クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

検証 バランススロットル 35

2010-04-30 22:30:13 | バランススロットル
とある取材に出掛けた時・・・。
長距離×男3人だからと、事前にアイマスクとラリーで使用するインターコムを、準備して出発した。
目的は、眠くなる復路での暇つぶしだ。
私が運転をして、助手席の編集者にスピードメーターを見ないで車の走行スピードを
言い当ててもらうというもの。

まずは視覚情報ありで、現状把握をしておく。
次にアイマスクで視覚をさえぎり、更に耳もふさぐ。
次々と情報源を減らした時に、速度の判断がどれ程出来るのかを試した訳だ。
およそトンチンカンな事になるのか、それとも以外や以外となるのか。
興味のあるところだ。

車を走らせている時のドライバーは「速さ」を一体どうやって捕らえているのか?を、
知るための一つの方法としてやってみた訳だが、人間の五感は想像以上に
良く出来ている・・・というのがこの時の感想だ。
編集者曰く「目をふさげば、耳と振動に集中せざるを得なくなるが、それはそれで、
結構ワカルし、神経もそちらに切り替わる。
耳情報を減らしても、体で感じる振動でかなり判断できる。」と。・・・確かに。
長距離の折、皆さんも試されると良いと思います。

やり方は、10㎞/h単位で、中途半端な速度は無し。
まず、何回か学習してもらい、音と振動を覚えてからスタート。
ゆっくりと速度の上げ下げを行い、速度が落ち着いたところで聞こう。
「今、何㎞/h・・・?」


5月5日

2010-04-24 13:01:33 | なんでもレポート
5月5日に信州スポーツランドに、仲間と練習走行に行く予定を立てている。
馴染みのダートコースだ。
信州スポーツランドの場所は、上田菅平インターを降りて長野インターに向かう、
新地蔵峠の頂上にあり(道路脇です)、長野インターから上田菅平へのルートでもOK。
非常にわかり易いところです。
施設内へは自由に入れますし、入場料も不要です。
無論、見学も自由で、パドックへも勝手に入ってOKです。
ダート未観戦の人は、ぜひ足を運んでみて下さい。
ドリフトコントロールもヨーコントロールも、WRCのあのダート走りが見られます。
私も一日パドックに居ます。天気が良いといいのですが・・・。

話は変わって・・・
昨晩久々に真空管アンプを繋いで火を入れてみた。
スピーカーは以前紹介した事のある、タテに4ヶスピーカーユニットを並べた、
ツイタテ型のもので、真空管アンプとの組み合わせは初めて。
音は・・・まぁ「勝手に自分で悦に入る」感じだ。
真空管アンプの元になっている設計図は1920年代のもので、パーツは現代のもの。
最新のCDプレーヤーと手造りスピーカーの組み合わせは、
古いスポーツカーのシャシーに最新のエンジンを載せて、
オリジナルサスペンションとほどほどのタイヤを組み合わせたようなもの・・・かな?


検証 バランススロットル 34

2010-04-22 16:07:13 | バランススロットル
長居は禁物

〔スローコーナーはゆっくり小さく回る〕
〔ハイスピードコーナーは速く大きく回る〕
これがサーキットで良いタイムを出す基本。

これを、なかなかタイムの出ないドライバー、ないしは初心者
(一応あまりタイムの良くないドライバーと言う意味で)の走りに当てはめてみると、

・スローコーナーは、絶対スピードが遅いから怖くないし、速く走らせようと攻め立てる。
コーナーの中でアンダーを出して大回りをしたり、アクセルを開けすぎてオーバーステアーになったりと、
一人暴走行為をやってしまう。
勘違いのアタック走りの全てをヘアピンコーナーにぶつけてしまう(ぶちまける!)のだ。
かなり長居をしてしまっている・・・という事。

・ハイスピードコーナーはと言えば、タイヤグリップの限界まで攻めて、
何かあった時の対処に自信がない(のか)どうかもわからないし、攻めきれないのもそうだが、
速度の管理が甘いから、どうしても控え目になる。
また、そうとも限らず行き過ぎてしまう人も見かけるが、実は速度管理がまだ不安定だから、
コンスタントに一周をまとめる事ができないのだ。

結局、スローコーナーもハイスピードコーナーも、ハラハラドキドキのアタック(したつもり)走りの
割には2段掛け、3段掛けでタイムが遅い事になる。


〔ヘアピンコーナーには長居しない〕
〔ハイスピードコーナーを大きく回る〕
この二つを念頭において、走りを組み立てるだけでも、ハラハラドキドキが、かなり楽になるハズだ。

この走りが気持ちの余裕を生み、何ラップか続けられるようになれば、
車とタイヤの限界付近の見極めが、落ち着いて出来る様になってくる。
冷静になってみると、場所によっては既にタイヤグリップを使いきってしまっている事に気が付いたり、
正しいアクセルオンのタイミングの確認が出来たり・・・と、ゆっくり(心に余裕も)と車との対話を
心掛ければ、今まで見えなかったものが見えてくる・・・かもしれない。
ドライバーの気持ちがゆっくりでも、タイヤグリップは何も変わらないからタイムは出せるが、
その逆に気持ちだけフルアタックしても、タイヤのグリップを変えられる訳ではない・・・のだ。




検証 バランススロットル 33

2010-04-21 15:39:32 | バランススロットル
4つのコーナリングの意味と、実際の走らせ方(操作)を学べば、自ら走らせる楽しみが倍増する。
モータースポーツに参加している人も、大いに参考になるハズだ。
観客として見る側に立っても、走りを知っていればモータースポーツ観戦も格段に面白くなる。
F1のTV中継も、ドライバーの操作の意味が手に取るようにワカッてくる。
2輪・4輪を問わず、全てのカテゴリーで応用が効くし、コース攻略もコース固有のものを除けば、
まず解けないコースは無い。
快適ドライブも、4つのラインを用いて道を読めば飽きる事が無いし、安全運転につながる。

今回の4つのラインはわかり易くする為に、ヘアピンコーナーを用いて説明を進めたが、
サーキットに入っても峠道に行っても、コーナーの形状はマチマチだから、
ヘアピンが無ければワカラナイ・・・などと、言わないように。
4つのコーナリングの意味をしっかりと理解すれば、そうむつかしくない。
むつかしいと感じたなら、まだ4つのラインの理解が足りていない・・・と。


検証 バランススロットル 32

2010-04-20 13:49:00 | バランススロットル
#3・#4コーナーの走り

#3の走りも減速区間はフロントタイヤ頼み、コーナー後半部分の加速円は#1のそれに似ているが、
コーナー中央通過時の車両姿勢で見比べてみると、#3は出口に向うには姿勢が変わりきっていない。
だからここから加速円とはいかず、小さな旋回半径の円を、もう少しフロントタイヤに頼って、
姿勢が変わるまで速度を維持するしかない。

小さめの旋回半径で、鋭角的なターンとなる#3は
速度が落ちる分、つい早目にアクセルに足が行きがちだが、
立ち上がり姿勢が不充分な時にアクセルに触ると、#2のライン取りになる。
#3をきれいに立ち上がるには、
車両の向きに集中してアクセルオンのタイミングを合わせる、と言うのがポイントになる。
1速ギヤ又は2速ギヤで「ロケット加速」ができるタイムアタック車両などの走りが、この#3に近い。
(車両の向き変えは#1で、立ち上がりは#3のイメージ)


#4・・・ここまでは減速円と加速円の組合せでヘアピンコーナーをクリアーできると説明してきたが、
#4はコーナーの大半が定常円になるから、勝手が違う。

実際の走らせ方は、直線の内に減速し、減速動作の終了間際に
ヨーコントロールとロールコントロールを一気に行い、定常円の軌道に乗せる。
ハンドルをスパッと切るイメージだから、フロントタイヤのグリップを生かすのはこの時が最大で、
次に旋回が始まれば、フロント・リヤ両タイヤでヨー運動を続けるので、
フロントグリップ頼みでは無くなる。
#4のドライビングは、コーナー進入時の一瞬に、車両姿勢のコントロール、速度の管理等を行い、
その後のコーナリングでは姿勢の維持、
立ち上がりではタイミングを合わせて深くアクセルオン、瞬時にヨーが消える・・・。
他の3パターンとは大きく異なる。
実戦では中高速コーナーなどで、旋回スピード優先のコーナリングで多用される。つづく・・・。


検証 バランススロットル 31

2010-04-17 15:40:37 | バランススロットル
減速円と加速円

減速円と加速円をくっつければ、ヘアピンコーナーを「ターン」する走らせ方ができる。
タイヤの横グリップを目一杯使って、少しでも旋回スピードを速くしてタイムを稼ぐのが、
サーキット走行だと思っている人には、おそらく「ナニ、何?」だろう。
減速円と加速円に、車の向きを変えるヨーコントロールの話を加えれば、
もう少し判りやすくなると思われる。
ヘアピンコーナーの入り口に差しかかった時の車両の向きと、
出口から直線に向かう時の車両の向きは、およそ180°変化している。
これは、ヘアピンコーナーを回る(ターンする)間の短い時間と距離の中で完了しなければいけない。
最も短い距離で角度が大きく変化するのは、据え切りでUターンする時などだ。
この場面では、車両の向きを反転させる(180°)のが、一番の目的と言えるから、
操作もそれに集中しているハズだ。
ヘアピンの場合も同じで、もう少しだけ距離と時間の猶予があると思えばよい。
つまり、スローコーナーで回り込んだコーナーほど、「車両姿勢」について注意を払う必要があり、
優先されるテクニックと言える。
この時に車両の向きを変えていくには、フロントタイヤのグリップに大きく依存する事になるので、
フロントタイヤの働きに着目すれば、ヨーコントロールがどの様に行なわれているかが読めてくる。

#1のコーナーリングでは、減速円の間に舵を切り増して、少し回り込むように
大きく姿勢変化させているから、フロントタイヤ頼みの区間と言える。
ところが加速円に移ると、車両姿勢は直線に向けてゆっくりと戻る方向に動くから、
内向きにフロントグリップを使う区間では無い事がわかり、コーナー前半で向き変えが終っていると言える。

#2はどうだろうか。
減速区間は#1と同じで、フロントグリップが頼り、加速円に移ってからも、
車両姿勢が、まだ直線方向に向いていないから、フロントグリップを使い続けて行くしかない。
旋回半径の円から離れるポイントから、事実上の加速となり、ここからの加速では直線スピードは遅い。
車両姿勢が大きく変わるのが、コーナー後半部分になり、実走行では車の向きを立ち上がりに
向けたいが為に、ハンドルを切り増してコジる走りになり、失速し易い・・・・・つづく。

検証 バランススロットル30

2010-04-16 17:33:16 | バランススロットル
MFI誌NO.42ドライビングテクノロジー号の中の、4つのライン取りについて、少し説明を加えてみようと思う。
描かれている4パターンの、それぞれの旋回部分の半径を比べてみると、#1と#2がほぼ同じで、#3は最小R、#4はこのコーナーの中を回るにもっとも大きな旋回Rを描いていることがわかる。
旋回Rの大きさと旋回スピードは比例関係にあるから、コーナリングスピードでみると、#3がもっともスピードを落として回り、#4がもっともスピードが高い、#1と#2はその中間スピードになる、4つのラインを走り分けるとすれば、旋回Rに応じた速度にコントロールしなくてはいけない。
次に減速円と加速円の考え方について。
先に旋回Rの大きさの話をしたが、実際に走らせてみると、一定速度で旋回を続けるいわゆるコーナリングと呼ばれる真横にGが働く時間は、#4を除いて、非常に短い時間しかない。
もっとも速度の落ちるポイントを通過するほんの一瞬だけが、加速も減速もせず、横Gが真横に出る時だ、このもっとも速度の落ちるポイントまでの前半部分のライン取りは、減速円と呼ばれる。
減速を続けながら舵を切り増していって、円を連続して小さくしていく。
車両姿勢(ヨーコントロール)と、ラインコントロールを行なう操作だ。
まず減速のタテGがスタート、ハンドルを除々に切り込むことで、横Gが立ち上がり、車が内向きに回りこみながら更に横Gが増えて行くのに合わせて、ブレーキングのタテGを減らしていく(タテヨコのGの合計は同じ値)そして横Gが最大になり、速度のもっとも落ちたところで進入の減速円が終る、次にアクセルオンでタテGを増やし、入れ替えに横Gを減らしていく(円を大きくしていき、直線に戻る)これが加速円のライン取り、#1#2#3がほぼ同じパターンで、減速円(進入)と加速円(立ち上がり)をくっつけたものと考える事ができる。
この走りをすれば、ブレーキペダルかアクセルペダルのどちらかに、必ず足が乗っていて操作をしている(踏み替えの時間は別にして)とも言える。
誌面のイラスト上のグリーンのマークのある線が、減速円から加速円に切り替わるポイントだから、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替えるポイントになる・・・・つづく。

検証 バランススロットル 29

2010-04-14 13:40:06 | バランススロットル
「どてら」に「長ぐつ」

知人が変わったテストを行った事がある。
運転に必要な手足の感覚が、明らかに悪くなるであろう方法をとった時に、
運転の精度に表れるのかどうか、という実験だ。
具体的には、フォーミュラ○△ブのマシンを用いて、何周かのラップタイムで比較してみようと言うもの。
まずは、レーシングドライバーの正装「レーシングスーツ・ヘルメット・レーシンググローブ&シューズ」
で、ビシッと固めてタイム計測。
この時のタイムを基準として、次にどうしたのかと言えば「レーシングスーツの代わりにどてらを着る」。
どてらとは、寝巻きのブ厚いやつで、綿が入っているから、座布団を着ているようなものだ。
レーシングシューズの代わりは、ブカブカの長ぐつ。
レーシンググローブは、スキー用の手袋で。
ヘルメットだけは、そのままでタイムアタック。

で、結果はと言えば、想像通り。
確かに「どてらに長ぐつ」の方が、遅かった。
被験者である当人も、運転がしづらいのは目に見えているし、遅いのは当然で、
一体どれくらいのタイム差になるかを、気にしていただけだから、
運転も無理せず、楽に走らせてタイムを出した。

約50秒ほどのレーシングスーツでのタイムに対して、「どてら」はわずかコンマ数秒の遅着。(ほぼ同タイム)
この結果には、本人が一番ビックリ!
もっと大きく差がつくと思っていたから、尚更だ。

気持ちの上では、レーシングスーツ着用時が全開モード運転。
「どてらに長ぐつ」は、無理せずスムースに走らせただけで、フルアタックでは無いからだ。
ドライバーの気持ちだけが全開でも、タイムに結びつくとは限らず、
どてらに長ぐつでは、情報がわかりにくい分、車の反応に一生懸命集中して走らせた、とは本人の弁。

「どてらに長ぐつ」は、色々と考えさせるには好材料だ。
皆さんもやりましょう、とは決して言いませんが、
ドライバー心理・集中力といったものと、運転とのつながり・・・実に面白い!話ではありませんか。

G-BOWL 24

2010-04-07 13:43:31 | G-BOWL
ゆりかご運転

Gをうまく操って車を走らせる事ができれば、運転している自分はもちろんのこと、
助手席の人も心地良い。

いつかの仕事の折り、神経をピンと張りつめてテスト走行をしている最中に、
ついさっきまで話をしていたスタッフが助手席で気絶をしている事が、良くあった。
悪路走行だろうが、高速周回路だろうが、数分で夢の世界。
声を掛けると直ぐに返事が返ってくるから、ウツツ状態か?
ほど良い揺れが、眠気を誘うのだ。

電車の中で居眠りをしている人を観察していると、
ゴットンゴットンと揺れている時は、周りの人が心配するくらい深い眠りに落ちるのに、
電車が駅に止まると、パッと目を開けて周りを見渡す。
揺れていないと、眠れないのだ。
赤ちゃんを休ませる時のゆりかごが、動いていないと役目を成さないのも、
母親の体内にいたときの歩行の揺れが、関係しているのだろうか。

同じ眠るでも私の知り合い夫婦は、腕自慢の彼氏の横で
「気持ち悪くなる前に眠る」と言う特技で、乗り切っていたらしい。
シートベルトをしたまま、前後左右に頭をグラングラン揺らしながらも眠る!
なんとも涙ぐましい話だ。
彼氏の運転が、普通ではなかった事に気が付いたのは、結婚したあと。
しかし、今ではG-BOWLのピンポン球を落とす気がしない、とまで言っているから、
本当の揺りかご運転が、出来ていると思われる。

自動車は、一歩間違えると不愉快な機械じかけの揺りかごにもなる。
助手席の人が気持ち悪くなるなどは、もってのほか。
気をつけましょう。


検証 バランススロットル 28

2010-04-02 14:19:31 | バランススロットル
安全運転講習会

神奈川県下の、あるカーディーラー主催の安全運転講習会に、講師の一人として参加した時の話。
まずは、事故のビデオを見せて「自動車は危ない乗り物ですよ」と脅かす、
例のパターンから講習会が始まり、10分ほどの休憩を挟んで、次が私の担当。
進行役の人から、会場に入る前に
「国政さん、チョット空気が重いので明るい話題をお願いします」
と、ささやかれた。
自己紹介からスタートし、普段何気なく使ってしまう、自動車“専門用語”に注意して、
とにかくわかり易い話からはじめた。
するとそれまでじっと息を殺して固まっていた人達が、ホッと息をついて、
全員の表情が明るくなった(ような気がした)。
持ち時間が少なかったので、自分の話は早目に切り上げて「質問はありますか?」と振ってみた。
聞く一方の講習会もあるけれど、対話も大切。
すると、間をおかずにササッと数人の手が上がり、質問が飛んできた。
駅の送り迎えであった事、子供と出掛けた時の事、買い物に行く道が狭く云々…等々、
ごく身近な出来事の疑問に終始したのだが、普段からドキドキを体験している人達の、
当り前の質問だった。
実は、この時の参加者は全員女性。
その後も質問は続き、私の答えに全員がうなずく。(本当に皆、真剣に聞いていた。)
この時の参加者とは、とても充実した時間が持てたと思う。
主催者の方からも喜んでいただいた。
男性主体の講習も数多く経験してきたが、この時の会場の雰囲気は記憶に残るものだった。
運転に対する、正しい情報に飢えている、という実態をこの時知った。
結局、私の持ち時間を大きくオーバーして、講習会は無事終了した。