クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

とことん遊ぶ

2022-12-25 11:21:46 | なんでもレポート
MFI誌サスペンションウオッチングの取材の折。

・・・そういえば少し前に四輪バギーの取材で試乗したところ、
オフロードでの乗り心地がびっくりするほど良かった、
とライターの方が雑談混じりに話してくれました。

そしてその日の夜に、バギー車に使われているダンパーの紹介サイトが届きました。

日本ブランドで北米で売られている四輪バギー、ダンパーも向こう製。

四輪バギーと聞いても身近なものではないのでフーンとしか返事ができなかったのですが、
乗り心地のいいサスペンションと聞くと仕事柄気になります。

その動画では、大きなギャップの連続するラフロードを、ほとんど空中を飛んでいて、
時々着地に見えるほどジャンプを繰り返しながらぶっ飛んでいるシーンが出てきます。

それでもマシンは常に水平飛行!

乗員も車体と一緒にゆったり揺れているのが動画でわかります。

一体どうすればこんな走りができるようになるんだろう。

そして装着されているダンパーの構造と作動状況をアニメーションで見ることができます。

これで構造と作動原理まではなんとなく理解できるものの、マシンと減衰値の組み合わせ方が見えません。

水平飛行とはバウンス挙動のことで、不連続なギャップでもピッチング挙動にならず
安定した姿勢を保ち続けられるのが不思議です。

しかし考えてみれば、砂漠の中の荒地をわざわざぶっ飛ばすだけの競技で、
どこまで進化しようが"遊び"に過ぎません。

そんな中にあって「必要から」優れた発想のダンパーが生まれてくる。

とことん遊ばないと"行きつけない"ところがあるってことです。

うらやましい!

取材 NBR WRX FUJI SW

2022-12-16 11:21:11 | イベントレポート
富士スピードウエイで行われたNBR仕様のWRXの
シェークダウンテスト&お披露目会に行ってきました。

オートスポーツ誌の取材お手伝いです。



概要説明、走行、記念撮影などの予定を一通り終えた後に、
独占取材で総監督の辰巳さんと、トラックエンジニアの宮沢さんにインタビュー。

ニュルブルクリンク 24時間レースを走るサスペンションとは、を色々と教えてもらいました。
オートスポーツ来年1月売り号にこの記事が載ります。

ピットの中でエンジン暖機していても排気臭なしで純正並みの排気音。

シュルシュルと静かで速いニュル仕様。

ABSを効かせたブレーキングから、コーナリングもアウト一杯までのスキール音が、土手の上まで聞こえてきます。

マスターバック付きブレーキでABSを常用しているとのこと。

なのでフロントLSDは純正ギヤ式、センターデフも純正DCCD最弱で使用。

リヤLSDはLOMタイプでイニシャルトルク弱め。

この組み合わせがABSを生かすためのLSDの存在限界。

この日、GT300 BRZも隣のピットにいて、待ち時間の間STI渋谷さんと立ち話。

ピットの中で遠目にWRXを眺めていたら何人もの人から声をかけられました。

残念なことにうろ覚えだったり、なんと返事しようか迷う人もいたり。

マスク着用なのでお互いがわかりずらい!

さらに、以前一緒に仕事をしたことのある編集者、カメラマンも。

学生フォーミュラをやっていた時に接点のあった彼はスバルの名刺を手に目の前へ。

私が現役の頃、競技インプレッサに同乗走行をした人(二十数年前)は、ヘルメットを取った時の顔知らないし⋯

昔小関さんの部下で⋯からはじまった人に至っては記憶の巻き戻しが困難。

でもなんでも言ってくださいとこの人から優しく声をかけていただきました。

スバルとWRXを身近に感じることができたことと、取材以外にも多くの人に会えて嬉しい1日でした。



タルガタスマニアラリー参加車両

2022-12-14 13:39:13 | ガレージレポート(オリジナルボックス)

オーストラリアのタルガタスマニアラリー に参加した時の
AW-11スーパーチャージャーが里帰りしてきました。

参加したのは1999年なのでもう23年経ちます。

保管状況が思わしくなくボディーの痛みが進んでいたり、部品も何点か無くなっていて不動状態。

ラリー本番ではそれはそれは元気に走ってくれました。

その時に組んだコ・ドライバーは、国内ラリーでAW-11がデビュー仕立ての頃に、
メーカー系のドライバーと組んで戦っていたので、車両挙動に癖があるのをよく知っています。

なので一度もカウンターステアーを当てることなく走るAW-11は、自分の記憶と違うおかしいと、
危なっかしい挙動が出るはずのタイミングで叫んでいました。

クラス優勝と、全てのタルガステージ(SS)で基準タイムをクリアした人だけに送られる賞もいただきました。

これはSS途中で一度でもスピンするとアウトになるくらいの厳しい制限タイム内で、全SSをドライもウエットも失敗なく走らせた証です。

このラリー では、オーストラリア国内のMR-Ⅱクラブの人たちが大歓迎してくれました。

AW-11の参加は一台のみだったのでなおさらでした。

SW-20が同じクラスに参加していて途中まではいい勝負をしていたのですが、
3日目にコースアウトして牧場のフェンスに跨ってアウト。

ちなみに漫画家の山口かつみ氏もこのラリーに同行、タキシード姿で表彰式もご一緒しました。

漫画オーバーレブがスタートしたのが1997年なのでちょうど2年後のことです。

女の子が主人公でMR-Ⅱが活躍する話にピンときた人は、
そうですリアルなタスマニア仕様のスペックが単行本のどこかに紹介されています。

⋯⋯と言った思い出のあるクルマ。








ロータスエリーゼの場合

2022-12-07 15:33:58 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
エリーゼの初期型が入庫してきました。

アルミのディスクローターが使われている珍しいタイプです。

オーナーさんは車両を手に入れた後、全塗装に始まりエンジンその他諸々
ほぼ車両代ほど改造費を注ぎ込んだそうです。

締めで購入したダンパーキットは"評判"のもの。

これがサーキットの中ではなんとかなっても乗り心地が残念!

ということでそのダンパー仕様のまま来社されました。

決断が早かった証拠に、ダンパーキットが新品状態。

アライメント定盤に上げてあちこちサスペンション周りの採寸の後、
純正ダンパーに交換してその日はお帰りいただきました。

エリーゼのサスペンション形式は前後ダブルウイッシュボーンで、
レーシングカーのサスペンションそのものです。

公道を走るために必要なロードクリアランスを確保しているところが、
地面を擦りそうなレーシングカーとの違いで、サスペンションの触り方、
セットアップの方法はレーシングカーのそれです。

そのことを知ってかしらずか車高を下げる余地があるからと迷わずローダウンする⋯かなりの確率で。

ローダウンから始めるサスペンションいじりは良い結果に結びつきません。

気に入ったサスペンションキットがなかなか見つからず取っ替え引っ替えした挙句に、
知らないメーカーのダンパーが隣のクルマについているとよく見えてしまう厄介な病いにかかります。

工場出荷時のサスペンションの成り立ちを理解せずに手を入れると、コーナリングの限界特性が神経質になるか醜い乗り心地になるか、又は両方か。

今回がズバリその例。

ということで、バネとダンパーをワンオフ。これに多くのノウハウを詰め込んで無事納車に至りました。

そのうちコメントが聞けると思います。

*写真の1/4スケールモデルはエリーゼのフロントサスペンションを正面から見たもの。
 教科書に載っていない、旋回時の挙動原理が再現できる優れものです。