「南米の食べ物」の続き・・・,エントラーダ(前菜)である。
種類は多様で,肉と野菜の詰め物,オリーブや胡瓜の酢漬け,野菜サラダ等々。此処ではお気に入りを紹介しよう。
ハモン・イ・メロン(jamón y melón):メロンを半月に切り生ハムを載せる。生ハムの塩味とメロンの甘さが調和して,これは絶品だとよく食べた。日本のレストランでも提供されるが,南米やスペインの美味しい生ハムでないと本当の良さは出てこない。
ちなみに,パラグアイやアルゼンチンのスーパー・マーケットにメロン・ハポネス(日本メロン)の名前でマスク・メロンが並んでいる。日本人が持ち込み普及したものだ。もともとイモ類とニンジンしかなかった南米に各種の野菜類を定着させたのは,日系人である。
パルミット・サラダ(palmito, ヤシの新芽):中南米。サラダで食べるのがシンプルで美味しい。味は淡いが,食感が竹の子のようでシャキッとして,さわやかな味だ。パルミット・サラダの材料(2~3人前)を紹介しよう。パルミット150g,サニーレタス3~4枚,玉ねぎ1/2個,白ワインビネガー60cc,オリーブオイル130cc,塩コショウ適宜,乾燥パセリ適宜。生のパルミットは腐敗しやすいからと注意を受けた。日本でも,瓶詰・缶詰などで売られているので,試してみたら如何でしょうか。
マタンブレ(matambre):アルゼンチン。ブエノス・アイレスのレストランで食べたこの前菜は美味しかった。日本のレストランでは「詰め物入り牛肉ロール」と呼んでいた。牛肉に野菜を詰めて調理し,スライスして冷凍したもの。
ピカード(picado, みじん切り):南米。男同士でビールかワインを飲むなら,ピカード(刻んだソーセージ,ハム,チーズの盛り合わせ,おつまみセット)がいい。オリーブのピクルスが添えられていたりする。爪楊枝を刺して出される。
レストランでの前菜と言うより,バルやカフェテリアでの一品が似合う。ブエノス・アイレスのカフェテリアで老夫婦がピカードを摘んでいる姿は絵になる。
ソパ・パラグアージャ(sopa paraguaya):パラグアイ。パラグアイではパーテイでお客をもてなす時に,ソパ・パラグアージャ(直訳すればパラグアイ・スープ)と呼ばれる,トウモロコシとチーズを使ったスポンジケーキなような料理が前菜として振舞われる。
「料理人がスープを作っていたとき誤って煮詰めてしまい,固形になったものを食べてみたら意外に美味しかったので,今の形で食べるようになった」と,謂われが語り継がれている。ご婦人たちは美味しそうに食べていたが,トウモロコシの粒子がざらざらと口に残る感触で,これはあまり好きになれなかった(番外)。
セビッチエ(cebiche):チリ,メキシコ。海に面し新鮮な魚介が手に入る国では,セビッチエ(魚のマリーネ)が美味しい。白身魚や貝をトマト,唐辛子であわせ,レモン汁に漬けたシーフードの前菜料理であるが,酸味が効いて口当たりが良い。