クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

手応えのカウンターステアー

2014-01-31 21:05:13 | イベントレポート
氷上でクルマを走らせることで、クルマの『進路』と『向き』をコントロールしなければいけないことを再確認できます。

あまり着目されないことの一つに、『真っ直ぐ走らせる』があります。
今回のアイスドライビングでも直線部分でドライバーによる差が見られました。

何事もなかったように真っ直ぐに走る時と、ハイ、確かに轍があって路面がデコボコしてます、左右にクルマがふらつくのは私のせいではありません、路面です!・・・をクルマの動きで表現しているような運転手もいました。

例えば運転初心者が氷上に乗り入れたとしましょう、出たとこ勝負のハンドル操作では、恐らく真っ直ぐとは言い難い走りになることが想像できます。

では真っ直ぐに走らせるドライビングテクニックのキモは。
1)路面を読む(轍、ギャップ、グリップ)。
2)ヨーイング、ローリング(車両姿勢)を感知する。
3)ハンドルの手応えを感知する。
4)操舵スピード、操舵量、操舵タイミングを使い分ける。
5)トラクションをシッカリ掛ける。
などがあります。
(書いてて、その要素が沢山あることに気がついたのと、言葉だけの説明ではうまく伝わらないかも、と心配になってきた)

3)は、左右輪の微妙な駆動バランスの差(手応えの差)をハンドルで感じ取り、クルマがどちらかに『向かい始める前に』、
カウンターステアー(実際は力の方向を変える程度の微小舵、又はハンドルが勝手に動かされないように止める)を『反射的』に当てるのです。
ちょうど手の平で箒を立ててバランスを取る感覚に似ています、熟練した人がやると、少ししか手を動かさずに真っ直ぐに立たせることができます。

それでも動きが出た時は、進路と車両姿勢の修正をするのですが。
4)の、その瞬間に最も適したカウンターステアーを当てることで、車両姿勢がフラつくのを最小限にとどめることができます。

対処が速ければ速いほど操舵量が少なくて済みます。
あらよっ、あらよっ、とハンドルを回して修正しているのは、進路がずれた事を目視してから反応している可能性が高いと言えます。

手応えのカウンターステアーを覚えれば・・・
ドライ舗装路でもクルマが真っ直ぐに走るようになります。


ヨーコントロールが見えてくる

2014-01-30 12:14:08 | イベントレポート
糠平湖アイスドライビングに参加してみて、多くの参加者が苦労しているように見えたのが、スローコーナー。

何が、といえば車両の向き替えです。
スローコーナーは、走る距離が短い割に大きく向きを変えなければいけません。

これは氷上に限ったことではありませんが、路面のグリップが低くなると、それがとてもむつかしいものになります。

スローコーナーでアンダーステアーを出すドライバーは、コーナーへの進入速度のコントロールができていないこともあれば、
ハンドル操作のタイミングがあっていないこともあります。
それ以外にハンドル操作そのものが・・・『とある』切り方ができないとうまくいきません。

このハンドルの切り込み操作は『ごまかし』が効きません。
タイヤグリップを連続して掴む感覚と、ステアリングスピードを合致させて、車両姿勢を変えて行きます(ヨーコントロールの基本となる操作)。

午前中に同乗したほとんどのドライバーが、スローコーナーを苦手にしていました(本人が気がついているかどうかわかりませんが)。

ところがなんと・・・美味しい『豚丼』をたべたあとの午後に乗ったM氏(メルマガの)は難なくクルマの向きを変えて、深い旋回姿勢でスローコーナーをターンしていた・・・!

ちなみにこの日の参加者の一人に、こんな事できた当たり前のドライバーがいたが、彼をしてもスローコーナーで向きが変わらず、アンダーステアーを出していた程の路面。

練習にはうってつけのコースと言えるのですが、言い換えればかなり難しいレイアウト、M氏はそんな事を全く感じさせない走らせ方をしていました。

ヨーコントロールの意識がどれほどあるかが見えてくる場面だったのですが、彼は明らかに何かを掴んでいる。
その努力の内側を今度会ったら聞いてみたいと思います(昨年とは明らかに違います)。

氷上で走らせればそのドライバーのヨーコントロール技術が一目瞭然、日頃の運転の『ヨー加減?』が見えてきます。

糠平湖アイスドライビング

2014-01-28 15:34:17 | イベントレポート
今年も行ってきました、北海道。
美運転の参加者、検証バランススロットルの参加者、初参加の人と様々。
先ずはアイスドライビング二回目のI氏の助手席からこの日のトレーニングスタート。
どっちに行くのか車に聞いて下さい、私は大体しか知りませんの昨年に比べて、
今年は、クルマをコントロールしている感が伝わってくる。

従ってライン管理の精度も格段に向上している。
操作の手数が増えているのと、その操作の入れ方といい、タイミングといい違和感がない。

ドライバー本人も、通りたいところにクルマを置けていることが分かっているはずだ。

2周した後、アドバイスの内容を考えたのだが、その事はさておいて、
何よりも先に感じた、運転『上手くなったね~!』を伝えた。

考えたドライビングがすでに身についているのだ。
次のM氏もビックリの上手さ、昨年との違いに驚いた。

彼もライン精度が格段に向上している。
横で見ていても、不安も迷いも感じられない、落ち着いたドライビングだ。

当然彼にも感じたままに、『上手い!』を一言目に伝えた。
帰りがけの夕食で、美味しい焼肉を口に運んでいる時に、今年の糠平の氷は去年よりも『グリップが高い』と言ったのがこのM氏。

全員の頭の上に疑問符が飛び交った。
誰かの相槌を待っているのに、そ~だね~とは誰も言ってくれない。

そこで私が、氷のグリップは昨年と変わっていないと思うよ、そう感じるのは、滑りを手中に収めることができるようになって、
どこに行くのかよくわからずヒヤヒヤした昨年に比べて、行き先の自由度が上がって、滑りやすい氷のいイメージが変わったのだと思う・・・・と加えた。

自分で『グリップを取りに行く』運転ができるようになった証でもある。

試乗

2014-01-25 22:16:48 | 試乗レポート
MFi誌の企画で、8台を一気乗り。
サスペンションオブザイヤーの二回目となる取材で千葉県に出掛けた。

それぞれの車に乗るのはもちろんだが、走りの撮影もドライバーをやったので、一日ほぼ乗りっぱなし。
駐車場に止めてある車に30秒ほどで乗り移り、5分ほど走ってまた乗り換えてを繰り返した。

美味しい食べ物を口に入れた時と同じで、一口目に味の印象の大半を感じられます。
自動車も同じように、乗り始めの何分かに感じた印象が強く残ります。

いわば一口試乗なんて(しかも8台を)滅多にできないのと、たまたま撮影ポイントの先のUターン場所に向かうわずかな距離の間に、
うっすらと雪があり、そこを通過するたびに、車の印象(直進性)が結構大きく変わるのに気がつきました。

ハンドルの手応えがあまり変わらない車もあれば、進路がブレる車、落ち着きを失う車・・・。
夏タイヤで雪の上に乗るのだから、正しいインプレッションと言えるかどうかわからないが、かなり興味深い動きだった。

しかし、息も付けないほどバタバタしっぱなしだったから、メモを取っていないのが残念!(足の素性の一端が感じられたのに惜しい!)

今回集められた車の中ではアクセラが人気だった。
乗りやすさが誰の口からも出てくる、私もその一人だが諸手ではない、18インチタイヤが何とも気になるのだ・・・。

最新のゴルフ7はやや不人気のようだが、私のインプレッションでは道路条件がどうあれ、
幅広くカバーできる走破性を認めないわけにはいかない、バウンシング姿勢が綺麗だ。

今回の個人的な目玉と言えるのはルノースポール。
ダンパーにストローク依存の機構を盛り込んでいる。
ドライビングの組み立てとライントレース性がひと味変えられる、走りにこだわるドライバーにはたまらない足だ。
この先の詳しい話は2月売り号で。

ブラックアイス

2014-01-24 12:54:41 | ドライブレポート
一昨日の事だが、夜に雪と雨だったのだろうか、
朝方家を出てすぐ、日陰になっているところが、所々うっすらと白くなっている。
駆動しているリヤが滑って横ぶれする、おおっ!と思うのは一瞬で、乾いた舗装に乗ればすぐ元に戻る。

近くの床屋さんの前で、駐車場に入ろうとしてブレーキをかけたら、つるっ・・・ときてビーンとABSが介入・・・車半身分通り過ぎた。
路面が黒く濡れているだけに思えたのがしっかり凍っているではないか!
再スタートでツルツルを確認。

床屋さんを出た後、何時もの通勤コースで道路脇にパトカーが赤灯を点けて止まっているのが見えた。
『滑りやすいのでゆっくり行ってください』と私に向かってマイクで喋っている、と思ったら右手の橋の欄干に乗用車が左フロントをぐしゃりとやって止まっていた。

その数百メートル先で今度は黄色のパトライトがクルクル、ローダーが反対車線でこちら向きに止まっている。
軽トラが同じくフロントをぐしゃりの回収作業中。

濡れているようにしか見えないのが凍っていて、やたらミューが低い!から判断を誤らせているのがわかる。
気がついた時には・・・いや滑ってから気がつく状況だから怪我が大きい(今日の二台はかなりイテテ)。

太陽が出ていて外気温はそんなに低く感じないのに、路面温度が低い(日陰)ので、とても難しい判断を強いられます、ブラックアイスは。

限界走行は日常にあり、を今日の天気で垣間見ました。

ブレーキは
タイヤの回転止めるだけ
実感できるぞブラックアイス
くわばらくわばら・・・・・・・・・字余り。

他では聞けないサスペンションセッティングの話 その3

2014-01-21 21:54:29 | セッティングレポート(SUSPENSIONDRIVE)
じゃ始めましょうかと言って、冒頭に解説したのがダンパーの能力線図、
減衰表と言われるもので、自動車雑誌などでよく見かけます。

減衰力と速度の関係をグラフにしたものです。
この時の『速度』とはダンパーが伸び縮みする『速さ』のこと、ピストンスピードとも言います。

『減衰力』とは力のことで、単位はニュートン(N)表記で、少数点を一つずらせばkgfの値になります。

グラフの上側が伸び行程、下側が縮み行程の値を示しています。
このグラフの使い道は、それぞれのスピードの減衰値を見るのはもちろん、
グラフのカタチから特性を判断したり、伸び圧のバランス、グラフの傾き、といったところを見るのに使います。

ダンパーチューニングを進めて行く時にはピストンスピードのこの辺りをもう少しウンヌン、傾きをウンヌン、減衰ボリュームをウンヌン。

しかしダンパーエンジニアとの間のこの減衰表を置いて『やる場面も』ありますが、
チューニング作業では減衰表が絶対に必要な訳ではありません・・・。

自動車エンジンのパワーカーブ、トルクカーブを見て、
ターボレスポンスも、アクセルフィールも、加速感も、回転フィールもわからないのと同じです。

ダンパーの一部しか表現されておらず、全てが見えるわけではありません、
と言ったお話でした。


他では聞けないサスペンションセッティングの話 その2

2014-01-19 21:57:03 | セッティングレポート(SUSPENSIONDRIVE)
昨日その集りがありました。
人数はゲストの方もいれて約10人。
ホテルの小会議室を借りて2時間ほど、運転の話と、サスペンションセッティングのイロハをお話しした。

二名ほどが開始時間に間に合わないことが分かったので、すでに席についている方々を前に時間通り話し始めた。

チョット待ってあげてもいいのでは、と思う心がない訳ではない・・・。
しかしこのような場面にはよく出くわします、友達との待ち合わせ、小旅行の集合、その度にイライラします。

そこで我々の仲間内では、約束の時間から5分は待つ、その後は待たない、こう決めています。

正月の駅伝で見る、トップから20分遅れると繰上げスタートになるあれと同じ、
それが我々の仲間内は5分で次の行動に移る、冷たく感じるかもしれないが、実は合理的。

集合時間に間に合わないからと言って、無理な運転をしてはいけない、というのが一つ、
遅れた人は自分の身を次の目的地に向ければいいし、言い訳を考える必要がないから冷静に移動できます。

仕方なく遅れることは誰にもあること、先に集合している人たちも5分だけなら待たされたと文句を言うほどではない。

と話が少し横道にそれてしまったが、講義は時間通り始まり、先ずはダンパーの『減衰表』の意味とその見方、
モノチューブ、ツインチューブのテスト用スケルトンダンパーを手に取って見てもらった。

サーキットチャートを全員に配り、各自のマシンの測定データを次回までに記入してもらうようお願いした。

次回そのデータを元にセッティングの話を進めて行こうと思っている。
休憩を挟んで、ドライビングの話。

ニュートンブレーキの説明と、サーキットで100m看板を見てはいけない話を少し、
もっともっと、人の持つ素晴らしい感覚を大切にしなければいけない話などした。

ご意見番役の中島氏から、
体が記憶した感覚は大切にしなくてはいけないと、自らの長い取材人生の体験から話されていた(自分自身も納得されていた様子)。

講義の後は食事会に移動、一通り自己紹介が終わるまでに約2時間かかった!
どっちが楽しみになるかわからないが、他では聞けないサスペンションセッティングの話、初回が無事終りました。

運転のカタチ

2014-01-17 23:01:46 | イベントレポート
アイスドライビングの話の時に、私の運転の横に乗ったら『10分以上感想を話してもらう』と書いたのが思いの外反響が大きい(いやちょっとビビらせたかな)。
こりゃ困ったの人もいるが、何も言わないで降りるって、考えてみれば失礼ですよね~と、今気がついた人もいる。

私なら一時間でも二時間でも感想が言えます、という人は今だ現れなていない。
なぜこんな事を言い出したかというと、自分の『運転のカタチ』をどう捉えているか、を口に出して説明して欲しいと思っているからに他ならない。

運転が上手くなりたい気持ちがあるならば、客観的に自分を捉えられなければ、次の一手が思いつかないのではないかと思っている。

自分の運転が、どのレベルなのかわからないから何も言えないという人もいる、
そこで私の運転を比較の一つとして捉えて、何がどう違っているのかを語って欲しいのだ。

どんな言葉でもいいしどのような表現方法でもいいから、自分の運転スタイルを一つのカタチとしてイメージできて、人に話すことができるかどうか。

運転が上手くなるためには先ず走り込みでしょう、と信じて実行している人がいるならば、
もしかしたらその人は自分の運転のカタチが見えていないのではないだろうか、
あるいは理想の姿がイメージできずにいて、ひたすら、いつか自分は上手くなると、見えない目標を追いかけているではないでしょうか。

他人と比較すれば何かいいことが必ずあるかのと言われれば、答えに詰まるが大きく間違った操作をしていれば、気がつくことは容易だ。
検証バランススロットルの練習会でも、同乗走行を推奨している。

横に乗って気がつくことがいっぱいあるからだ。
と前置きを説明して、約10分に訂正しよう。

G-BOWLデータの送受信

2014-01-16 21:56:29 | G-BOWL
G-BOWLデータをメールで送受信できるものが既に配信されているようなので、
色々と活用範囲が広がると思います(え!と思われた方確かめて下さい)。

一人で峠に走りに行っても、違う日に走りに行った知人とデータを交換すればお互いで比較することができるなど、
とても便利なものです。

そこで少しアドバイスを。
G-BOWLデータを人に見せるようになってくると、見栄えのいいグラフにするために、
お受験モードで走らせてしまうこと(気持ちは分かります)があります(これができるならそれはそれで評価できますが)。

自分のためになりませんね。
峠道に行くと道の形が複雑で、傾斜があったり、路面がデコボコしていれば、
グラフ(Gコントロール)は思いとおりに行かないのは仕方ありません。

ザックリ自分の狙いに対してコントロールの達成度はどうか、とか自分の癖を見つけるとか、
自分の体内センサーの校正、と、あくまで自分のためにどう生かすかを忘れないようにしましょう。

そう思って相手のデータを見る、見てもらうといったことが大切だと思います。
先日のG-BOWLアプリの取材で、PD誌の編集長のデータが残っているのですが、それは見事なものです。

初めての峠道を0.3G設定で、G-BOWLアプリを載せて走らせるのが初めてとは思えない運転の組み立てで、
その運転はもう何度も練習を共にしている仲間のように感じられました。

目標は速度コントロール、イコールGコントロールです。
低めのGで走らせても、正しく速度管理が出来ているかどうかをチェックできるのと、
かなり集中して走らせないと、カッコイイグラフになりません。

速度が遅いからと言って運転の組立を甘く考えていると、全開走行してもその走りが拡大されるだけなので、
結局運転が上達しません。
ゆっくりだとリズムが取りズラいと思う人は、設定Gを高くして走って見てください、
果たしてどんなことになるか。




他では聞けないサスペンションセッティングの話

2014-01-15 15:43:08 | セッティングレポート(SUSPENSIONDRIVE)
レーシングマシンの『健康管理カード』のようなものでしょうか。

主にタイムを記録するラップチャートにたいして、こちらは車両データをビッシリ書き込むところがあります。

マイマシンのセッティングを進めて行くのにこれを使えば、必要な項目はほぼ網羅されているので、とても便利(プロ仕様ですから当たり前ですけど)。
サスペンションセッティングは何を見るのかがこれで分かります。

車好きの人にはさらなる楽しみを与えてくれるもの、と言えると思います。
と言っても一般的ではありませんね、サーキットチャートは。

当然、用語の意味と車両の全体像を知らなければ使い勝手が分からないのと、
どの本を探してもサスペンションセッティングの話など載っていませんね。

セッティングとはどんなことを基準に進めて行くのか、具体的に自分の車に置き換えて考えるにはどうすればいいのか、
と言った話を近々某所で・・・の予定です。

プロの知識で遊べば、面白さも安全性も格段に向上します。

興味ある方は連絡を。