クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

FD3Sのサスペンションセッティング その2

2016-05-29 23:51:07 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
FD3Sの前後重量バランスはほぼ50:50。

これはクルマが「停止」している時の、タイヤの下に体重計を置いて計った静荷重(輪荷重)です。
(ないしはコーナーウエイトとも呼ばれます)

輪荷重は、クルマが動けば刻々と変わります。

ブレーキをかければ荷重移動でフロント寄りの60:40とか、加速をすれば後ろ寄りの40:60といったバランスになります。

「静荷重」に対して動き回る荷重・・・「動荷重」

50:50を境に加減速をするたびに、シーソーのように前に行ったり後ろ寄りになったりするということです。

もちろん旋回時は左右でアンバランスになります。

輪荷重については様々なシーンが考えられるものの、組み込むスプリングはおおよそ輪荷重(静荷重)に合わせて選びます。
荷重配分が60:40のフロントエンジンのクルマは、リヤよりも硬いスプリングをフロントに組み込みます。

40:60のミッドシップカーはリヤが重いのでリヤにフロントよりも硬いスプリングを組みます。

フロントの重いFR車あるいはFF車でも、前後のスプリングレートがあまり違わないクルマもあったりします。

さすがにミッドシップ車は前後同じレートにはできません。
どんなクルマであれ限界特性は必ず安定方向であること、つまりアンダーステアーを基本に考えるからです。

こういった考えに当てはめていくと、今回のFD3Sのように50:50のクルマは前後同じ硬さを中心として、
フロントがやや硬めでも、リヤが硬めでも許容範囲に入ると考えることができます。

つづく

G-BOWLアプリの見方と活用方法 その2

2016-05-29 23:44:20 | G-BOWL
でっかいモニターを用意してG BOWLアプリの見方と活用方法の講習会をやりました。
参加者は3人。

先ずは近くのワインディング路を走ってデータ採りをして、そのデータを見ながら説明を進めていきます。

モニターを見ながら感じたのは、データと走りのイメージを結びつけるのはカンタンではないということ。

それと、初めての道ではうまく走れな・・・と誰かが言ってたけど、

「うまく走れない」が自分でわかるのなら、それがなぜなのかを自分に聞けば、何をやればいいのか見えてくるような気がします。

知っている道ならうまく走れる、というのも引っかかります。
その違いはどこからくるのでしょうか。

知らない道でも同じように走れるはずです、強いて言うなら初めての道では確かめながら走る分アベレージが下がるかもしれません、違いはそれだけのはずです。

と言い切るときつく感じるかもしれませんが、速く走る必要がないとしたら自分のペースでGコントロールに集中すればいいのです。

また近いうち企画します。




FD3Sのサスペンションセッティング

2016-05-24 22:54:17 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
FD3Sのダンパーセッティングの相談がありました。

サーキットに乗り込むと、ハンドリングが思わしくなく、自分たち(仲間?お店さん?)で試行錯誤したものの行き詰まってしまった・・・

ロールの収まりが良くないから減衰値が足りない(柔らかい)、と判断して減衰値を高くした。
(市販状態からオリジナルチューニングを施してもらった)

再度走らせるもやっぱりまだ減衰値が足りない・・さらに減衰値を高くした。

を、繰り返していたので送られてきたダンパーの減衰値をみると当然ながら高減衰(過減衰)。

どれくらいかといえば、減衰値を表記する専用のグラフ用紙からはみ出してしまうほどの数値でドットできない!

これまで、このグラフ用紙の範囲でレーシングカーも含めて描けなかったのはほんの数例、それもあまり良いセッティングのものではありませんでした。
今回の打ち合わせの中でも、まだ減衰値が足りないから高くして欲しい・・・

硬くすれば問題が解決する、柔らかいのはダメ・・・こう考えている人が多いのかもしれません。

ダンパーの減衰値に限らず、スプリングレートも硬い方が速さに結びつきそうなイメージがあったりしませんか?

誰それのレーシング関係者に運転してもらったら、脚が柔らかい、もう少し硬くするといいと言われた・・・常套句です。

しかし今回のケースでは、これ以上硬くしても問題解決にならないことを説明し、仕様の方向はこちらに任せてもらう事に。

届いたキットは前後共スプリングレートが16kg/mmなので、過去のデータを参考にしながら、前後同仕様にチューニングし直しました。

チューニング前のダンパーはフロントの減衰値が高く、リヤはやや低かったので、当然ながらオーナーから「なぜ減衰仕様が前後同じなのか」と質問がありました。

つづく


浅間火山耐久レース 2016 

2016-05-20 21:35:07 | イベントレポート
もう先週になりますが、浅間火山耐久レースの第1戦がありました。

我チームは一台6人のドライバーでエントリー。

天気は晴れ、路面はドライ、参加台数14台。

参加車両を見渡してみるとビビオ率が去年よりも高そうです。

その中に、初めて見る力の入った改造車が・・・塗りたての外装を見る限りおそらく今回がシェークダウン。

と思っていたら我々がエントリーしているオープンクラスのもう一台の参加車両がこのクルマ。

ホンダトゥデイの4WD。

まともに走られたら勝ち目なんかありません。

しかしこのクルマ、朝のウオームアップ走行に出て行く時から、後ろの方からカチャカチャと金属音が・・・

案の定、レースがスタートすると脚は壊れるはエンジンは不調になるはでピットインを繰り返し、修理と走るのとで大忙し。

改造車について回る初期トラブルとかのそれです。

レースはスタートして何分も経たないうちに、パドックで見ている我々の目の前で転倒、
そのすぐ後ろのクルマも慌ててハンドルを切ったものだから土手に乗り上げ、一瞬腹が見えところに次のクルマが真横からゴン。

幸いなことにスタート直後だったので修理の時間はたっぷり、転倒車も、ゴンの車両もやがて復帰。最後まで走ってゴールしていました。

いつになく、路面の荒れ方がひどい、とファーストドライバーから報告があったので、次のドライバーから、クルマを壊さない走法をお願いした。

するとどうだろう、当然ながらタイムは遅く、抜かすよりも抜かれることの方が多いのだが、皆ラッップタイムのバラツキが少ないのだ。

路面を見極める、クルマに聞く、自分の技量の中で走らせる・・・「速く走らせる」を外した途端、全員手の内でクルマをコントロールしているように見えました。

走り終えて、ヘルメットを取った時の顔つきからして、いつもの他のやつをやっつけてやったぜ・・・ではなく、
こんなひどい路面をと思いつつ、走行できるラインを見つけ、クルマのコントロールに集中した表情で、
もしかしたらこんなに軽く走らせただけでいいの?にも見えました。

これまでは「速く走らせる」を気持ちの真ん中に置いて運転を組み立てていたのに、速さは気にしなくていいと気持ちを切り替えたとたん、
これまでのよくわからなかった忙しさが消え失せ、景色の流れもゆっくり、周りの情報も冷静につかめる・・・クルマとの対話も手に取るように分かる・・・
でも速く走った感はあまりない・・・コレは新しい感覚だぞっ・・・と。

クルマを速く走らせることだけが面白いわけではありません、自在にクルマを操ることができればそれはそれで快感‼

「速く走らせる」と「うまく操るの」どちらを走りの真ん中に置くかです。

クラス1位。






タルガタスマニアラリー 2016 その13

2016-05-16 20:14:53 | イベントレポート
「タルガタスマニアラリーの車載映像を見ましたよ~~~」

「ずいぶんゆっくり走っていますね~」

「クニさんも歳か~?と思いましたよ」

「ブレーキ踏まないで走っているでしょう~」

・・・・・・

確かにばかっ速くはありませんが、トップスピードが130km/h以下と決められているクラスにエントリーしたので、直線ではスピードが出過ぎないようにコントロールしています。

コースによってですが、75km/hから95km/hの間の指示速度が出ます。

レビンの場合コースの八割ほどを全速力で走らせて指示速度を少し上回ります、その後少しずつ時間調整をしながらゴールのチェックに入ります。

レビンには頃合いの指示速度です。

ラリードライバーの経験者であれば、75km/hの指示速度で山岳路を走らせるのがどんなものか想像できると思います。

オンタイムで走れていても、ゴールの手前にヘアピンコーナーが一つあれば、あっという間に遅れが生じます。
そういった場面での瞬発力が足りず、惜しい減点というのが二、三箇所ありました。



タスマニアロードはひとたび雨が降ると、ツルツルに滑りやすくなり、神経をすり減らします、ウエット宣言が出れば、一割ほど指示速度が下がります。

コドライバーはペースノートの読み上げに、オンタイムか否かの時間の管理が加わって、時計を見ている間にペースノートをロスト・・・というほど
大げさなことにはなりませんでしたが、時々読み上げのタイミングが・・・ベテランの彼(コドライバは草加浩平)をして大変そうでした。

四十数年前の加速しかしないクルマで、どうやってアベレージに乗せるか。

Sタイヤを履き、ブレーキパッドも実績のあるものを装備、あとは走りの組み立て方。

効果の程はわかりませんが、ペースノートを生かしてコーナリングスピードを優先する走りにトライしてみました。

その結果がラリー5日目のタイヤローテーション。
フロントタイヤがスリップサインまで残量2mmとなり、前後入れ替え。

タイヤを減らしただけかもしれませんが、過去三回のタスマニアラリー完走後のタイヤはいずも五分山以上残っていたので、その違いだけは言えると思います。

ペースノート走法・・・コレはハマります。






NEWTON BRAKE DAY 2016

2016-05-09 09:13:28 | NEWTON BRAKE
前日のコース設定は雨。

イベント当日コースに入ってみると、綺麗に並べておいたパイロンが朝方の強風であらぬ位置に、急遽手直しをして準備完了。

朝方は曇りだったものの、始まると天気は五月晴れ。

練習内容は、これまでの検証バランススロットル練習会と同じです。



大学生から最年長は??まで。
初心者マークの人から超ベテランまで同じ練習メニューで走ります。

軽トラからスポーツカーまで持ち込み車両もいろいろ。

お昼ご飯を食べる時間もあったかなかったか、とにかく走りっぱなし、そうでなければ誰かの横に乗せてもらう。

佐藤さんのAE 86も、営業バンの本に出てくるNBロードスターの試乗も。

お互いのクルマを乗り換えたりもあるのでミニ試乗会のようでもあります。

ブレーキ!ブレーキ!ブレーキ! とか、切って切って切って、と横から声をかけられたり、
ガシッとハンドルを掴む手が横から伸びてきたり!・・・

そうそう!今のライン取りよかったですよね〜、と車内は大騒ぎ。

肝心なのは、意識すれば操作を変えられるのか。

一本調子・・・このことに気づくところから練習が始まります。

いつも思うのですが1日があっという間でした。



練習会前日のコース作りから多くの方に手伝っていただきました。

ボランティアスタッフのみなさんにも感謝!!

皆さんお疲れ様でした。

*自分のこと、練習会のこと、気がついたこと、試乗車のこと⋯⋯コメント欄にどうぞ。





タルガタスマニアラリー 2016 その12

2016-05-02 21:01:45 | イベントレポート
↑↓両方ともタルガステージで走りました。



制限速度

タスマニア島を走って印象に残ったことの一つが、制限速度です。

片側一車線の道なのに、住宅地あるいは街中を除いて100km/hの速度制限看板が出てきます。

時に、センターラインが無くても100km/h制限だったりします。

当然道は曲がりくねっており、100km/h出せるのは直線が続く時だけ。
しかしその直線は多くありません。

タルガステージ(SS)はこういった道を走るのですが、ラリーカーでもアベレージ80km/hを維持するのは大変です。

キャンピングカーを引いたクルマも、一抱えもふた抱えもある丸太をうず高く積んだフルトレーラーも走っているのですが、
コーナーのはるか彼方からブレーキングを開始、コーナーに差し掛かる頃には安全速度まで落とし、
直線に出ればグイグイ加速、このメリハリが当たり前なので、前の車にイライラすることはありません。

100km/hを維持できる数少ない幹線道路は、ジャンクションはあるものの立体交差ではなく、
反対車線に出入りするには、クルマの流れの合間をぬって車線を跨ぎます!!

ほとんどのタスマニアロードはセンターラインを挟んで相対速度は200km/h!

でも道は決して広くありません、トレーラーどうしが対向するときは片輪をダートに落とします。

しかしどんな場面でもセンターラインを割って走ってくるクルマは皆無、当たり前といえば当たり前ですが、これも驚き。

相手がよけてくれるだろうの、どこかの国とはまるで違う緊張感を、対向するすべてのドライバーから感じました。

スピードは自分で管理するもの....

制限速度でスピードを管理しようとする考え方と大きな開きがあります。