クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ニュートンブレーキのすすめ 8

2014-09-28 20:57:41 | G-BOWL
先日、学生の運転合宿に参加してきました。
一泊二日の行程で山中湖起点で1日目は昇仙峡までドライブ。

その日の夜に一時間半程のニュートンブレーキ講座を受け持ちました。

次に日は山中湖を出て、富士山を左手に見て反時計周りに富士宮市、裾野市を通るルート。

自分達でコマ図を作り、そのルートを辿る。
二日目に乗り合わせたメンバーは初日と同じ。

ニュートンブレーキ講座以前(初日)と、以後(二日目)を観察することが出来た。

なんと一人は昨日とは別人と思えるほど、果敢にニュートンブレーキに挑戦。
走りが明らかに穏やか、肩を叩いて「とてもいいよ」と声を掛けると、あまり褒めないでくださいよと照れる。

次の学生も同じく減速に集中。
コーナーにさしかかる時のスピードが昨日よりもコントロールされている、横Gとの繋がりも少し出てきた。

お互いで運転の印象を確かめられるから、良い影響が出ているのか。
勿論この時点では身についたものでは無いから、明日になれば忘れてしまっているかもしれない。

しかしだ、ニュートンブレーキ講座だけで、こうも違いが出るものかと正直びっくり。

続く。

ニュートンブレーキのすすめ 7

2014-09-18 21:28:19 | G-BOWL
特に制限のない広場で、「踏力一定ブレーキ」をトライするのはさして難しくありません。
ブレーキペダルを踏む右足に集中すれば、おそらく誰でもできるはずです。

むつかしいいのは、止まるべき目標地点に向かって踏力一定ブレーキを敢行する時です。
これまでニュートンブレーキなど全く意識して来なかった人にとって、途端に難しく感じます。

多くの人は、なんとなくは距離感をつかんではいるものの、目標地点に止まれるように、
減速途中で右足を動かして調整するのが当たり前になっているからです、
いわゆるつじつま合わせのブレーキング。

自分の得意とする距離に、あるいは慣れたブレーキ強さに持ち込んで、といったパターン化できそうな減速を普段使いにしている人もいます。

これでも特に不自由無く走ることができるのですが、自分流のブレーキングのパターンから外れた時の応用範囲が限られることから、
困ったことが起きる可能性が高いと言えます。
いわゆるとっさの時と言うやつです。

ブレーキング練習の時に助手席から観察していると、日常生活で使い慣れている最も頻度の高いブレーキはほとんどの人ができます。
じゃあ次は強目のブレーキを・・・

一回目で強めができる人は三人に一人・・・
強目のブレーキができた人に、今と同じ強さをもう一度やってみましょう、といって同じ強さで再現できる人は五人に一人。

強いブレーキができた人に、次は一番ソフトタッチのブレーキをお願いします。
これをサラッとできる人は五人に一人。
多くの人が日常的に使い慣れているブレーキの掛け方に頼り切っているのが伺えます。

少ない人では、「日常の掛け方」が一つと、それよりも「強いであろうブレーキ」の二種類のブレーキングパターン。

この時の「強いブレーキ」はコントロールされたものでは無く、強く踏み切れていない場合もあれば、不必要に強すぎたりする・・・
役に立つものかどうかその時になって見なければ分からない。

三種類のブレーキの持ち主は、日常の掛け方に「普通」と「やや強め」があって、もう一つ控えの強いやつが加わって三種類!

練習会で見かけるパターンはおよそこんな感じです。

ブレーキの献立でがこれだけしかないとなると・・・

続く。






ニュートンブレーキのすすめ 6

2014-09-10 21:34:41 | G-BOWL
『踏力一定のブレーキング技術』と『尺の感覚』はセットであることは言うまでもありません。

どちらが先と言うわけでもなく、どちらか片方では事が成り立たず、両方を持って始めて狙った減速ができます。

自分はこれまで車の運転を支障無くやってこれているから今更・・・ね~

誰かの考えたテクニック?それとも新たな減速技術?
ニュートンブレーキと言う言葉も聞いたこと無いし!

と思われている方がほとんどかもしれません。

大体ブレーキの掛け方なんて自分で勝手にやっていいんじゃないの!
止まれりゃ何も問題無いっしょ・・・その通りです。

多少我流であっても、きちんと目標に向かって車を止められればそれで良しです。

しかしあちこちで交通事故が起きています。
運が悪かった、偶然が重なってしまったなど様々な要因があるかもしれませんが、
ぶつからないように車を止められなかった事に変わりありません。

スピードを出し過ぎたのが事故の原因と言うニュースの解説をよく聞きます。

これも、そのスピードから止めることができなかったからぶつかった、ひっくり返った、道から落ちた、と考えることができます。

つまり尺の感覚と共に、車を止める技術を持ち合わせていなかったから、と言えます。

『尺の感覚』をしっかりと持っていれば、もっと早くブレーキングを開始するなり、
これ以上スピードを上げると止められなくなるの判断ができます。

少なくともぶつかる前に。

続く。





ニュートンブレーキのすすめ 5

2014-09-05 09:47:54 | G-BOWL
コーナリングを開始するポイントで速度をピタリと合わせるには

*減速度一定のブレーキング、と
*ブレーキングに必要な距離を読む、つまりどこから減速を開始するかを正確に判断すること。

この二つをセットにしてできることが条件です。


仮にABSを効かせればありがたいことに減速度一定の(ドライ舗装であれ氷上であれ)ブレーキングができます、
これで一つ目の条件はクリアできるのですが。

どこからブレーキを開始するかは、あなたわたしがやるしかありません。

コーナリングスピードに合わせて何秒か(何十メートルか)手前から予測動作を開始するのを人の感覚に頼っているので、
ブレーキングは難しく、繰り返したときにバラツキが出やすいと言えます。

サーキット走行で直線の終わりで減速する時も、
ワインディング路でコーナリングスピードに合わせる時も、
軽四を走らせても、スーパーカーを走らせても、
ブレンボキャリパーに大径ローターが装備されている車であろうとも!

そこを、それを走らせるドライバーが『ここから減速を開始する』を正しく判断するしか無いのです。

続く。


ニュートンブレーキのすすめ 4

2014-09-01 20:10:14 | G-BOWL
広場に設定された定常円をこれから走るとしましょう。

速度を徐々に上げて行くと、一周のラップタイムが限界に達します。
これ以上のタイムは誰がドライブしても出ません。

その時の舵角(タイヤのスリップアングル)と速度がバランスしたところから、
さらにアクセルを踏み込めば、旋回円が大きくなりタイムが落ちます。

旋回円が大きくならないように、舵角を増やすと今度はタイヤのスリップアングルが大きくなり過ぎ『進む方向の抵抗』が増えるだけで
『横グリップ』はほとんど増えないので、旋回スピードが下がりタイムが落ちます。

サーキットアタックで、力み過ぎてチョット多めにハンドルを切って走った時がこの状態に該当します。

コーナーを誰よりも速く走ること、と言うのはいくら腕を磨いても叶いません。
旋回スピードは腕前ではなくタイヤのグリップで決まるからです。

次に、広場の定常円に向かって、直線がそれぞれ進入と立ち上がり方向にあるとします。

定常円の二分の一を使った180度のヘアピンコーナーとイメージして下さい。

先程のベストラップの時の『舵角と速度』が、直線の終わったところ、つまり定常円旋回を開始するところでピタリ合っていれば、
ベストコーナリングができ、タイムもいいことになります。

じゃあ直線の終わりでピタリ速度を合わせるにはどうするのか・・・

続く。