パラグアイの国道を走っているとロマーダ(lomada, 小さな丘)と呼ばれる道路上の隆起物に驚かされる。町の出入り口や人家の付近に設置され,車のスピードを落とさせるためのものだ。スピードを落とさないで走り抜けようとすれば,車は跳ね上がり,次の瞬間路面にドスンと叩きつけられる。
道路に直角に帯状の山が作られているが,中には凹状のものもある。その手前には標識があって,運転者に知らせるようになっているが,時には倒れ,夜間には標識が見えなくて,飛び跳ねることもある。道路事情をよく知らない地方を走るときも,注意していないとロマーダで跳ね上がり,事故になることがある。
この方式は,アルゼンチンやブラジルでも見たので,多分南米諸国に共通するものだろう。「スピードを落とせ」と標識を立てれば良いようなものだが,ラテンの国の運転作法を見ていれば標識なんか全く役に立たないことも明白。兎にも角にも,物理的にスピードを落とさせるしかないのだ。村上春樹の「辺境・近況」(新潮文庫)を読んでいたら,メキシコのトペ(tope, 車止め・バンパー)の話が出てきた。呼び方は各国で違うようだが,ラテンの国で考えることは同じだ。
パラグアイのニュースで,
日本でも通学児童の列に車が突っ込むような悲しい事故が起きている。迂回路である狭い道路を,制限スピードを超えて走る車が多いのだそうだ。紳士の国日本でも,標識を認識できない若者や小母さんが増えている。
いっそのこと,物理的にスピードを抑える手段を導入したらどうだろう。走りにくくなること間違いない。北国では,「除雪できない」と苦情が出ることも請け合いだ。
・・・市長は公邸前のロマーダが邪魔でしょうがない。公邸に入るたびにスピードを緩めなければならないし,うっかり飛び跳ねて自慢の外車に傷がつく。早速,撤去を命じた。・・・ところが数日後,スピードオーバーの対向車と事故を起こしてしまう。市長は命じた。やっぱりロマーダは必要だ,再設置せよ・・・
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