クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

検証 バランススロットル 13

2009-07-31 13:13:10 | バランススロットル
FF車のコントロールの肝(キモ)は右足にあるというのを説明してきた。
既にお気づきの方もいるだろう。
FF車に於ける“バランススロットル”そのものである。
ハンドルはタイヤの“向きを変える”。
ロールさせることで“動荷重を変えられる”。(日常的、一般的な説です)
アクセルはタイヤの回転数(空転も)、駆動力の強さと方向(加速方向、減速方向)
車両ピッチング姿勢が変えられる(動荷重変化)。これも断片的に知られているが。
アクセルが車を加速させるだけのものでないことを知れば、急速に運転の巾(手数)が広がりを見せるハズだ。
フロントタイヤに集中してバランススロットルに挑戦してみてはどうだろうか。
ここまでの説明でアンダーステアー、オーバーステアーと限界領域の話ばかり
してきたので、「そこまではチョッと試せない・・・。」と思う必要はない。
0.4G~0.5G辺りの(峠道ならばごく普通のコーナリング)旋回で、
ハンドルを止めたら、少し強めにアクセルオン(1~2秒)、次にアクセルオフ
(同じく1~2秒)(この逆でもよい)すれば進路が変わる(しかも瞬時に)。
ナルホドが体験できる。
「アレッ?これなら知っているぞ!?不用意にアクセルを開けるとラインが膨らむのは・・・。」
そうです。
右足でラインが変わる。
ハンドルの役目と同じ。
前々回の話に戻る・・・のです。
(フロントに駆動を持つ4WDもほぼ同じ動きを体感できます。)
右足の使い方を覚えればFFの走りがスムースになり、運転の手数が減った印象になる。

“二つのハンドル”“右足”がキーワード。

検証 バランススロットル 12

2009-07-30 16:22:13 | バランススロットル
FF車はアンダーステアー時の一瞬のコントロールミスが危ない動きを
招く話をした。
では次に「オーバーステアーの時はどうするのか?」だ。
FF車でオーバーステアーに転じる場面はターンイン時の減速エリアが多い。
リヤが流れ出したら「カウンターステアー」そして「アクセルオフ」の
状態を考えてみよう。
カウンターステアーはコーナーの外側に切るから「円を大きくする方向」
アクセルオフは「円を小さくする方向」に働くから、二つのハンドルを
それぞれ反対方向に使っていることになる。
従ってカウンターステアーを当てても、実際には1/2ほどしか応答(効果)
しないから、カウンターの量を倍ほど切らないとリヤの流れに合わせられない。
(この状態も既に黄色信号点灯)
では、アクセルオフではなく、オンだったらどうなるか?
カウンターステアーとアクセルオンはどちらも円を大きくする方向に揃うから
今度はカウンターステアーのレスポンスは、倍掛け3倍掛けの応答になり、
ものすごい速さでコーナーの外に向かうから危険である。
(当然赤信号点灯。土手があれば転倒、クラッシュパターン)
それではFF車のリヤが流れ出したときの正しい対処法とは、どのような
操作手順なのか?“カウンターステアーではなく”リヤの流れ出しに合わせて
もう一つのハンドルである“アクセル”をタイミングよく“強く開ける”。
アクセルオンは円を大きくする方向に働くから、カウンターステアーと
同じ効果が得られる※
リヤの流れを止めてしまいたいならアクセルオンを続ける。
ハンドル操作は切り込んだところからチョイチョイと戻す程度(カウンター程
大きく戻さない)に合わせる。リヤの流れを持続したいのならアクセル開度を
合わせる。(流れを増すのはアクセルオフ、減らすのはオン)
ポイントは右足中心で前輪を応答させて、リヤの流れと進路と駆動力を
コントロールすることだ。6~7割がアクセル、3~4割がハンドル操作の
イメージだ。アクセルを優先して使う大きな理由は、ハンドルによるカウンター
ステアーはロール及びヨー運動が、反転または停止してしまい易く、振幅の
大きい車両の動きになる。(無駄な動きが出やすい)
これに対してアクセルによるコントロールは微細なロールコントロール、
ヨーコントロールが出来るので、車両の連続的な動きが演出でき、無駄な
動きを出さない、実にスムースな走りになる。
FF車の操作の基本は、アクセルによるハンドル操作をマスターする事だ。
(これを勘違いしてアクセル全開にして土手を駆け上がらないように。)
右足に知性を!

※実際には前輪に駆動力を持たせる事で、リヤ荷重が増す。
 フロント荷重が減る。場合によっては前輪のグリップダウン、ヨー運動が
 抑えられ、ロールも少し緩む等、一連の動きがアクセルオン一発で出せるの
 だが、考え方としてアクセルオンは円を大きくすると、覚えておけば良い。

検証 バランススロットル 11

2009-07-28 15:39:47 | バランススロットル
知っているつもりになっていたのに、改めて聞くと急に「ピント」が
合ってくる・・・と言う話は良くある。
自分の中に小さな疑問が残ったままの時は特にそうだったりする。
そんな話の一つに当たると思うのが「FF車の操作法」だ。
FF車はフロントタイヤが“駆動輪”と“操舵輪”の二つを兼ねている。
このことからタイヤの向きを変えるハンドルと、駆動力を変えるアクセルも
実はハンドルと同じ様な役目を持っていると言える。
旋回中にハンドルを切り込んだまま動かさない(保舵)状態から
アクセルを開ければ円は大きくなり、逆に緩めれば円は小さくなる。
(速度の増減による影響)進路がアクセルによって変わるのだから、
これもハンドルの役目と言うわけだ。
旋回半径を効率よく小さくしたいのなら「ハンドルを切り」「アクセルを抜く」
事で二つのハンドルを“同じ方向”に向けるのが正しい使い方だ。
円を大きくしたいのなら、「アクセルを開け」て「ハンドルを戻す」。
ここまでは特別な話ではなく「ふむふむ、それで?」の範囲だろう。
ではドライバーが熱い走り(競技運転)をしたらどうなるのか?
右足につい力が入り、コーナー出口で外にラインが膨らむ。
そっちには行きたくないから、本能的にハンドルを内側に切り足す。
この瞬間、「右足は円を大きく」「ハンドルは円を小さく」しようと
しているから、車はその中間に向って進む。
中間が進ませたい方向ならばよいが・・・。
ハンドルを切り足した分、タイヤが抵抗になって、アクセルを開けた割りには
加速しないから、更に深くアクセルを開ける。すると、また外に向うから
ハンドルを切り足す。FF車はアンダーステアーが強い、を実感する時だ。
(しかし、これは正しくはない。ドライバーの右足がアンダーステアーを
出しているのだ。)
このままではコースアウトになるから、ドライバーは右足を緩める。
(ハンドルを戻す人は居ない。)
すると、大舵角の上にアクセルオフと、二つハンドルが内向きに揃うから、
グリップを取り戻した瞬間、コーナーの内側に向って一気に車の向きが変わる。
ここから先はドライバーの意思から離れた車の動きになる。(つまりタコる。)
広場なら問題はないが、ガードレール、溝、土手、センターラインの先は、
考えただけでもコワイ!
二つのハンドルを、一瞬扱い損ねるとこうなるのだ。
FF車はこの基本動作を頭に叩き込み、瞬間的に正しい操作が出来る人のみ、
安全に走らせる事が出来る。
実は、難しい車ナノダ、と言うお話。


新車試乗 マツダアクセラ 2.0

2009-07-23 16:15:11 | 試乗レポート
17Jタイヤ装着車のせいか、乗り心地はかなりしっかり目(固目)だ。
もう少しショックストロークを出しても良いのでは?と思えるギリギリの
ところだ。ハンドルの手応えはシッカリとしているのだが、微妙に渋さもあり
センターにシャキッ!と戻らない。(ほんの少し。)
ロールの応答も気持ち遅れ気味。
ロールの切り返し時も切れがない。
どんよりとした車の応答性は、少し手荒く走らせても落ち着いていると
言えるが、丁寧に走らせたときに「スッキリ」「しっくり」来ない仕上がりだ。
アイドリングストップは非常に良く考えられていて、慣れるのも簡単。
再スタートも不安になることは無かった。
信号停止の間のブレーキペダルの踏力が、ある程度必要なのが気になる位で、
エンジンストップの後のひと時のオーディオタイムを楽しめば、信号待ちも
苦にならない。ATでDレンジ走行中にワンタッチでダウンシフト(アップ
シフトも同じ)の割り込みが出来るのも良い。
そのままにしていれば、Dレンジ走行に戻るタイミングも、良くしつけられて
いる。聞くところによると、16J仕様はタイヤもショックも違って、
乗り心地はいいそうな。
再試乗すべきかどうか迷っている。

新車試乗 ルノー コレオス

2009-07-21 18:56:56 | 試乗レポート
日産デュアリス、エクストレイルと共通シャシーのルノーコレオスは、おとなりの韓国生まれ。
ルノーのバッジを付けているので、ルノーの息がかかっているのは確かだが、ひょっとしたら母国を知らない遠い地の生まれということだ。
乗り心地が売りというだけあって、しっかりとしている割には、ガツガツとした固さは感じない、フワフワもなく収まりは良好。
大きなボディを感じさせない程に、動きはしっかりとしている。
重いハズのバネ下の動きも暴れ感はなく乗り心地に好印象を与えている。
タイヤの音も静か、エンジン音も静か1800rpm/100km/hはトルクもあって扱い易い。
装備の中のクルーズコントロールと、スピードリミッターの2つが、セットしやすく、かなり実用的な印象があった。
高速道路では、トラックのアベレージに合わせることもできる、燃費も良さそうだ。
従来のものより操作がカンタンに思えたけど、気のせい?!
長距離クルーズなんか良さそうな車だ。

Tuning POWERS!

2009-07-19 16:52:40 | イベントレポート
今日、予定通り「Tuning POWERS!」に参加してきた。
何かHPの予定では、私の出番は昨日になっていたとか・・・。
事前の打合せで「土曜日はダメッ」と言ったつもりが、電話の先では
“土曜日”が頭に残っていたので「国政=土曜日」としたらしい・・・?
といった事も在ったのですが、本日11:00スタートの2分前!に
会場に到着。少し休憩時間を貰ってから約30分ほど
「サスペンションの基礎講座」と題して話した。
先日のブログの“タイヤ選び”はまた・・・と言う事にして、
コーナーウェイトと車高をテーマとした。
30席ほどの椅子が一杯になり、立ち見もかなりの人数となったが
真剣に聞いてもらう事ができた。早めに話を終らせて、質問の時間に
移った途端に数人の手が上がり、素朴な質問から確認の質問などなどあって
から無事終了。上手く伝わったかどうか心配な所だが、イベントの内容からして
非常に良い雰囲気だったと思う。
ユーザーとの距離感も近く、生身の話を仲間に伝えるような
「いっちょ、聞いてヤルゾー!」的なものだった。
主催者は大変だろうが、車好きのイベントとして大切にしたいと思う。

試乗 手入れ

2009-07-18 14:00:35 | なんでもレポート
FD3S用にオリジナルボックスで設定している「ハンドリングパック」について
問合せ頂いたお客様が“どうしても気になる”との事で、試乗と説明を聞きに
来店された。
私が通勤で乗っているデモカー(と言っても外観はステッカーの1枚も貼って
いないジミーな車)に試乗してもらった。
(*かなり暑い日の夕方なのにエアコンの効かない車で失礼しました、本当に。)
ハンドリングフル装備の車に試乗後の一言目は何か・・・?
「暑い!」でも「ハンドリングの話」でもなく、ご本人が十数年来乗っている
Ⅰ型のFD3Sに対して、ウチのⅠ型はエンジンの印象が大きく違った様で
「このエンジン、何かやってあるのですか?」だった。
回転の低い所からトルクがあって、エンジンの調子が良い、という事らしい。
「いや、何もやっていません。ノーマルのままですよ・・・ただ、手入れは
結構やっていますけど・・・。」とお伝えした。
前オーナーが、まめに手入れした車を引き継いだので、調子は確かに
よいかもしれない。そうは言ってもマツダ純正の実力を超えているわけでは
無いと思うのだが・・・。
実は数日前にオイル交換をしたばかりだ。
それも、フラッシングオイルを入れて2度抜きしているので、軽い回りを
体感できるのかもしれない。
FD3Sでエンジンオイルクーラーが2連装のものは、オイルパンから
抜いただけだと25%前後の古いオイルが残ってしまうのだ。
これを抜き出すのは、フラッシングオイルを使った方法が手っ取り早くて
確実だ。2度抜きだと単純に25%×25%=6.3%が古いオイルの残量。
もう一つの方法は、なるべく距離を短くしてオイルを入れ替えるやり方だ。
こうすれば新鮮度が増す、または維持できる。
高いオイルを入れて少し長く乗り、古いオイルを残したまま、次にまた高い
オイルを入れ長く乗る。これは良くないパターンだ。
気軽に買える値段のオイルを、まめに入れ替えるのが前記の理由で
ロータリーエンジンには良い・・・と思うのだが。

※ 25%の古いオイルが残る・・・の件は、
  例えばエンジンからカラッカラッにオイルを抜いて
  4.05ℓのニューオイルと1.35ℓの廃油を入れて
  計5。4ℓにする事と同じです。
  1.35ℓが古いオイルと言うことです。
  入れ替えた気分になりますか?

取材 2

2009-07-16 15:34:30 | なんでもレポート
先週に続いて2回目となる「ロードスターメンテナンス本」の取材が入った。
朝から夕方まで、スタッフ全員で掛かりきりとなり、実作業を見せながらの
撮影、説明・・・と、汗アセ汗の暑い一日だった。
(編集某氏の肩タオルで想像して下さい。)



スーパーノーマルを提唱している手前、チューニングパーツを勧めるのは
どうかと考えてはいたのだが、それはそれとして遠慮無しに我社の
オリジナルパーツを組み込んでもらった。
小物もあるが、大きな物としてはサスペンションのダンパー交換。
といっても、ロードスター用の純正ビルシュタインをパーティーレース
仕様にチューニングしたのだ。
“のほほん走り”を勧めているのにレース仕様は無いだろう?!だが、
スプリングは純正のままだから、乗り心地は限りなくノーマルに近い。
サーキット或いは峠でのハイG走行の折に必要な減衰値を
盛り込んだ物で、ハンドリングと安定性を狙ったチューニングだから
そんなにトンガッタものではない。
パーティーレース車両での実績があり、オリジナルボックスお勧めメニュー
の一つだ。夕方近くなって足の組込みが終了。
アライメント出しに「こんなに時間を費やすとは思いませんでした。」とは
編集某氏の感想。さて、本はいつ出るのか・・・?

Tuning POWERS!

2009-07-15 18:17:10 | イベントレポート
チューニングパワーズに今年も出掛けます。
クルマのチューニングパーツ製作&加工に関わる展示会です。
当然チューニングされた車両の展示もあります。
ここ数年開催されていて、30分程のワクをもらって何か有難いお話を、来場者の方にしに出掛けるのだ。
かなり車好き、マニアックな方々が集まってくるイベントで、かざり気のないサッパリとしたブースは、ハデなこの手のイベントに慣れている人には、モノ足らなさを感じるかもしれないが、担当者と直接話ができたり、普段見れない加工方法など間直に見れて、男の子ならワクワクのイベントと言えます。
私は日曜日の午前中のトップバッター(多分)11:00~の担当。
今回は自動車の駆動、重量配分におけるタイヤサイズ選びの基準を考える、の予定。
このブログを見て行ってみようと思われた方、先着5名様に限り入場券差し上げます。

検証 バランススロットル 10

2009-07-14 16:21:33 | バランススロットル
練習会のレポートの中に
・あらためて考えさせられた事
・ドキッとさせられた事 
があった。
あらためては・・・
日常の運転と競技運転は別なもの、と認識している人が多い事だ。
自動車雑誌のドラテクの取り上げ方も“特別なもの”と意識させる。
運転は一つで、何も変わらないと“宣ふ(のたまう)”方に無理があるとさへ、
思えてくる(私自身が)。
今回の練習会に集まったメンバーも、心の何処かでは競技ドライバーへの
階段の昇り方の一つでも教えてもらえるものと思い込んでいたに違いない。
ところが当日、話が進むにつれ、スケジュールが進むにつれ、
「あれっあれっ?思っていたのと何か違うぞ?」を知ったと思う。
大体にして、競技運転と一般運転との区分けがどこから出来ると言うのか?
そこを聞いてみたいものだ。冷静に考えれば、精々スピードが違うだけで、
何も変わらない事に気付くはずだ。競技運転が出来るつもりの人が、
一般道をゆっくり走ったらまともに走れないのではシャレにならないだろうに
(言い訳もない)。
私の中では当の昔から理解していたのだが、回りの人達(それも身近な)
からの“あらためて”「同じなんだ!」と意見を寄せられると、
自身“あらためて”考えさせられた事柄だ。
もう一つの
ドキッとさせられたのは・・・
練習会のメニューを考える時に、一日でできる事は限られているし
しっかりじっくりが基本であるから、極力メニューは少なめに組み立てた
つもりが、レポートを読むと「こんなにもたくさんの事を詰め込んで
しまったのか・・・?」とドキッである。
詰め込めば詰め込む程に味薄く、何を食べたか記憶に残らず・・・反省。