クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ポロGTIの場合 その7

2017-11-21 11:19:13 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
いよいよ車両に組み付けて走行確認です。

「フランス車風の乗り心地」でお願いします、ともポロのオーナーは言ってました。

それが自在にできればいいのですが⋯

一般道をフツーに走らせて乗り心地の確認をしていくのはもちろん、
ロール姿勢、コーナーリング前後の繋がりなども見ていきます。

Gコントロールがドライバーの手の内になければ快適なドライブは望めません、助手席の人にとっても同じです。

車両が持ち込まれた時、車高が低く(GTI純正)縮み側のストロークが明らかに不足していました。

そこで、伸び側ストロークと縮み側ストロークの比率を修正したのと、
ビルシュタインショックを新たに仕立てて減衰値の仕込みもやりました。

同時に「適正車高」にした事でロワーアームに下反角がつき、ロール剛性が上がってハンドリングも向上。
(本来の性能に戻ったということです)

この逆をたどること、つまりチョットぐらいは平気だろうと考えて車高を下げる行為は、
クルマを改造した、いじったという小さな満足感を得られるかもだが、乗り心地とハンドリングに必ず影響があるということです。
もちろん良くない方向です。

今回のポロに関しては日本に入ってくる時点で車高が下げられていた可能性があります。

車高を低く見せることでイコールスポーティなクルマと思わせる⋯何でもかんでも。

サスペンションの機能を理解していない人の考えることです。

ローダウンを許容するクルマも一部にあるのですが、ポロはそうではなかったということです。

ほとんどの乗用車は空車時と2名乗車時とで約15mm車高が変わります。
(2名乗れば15mm下がると言うことです)

乗り込む前の車高を基準に考えてイニシャル車高を低くしてしまうと、乗り込んだら(誰か乗らないとクルマは走りませんから)
さらに下がって今回のようなことが起きるのは容易に想像できるはずです。

さて仕込みの減衰値はどうだったかと言えば。

フロントリヤ共に手直しが必要なことが分かったので、ショックアブソーバを取り外してチューニングです。

綺麗なバウンシング姿勢にするのにあと少し前後のタイミングを合わせたい、というのがそれです。

ただし狙いの乗り心地に遠くないことがわかって一安心。

フランスまであと少し。

続く⋯⋯






浅間火山耐久レース 2017 最終戦

2017-11-14 13:44:27 | イベントレポート
2017年の最終戦が12日にありました。
我がチームはロワーアームの破損などあったものの完走。
クラス優勝とシリーズチャンピオンも。

振り返れば、今年もレース中にいろんなトラブルが起きました。

一つには、市販状態のままのショックアブソーバだと五時間持たないというのがこれまで走らせてきた結論。
他チームのトラブルを見てもショックアブソーバに起因するものが大半です。

ショックアブソーバのダンピング機能が失われると、でこぼこを通過するたびに底付きとフルリバウンド(伸びきり)を繰り返し、
その度にボディーなりサスペンションの構成パーツが過度な衝撃を受けます。

するとロワーアームのボールジョイントのピンが折れたり、
ストラットの取り付けボルトが緩む→ボルトの脱落→ストラットが外れる→ドライブシャフトが抜ける。

ストラットタワーが根こそぎスポット剥がれを起こしてリタイヤとか、トップマウントが突き抜けて⋯⋯などなど軽四輪には過酷な状況になります。

そこで別タンク式と呼ばれるリザーバータンクをショックアブソーバの外に持つタイプに改造。
キャビテーション対策と油量を増やすことで温度上昇も抑えられます。
(改造後は市販品に対して3.5倍のオイル容量になっています)

これで、キャビテーションの心配が無くなって5時間の走行に耐えられるようになりました。

もちろんビビオの丈夫なボディーがあっての話ですが⋯


こんなサスペンションもあります

2017-11-03 21:16:47 | ガレージレポート(オリジナルボックス)


一目で、あのクルマのサスペンションだ!

と言える人は、関係者以外いないと思われる足がこれでしょう。

このクルマのショックアブソーバの内部構造についてはなんとなく知っていたのですが、
フロントサスペンションの構造は入庫してくるまで知りませんでした。

フェンダーの中はフロントから伸びるアームが一本、ここにストラットが付いて完結です。

ステアリング機構はここにはなくエンジンルームに配置されています。

一本のアームだけでタイヤの位置決めをしなければならないので、前後方向は良しとしても、横力を受けるのは・・・
これまでAアームかテンションロッドとロワーアームの二本で力を受けるのが当たり前と思っていたので、一本のアームで支えるこの方式を見て一瞬思考停止。

もちろん必要な強度は確保されているはずですが⋯⋯

トヨタセンチュリー、最初期のサスペンションです。