クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

FD3Sの場合 その5

2019-03-27 13:29:51 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
FD3Sのエンジン下のクロスメンバーを補強しました、曲げ強度ねじり強度が約2,0倍/純正比。

直進性とステアリングセンター付近の手応えとか旋回保舵時の剛性感向上が期待できます。
僅かですが⋯でもこれが走らせている実感につながる嬉しい手応え。

痛んだブッシュ、ピロボールなども一通りリフレッシュ。

シフトチューニングキット、ステアフィールチューンングキットの組み込みが終わり、次はダンパーチューニング。

ダンパーを「モノチューブインライン方式」に改造。

*検索するとイラストが見れます

はじめに低めの減衰仕様を組んで走行します。

サスペンションを良く動くようにするのと、揺れをスムースに止めるところの程よいバランスを見つけます。

バネ下、バネ上にそれぞれ必要な減衰値を確かめていくのですが、減衰値は伸びも縮みも一種類しか仕込めません。

車体が浮き上がる時の「伸び」も、コンビニ駐車場から一段低い道路にストンとタイヤが落ちるのも、
ダンパーの動きはどちらも「伸び行程」

伏せの方向に車体が沈み込む時、あるいは凸の通過時に車体側に足をたたむ時は「縮み行程」

それぞれのシーンで作動スピードが違ったり受ける荷重が違うので、一筋縄とはいきません、
なのでほどほどの「妥協点」を探すのがダンパーチューニングです。


工作の時間 スプリングテスター

2019-03-16 10:58:08 | なんでもレポート
サスペンションセッティング作業で欠かせないのがスプリングテスターですが、もうかなりの年数使っています。

何ミリ圧縮したかを見るデジタルスケールの文字が読みずらいのと、
ゼロリセットボタンが取れて中のスプリングがむき出しのまま⋯⋯それでも一応使えてはいるのですが
壊れてからでは遅いので、修理ではなく丸ごと作ることにしました。

準備する部品は、ダルマジャッキ、デジタルスケール、荷重計、スプリングシート。
台座にするH鋼、柱にする丸棒、アルミ板、角パイプなど。

現テスターから一部パーツを流用するのと、工場のストック材料、購入品、あとは加工です。

これまでのものと測定できる範囲は基本的に同じ。

荷重表示も明るく大きな文字になったので読み取りやすくなりました。

デジタルスケールも新しくしたのとこれまでのものより全長の長いものにしたのでストローク不足の心配がなくなりました。

それとこれまでのスプリングテスターに無かったものも設けました。

測定中に圧縮したバネが弾けて怪我をしないようにする安全装備です。

競技用の安全ベルトを使いました。

筐体をがっしりとした作りにしたので、荷重計もスケールの数値もピタッと止まってブレません、手作り品にしては上出来。



FD3Sの場合 その4

2019-03-09 18:26:25 | ガレージレポート(オリジナルボックス)

さらにロールと繋がりのある大きなファクターとして車高があります。

と言っても、車高と連動しているロワーアームの「アーム角」のことですが。

車高を下げれば重心が下がって安定する。と誰しも信じて疑わないところがあると思うのですが、
実はサスペンションの動きは車高を下げる方向で不安定になり、高くするほど安定性が増す特性があります。

なのでストロークの中央より少し高めの位置が純正車高で下反角が少しついているクルマが大半です。

少しくらいは平気だろうと思っても、アーム角は車高の通りに変化するので不安定ゾーンに入りこみます。

若気の至りで車高を下げたことのある人は説明がいらないと思いますが⋯⋯

理由は、揺動タイプのサスペンションは「車高と連動して」アームの角度が変わることです。

ロワーアームの延長線方向に力が伝わるので、地面に対して平行ならタイヤのグリップ力は車体に対して真横に、
アームがバンザイしていると車体に対して下方向にも力がかかります、つまり分力が発生して車体を押し下げます⋯⋯
逆に下反角が付いていれば車体を持ち上げる力が発生します。

アームがバンザイしていて車体を押し下げる力が発生すると、その力は横Gに応じたバネのたわみ量に追加されるのでさらに深くロールします。

バンザイの角度が大きければ比例して分力も大きく、そこからロールが進行していくと更にアーム角がつくのでセルフロールとなってロールスピードが速くなります。

これが、車高を下げると何割も何倍も固いバネを選択せざるを得ない理由です。

当然ながら過剰な減衰値が必要になり、ゴムでできたタイヤがついててよかったと思わせる乗り心地になります。

今回のように柔らかいバネと快適な減衰値で走りをまとめるには、横Gを受けた時のアーム角に着目して、
ジャッキダウン力の発生の少ない領域を使ってサスペンションのロール剛性を味方につける必要があります。

つづく




FD3Sの場合 その3

2019-03-01 09:51:46 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
柔らかめのバネを選択して、サスペンションの動きをたっぷり取ることで快適な乗り心地が期待できます.
しかしバネが柔らかいとコーナーリング時のロールが気になります。

ロール方向の動きはスタビライザーにある程度依存することになるのですが、
幸いなことに、と言うかやはりFD3Sは元々柔らかいバネとのセットで強めのものが装備されています。

スタビライザーも柔らかいほど乗り心地がいいのは言うまでもありませんが、
変更することが目的ではないので今回は純正組み合わせでいきます。

さらにバンプラバーと言われるストッパーを効かせてロールを規制する方法もあります。

ショックの沈み込み方向の底付き(ストロークの終わり)を、メタルタッチしないように、
ラバーで受け止めるのがストッパーの基本的な役目。

そこは変わっていないのですが、ストッパーの長さ、固さを変えるなどしてロール量をコントロールできます。

同じように旋回内輪のリバウンドストローク(伸びきり長さ)を規制するのも効果あり。

しかしこれらのストロークを制限する方法だとせっかくの長いサスペンションストロークを短くすることになるので、
乗り心地とロール規制のクロスポイントを注意深く見極める必要があります。

つづく