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公開シンポジウム「環太平洋の環境と文明を考える」に参加

2012-06-05 09:58:04 | 講演会、学成り難し・・・

先日,札幌大学45周年記念公開シンポジウム「環太平洋の環境と文明を考える」に行ってきた。このタイトルは抽象的で分かりにくいが,本田優子「アイヌの世界観から環境を考える」,加藤博文「北海道の先史文化のダイナミズムと環境」,高宮広土「世界の中の琉球列島先史時代」,坂井正人「アンデス文明と環境,ナスカの地上絵をめぐって」,青山和夫「マヤ文明と環境」,米延仁志「湖沼の年縞からわかる環太平洋の環境変遷」と具体的な講演課題を並べると,ぼんやりとだがその意図するところが見えてくる。

もう少しいえば,このシンポジウムは文部科学省の科学研究費補助金(平成212552,470万円)によるプロジェクト研究「環太平洋の環境文明史」の主催で,これまでの成果を紹介するとある。

 

二風谷に十年以上暮らしてアイヌ語辞典編纂やアイヌ語教室の講師を務めたこともある本田優子氏,琉球島先史の特異性を語る高宮広土氏,衛星画像解析からナスカ地上絵に迫ろうとする坂井正人氏,マヤ遺跡の発掘とマヤ文字解析を進める青山和夫氏,湖沼堆積物のボーリングコアから歴史を探る米延仁志氏。彼らの手法や研究成果のいくつかは,私にとって新知見でありそれなりに面白かったが,何か消化不良が残った。

 

「この満ち足りなさは,何だろう?」,大学の南門へ坂を下りながら,帰りのバス,地下鉄,JRの中でずっと考えた。

 

人文科学の論証法が理解できないのか,人文科学とはこんなものなのか。そればかりではないようだ。そして,このシンポジウムは,「環太平洋という冠が予算獲得に使われた地理的な意味合いのみで,環境文明に結び付くところまで行きついていない」結果ではないかと結論付けることにした(研究期間が終わる頃には明確に論じられるだろう)。

 

いつの日か,「環太平洋の環境文明の共通項,特異性,関連性は何か」「この事象から何を学ぶか」など新知見と新たな提言がなされることを期待したい。

 

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