちゃんだけ転院、ということにもなってしまいます。
その場合は最低でも2週間は入院になってしまうので、お母さんが母乳を確立することができなくなってしまうのです。
だいたい、母子が生まれてすぐに離ればなれになるなんて、寂しいですよね。
その赤ちゃんの一生にさえ、悪影響が起こるかもしれないですからね。

ですから妊娠37週以降に破水した場合は、陣痛促進剤を使用することが多いのです。
この陣痛促進剤という薬、とてもいい薬なのですが、毛嫌いする方も居られます。
たしかに生命に関わる薬ですからね。
ですが、使わないとそれはそれで、感染によって生命に危険が生じることの方がずっと多いのは確かでしょう。

使用する薬の種類ですが、1日目は飲み薬のPGEという薬を、タマル産では使用します。
これは子宮の口を柔らかくさせる作用が強いので、前期破水の時はとくに使用すると有効です。
それでもその日に生まれなかった場合は、翌朝からPGFという薬に換えます。
こちらは強い陣痛が周期的に来る薬なので、ペアで使用すると効果大です。
ここまでするとたいていの赤ちゃんは生まれます。
他にオキシトシンという陣痛促進剤も有るのですが、これは分娩直前に使用すると良い薬です。
チョコチョコと陣痛が来るのですよ。だから長引いて、陣痛の間隔が開いて来た時には有効ですね。

妊娠第10ヶ月になると、タマル産では、ソフロロジー学級を健診の帰りに受けていただいています。
そこで毎週違うテーマで、お産の練習をするのです。異常分娩の練習もするのですよ。
そう、お産はみんなうまくいくというのは思い違いです。
お産はたいへんです。しかも、いろんなトラブルに見舞われます。
だからいろんなシチュエーションをイメージトレーニングしておくのがいいのですよ。

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