麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

続/PEACH TOM

2008年04月08日 | 鑑賞
ラヴィニア・ライブ『PEACH TOM』
 (作・演出/高円寺圭子、4/4~6、ザムザ阿佐ヶ谷)

                       【文中敬称略】

 その魅力を語る二日目です
 
 昨日も書いたように、歌とダンスとマイムによる舞台を紡ぎ続けるラヴィニアである。

 木山事務所『私の下町』シリーズのコーラス隊を演じた橋本千佳子、宮内彩地、辻奈緒子が「ラヴィニア」であり、その流れから同劇団の俳優が今回も多く名前を連ねている。岩下まき子、茜部真弓、須藤沙耶、長谷川敦央が参加!(おっと、コアメンバーの橋本も木山事務所所属。他の二名はフリー)
 また、所属ではないが客演経験のある大宜見輝彦、森岡正次郎を含む、ラヴィニアとは何たるかを知る“常連組”は『PEACH TOM』でも危なげない仕事をみせた。

 一方、ラヴィニア初見参組は芸達者な面々が揃い、円熟の域に達した作・演出の高円寺圭子ワールドを、ワンランク上の世界に押し上げる働きぶりだった。

 特に出色だったのだが、ジャズ&モダンダンススタジオ「たんと・たんつ」主宰の柳下久美子。
 桃太郎の世界観をコンテンポラリーダンスに乗せて描いたシーンでのソロは力強くかつ美しかった。
 また、ミュージカル劇団の老舗「イッツフォーリーズ」の若きエース・小野文子、野沢那智率いる「PAC」の新鋭・小川恵梨は、華やぎを舞台に咲かせた。

                  

 昨日も書いたように、ブロードウェイ・ミュージカルのパロディで前半の早い段階に大きな見せ場を作ったあとは、鼻にかかったいかにもやり手のニュースキャスター(岩下)が「特集はこのあとすぐです」を「シュグです」と噛むだけでドッと笑わせるくすぐりなどを入れながら、舞台は心地よいスピードで、前述のコンテンポタリーダンス=幻想的な鬼退治で、フィナーレへの昂揚感を持たせる。

 そして。
 おとぎ話の名作『泣いた赤鬼』と『桃太郎』の二重構成では、面をかぶった文化座・橘憲一郎。。。東演『恋でいっぱいの森』に客演いただき、訪中公演もご一緒した。。。が、哀しい赤鬼をマイムのみで表現。新劇俳優の真骨頂とも言える高い演技力で、客席を静かな感動に包んでみせた・・・。

 ここではコロスを兼ねた俳優陣が朗読も担うが、力みのない台詞術もいい。

「どこまでも君の友達、青鬼」・・・原書通りの台詞。この平凡な十数個の言の葉が、深い深い感動を紡ぐのだ。

 最後に。
 コアメンバー三人のアンサンブルはラヴィニア最大の魅力と昨日も書いたが、特に宮内の成長ぶりが、今回のステージでは際だったことを触れておきたい。
 もともと歌唱力の高さには定評があった宮内。技量に“艶”が加わり、幅が広がった。「トゥモロー、トゥモロー」と言いながら欽ちゃん走りするアニー、或いは、タカラヅカのパロディで、馬を駆るベルバラ風の騎士が不吉な森の様子に「よせやい!」と口走る。。。そんな何気ないシーンで爆笑をもぎ取って行く姿に、成長以外の何を見ようというのか!
 次回公演が早くも待ち遠しいラヴィニアである

コメント
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