タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

疲れ易くて、寒がりですか?

2014-02-26 22:21:33 | 婦人科
疲れ易くて、寒がり、月経の量は多めで不規則、
脈はゆっくりで、物忘れしやすく、気力もなく、
便秘がち。
そんな症状はもしかして、甲状腺機能低下症かもしれません。
その中でも代表的な病気は橋本病です。

逆に、更年期でもないのに、暑がりで、汗が出易く、
イライラしたり、集中力が無い。
月経は少なめで、便は柔らかい。
こっちは甲状腺機能亢進症の可能性が有ります。
いわゆるバゼドウ病ですね。

検査したければ、甲状腺ホルモンであるfT4とfT3の検査をします。
甲状腺はのどにある、蝶々のような形をした臓器です。
そして甲状腺を刺激しているのが頭の中の脳みそにぶら下がっている下垂体から出る
TSHというホルモンも一緒に検査します。

下垂体からのTSHが上がっていて、甲状腺からのfT4が下がっていたら、
甲状腺機能低下症です。逆は機能亢進症。
甲状腺のホルモンは正常なのに、下垂体からのTSHが上昇していたら、
潜在性の甲状腺機能低下症です。
これも不妊症の検査の時には重要なので覚えてください。
何か学校のテストみたいですね。
もう嫌になってきましたか?

機能低下症の橋本病の方は、甲状腺に対して、自分で自分をやっつける自己抗体、
別の名をTgAb抗体や抗TPO抗体というのが出来て、
甲状腺の働きが落ちてしまうのです。

バゼドウ病の方は、甲状腺を刺激するTRAbという名の自己抗体が出来て、
甲状腺機能が亢進する病気です。

ここまでが前置きです。
甲状腺がThroxineサイロキシンという名だということが分かれば覚え易いかな。

甲状腺機能低下症だったら、流産しやすくなります。
あるいは甲状腺機能亢進症でも同様に流産しやすくなります。
だから不妊症の検査では全員に検査をしています。
ですがもう1つ分かってきたのは甲状腺機能のTSH、fT4、fT3の検査では正常値を示しても、
先ほどのTgAb抗体や抗TPO抗体という抗体が上昇しているだけでも、
流産が高率に起こることが分かってきました。
だからできればこれからは、不妊症や不育症の方は甲状腺機能が正常であっても、
さらに精密検査をしておいた方が良さそうです。

それともう1つ、甲状腺機能のfT4が正常値であっても、
それを刺激する下垂体のTSH(甲状腺刺激ホルモン)が軽度上昇していれば、
潜在性の甲状腺機能低下症と言って、この時も治療の対象になります。
甲状腺の場合は治療するとしないとでは、生児を得られる率がグンと上がるのですから。

今日もう1つ覚えておいてほしいことは、
よく不妊症の検査で卵管造影検査を受けられる方が居られます。
大きい病院では放射線技師さんが居られて、造影検査もたやすく受けられるので、
不妊症の方は全員受けられるかもしれませんね。
ですが、この造影検査に使われる造影剤のリピオドールという薬の5~10mLには、
ヨウ素薬2.4~4.8グラムという高濃度のヨウ素が含まれています。
卵管造影検査(HSG)の後には、半年ほどの長期に渡って骨盤内にヨウ素が残存し、
甲状腺機能低下症になることが有ると言われています。
この検査で逆に妊娠高血圧症候群や、原因不明の不妊症が引き起こされる可能性があるようです。

不妊の検査で不妊症になっては困ったものです。
ちなみにタマル産では、卵管の検査には通気テストという炭酸ガスを通す検査をしています。
コーラの泡のように、炭酸ガスは二酸化炭素となって容易に排出されますからね。
しかも、この検査の後には、むかしからよく妊娠率が上がると言います。
マウスの実験では、子宮の中に炭酸ガスを入れると、
子宮の内膜が厚くなって、偽妊娠という状態になります。
きっとそのように、子宮が着床しやすくするためですね。

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