クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

マクラーレン MP4-12C 試乗

2012-11-30 13:37:44 | 試乗レポート

袖ヶ浦フォレストでの9台の試乗車とは別にもう一台、マクラーレンMP4-12Cがあった。
他の予約が入っていたらしくサーキット走行はならなかったが、日を置いての試乗となった。
前日も晴天、試乗の次の日も晴天だったのにその日の都内は雨、うらめしい!
神経質なところはどこもないですから大丈夫ですよ、とスタッフの人に声を掛けられて試乗に出発、
の前に乗り込んでコクピットドリル。

             
興味はもちろんサスペンション。それとカーボンシャシー。
バネ下の振動あるいはバネ上と言われる車体振動を減衰させるショックアブソーバーと、
車体を支えるスプリングとで構成されている従来からのサスペンションに対してロールとピッチ制御を
主として考えられたプロアクティブシャシーコントロールと呼ばれるサスペンション(マクラーレンの呼称)。
硬い足がスポーツカー?速く走る為には足を硬めるのが常套手段、などと思っていると、
今回の乗り味は想像すら出来ない。

             
左右のサスペンションを結んで車体の傾きをコントロールする金属のスタビライザーはリヤのみ。
アスファルトの荒れたところを走らせても減衰の極端に低いダンパーをつけているかのように
路面からの入力をシナシナと逃がし、突っ張ったような印象がまるでない。
タイヤのゴツゴツと一緒に体で感じるハズのタテGがとてもやさしい。
それでいてハンドルを切って旋回姿勢を確かめると、見た目まったくのノンロール。
操舵速度を速めて横Gを強く立ち上げても、まったく沈み込む様子がない。
素早くハンドルを戻しても車体のグラツキは皆無に近い。
従来の車が強い横Gを受けている時の外輪側は縮み方向のストロークの終わり付近にあり
リジットサスペンションに限りなく近い。
旋回中に凸を通過すると急激なタイヤの接地荷重変動が起きて、走行ラインにズレが生じやすい。
マクラーレンの場合、ノンロールとイメージすればサスペンションの伸び縮みのストローク寸法の
バランスが変わらずに待機していながら、コーナリングしている訳だから、凸の乗り上げも吸収でき
タイヤの接地荷重変動をおだやかにできる。
つまり接地が安定していると想像できる。
他のスーパーカーと同じく低い車両姿勢からみて、サスペンションストロークは似たような機械寸法と
思われるが、有効なストロークを維持し続けられる点でまったく別物と考える事ができる。
軟体動物のように地面を捕らえ、ブルッともしない強固で軽量な車体のこの乗り物は
速度の管理のみDrに要求し、後は全て俺にまかせろ、と車が言ってくれている気がする。
サスペンションのアイデアは数十年来のもので、目新しいものではないが、
現代のカーボンシャシー、電子制御技術などと組み合わせた結果、より完成度が高まったと言える。
その中でもっとも寄与しているのはカーボンシャシー。
サスペンションだけを真似ても“やわ”なシャシーでは、おそらくうまくいかないと推測する。
よいサスペンションは、よいシャシーに宿る・・・だ。


試乗日記

2012-11-28 16:49:55 | 試乗レポート

袖ヶ浦フォレストでの取材の内容はMFi誌本誌を読んでいただくとして・・・。

その日9台の試乗車が用意されていたので
・サーキットの中を9回
・一般道に出て試乗するのを9回
計18回のとっかえひっかえをやったから、それはあわただしかった。
更にそれぞれの車の毛色の違いも手伝って、乗り込んでスタートさせるまでがまるでクイズ。
右ハンドル、左ハンドル、ウィンカーレバーも右側左側があり、
エンジンスタートもプッシュボタンあり、キーあり、
サイドブレーキも色々で、リリースの方向がわからない。
シートポジションを合わせるのは?
ピットアウトの合図でワイパーを動かしたり、エアコンのSWがわからず汗々。
正直、冷静なインプレッションとは言い難い。
しかもサーキット路面がキレイだから、どの車も快適。
従って少し落ち着いて走らすことのできた一般道路での印象が評価になっている。
それぞれの車は横比較の必要のない車だが、一気乗りをすれば否応なく気が付くことがある。
こわくて口にできないが、オヤオヤであったり、ヤッパリであったりと、
普段絶対評価の端っこの方で気になっていたことが、ピッとアンダーラインを引くように
明確になってしまった、という話は本誌には多分出てきません。
皆さんが勝手に想像してください。


検証 バランススロットル 59

2012-11-12 14:06:21 | バランススロットル

MOTO GPの放映を見ていたら、画面に心拍数が表示されているシーンがあった。
予選時のペナルティで最後尾スタートとなったこのライダーの、
スタート前からスタート直後の集団の中を一気に抜けていくとき。
更にレース中の争っているシーンでの心拍数を見ることができた。
時々、200回/分を上回るときがあるかと思えば、緊張感が一瞬やわらぐ時なのか
150回/分程に下がる時がある。
が、それ以下の数値は見えなかった。
150~200回/分程が常用域か。
血液を大量に必要とするスポーツ選手は180程が上限とされ、それ以上は危険領域と言われている。 
しかし以前からレース中のレーシングドライバーは200を越すことがあると聞いたことがある。
かのアイルトンセナもレース中の心拍数は常時180程だったらしい。
ところがあるシーズンオフに、セラピストの姉に心のケアーを教わり、
次の年、鈴鹿の走りでは120になったと伝えられている。
緊張感と心拍数。
心の持ちようで変えられるモノなのか。
今更だが、これは興味あるテーマだ。
運転技術の裏付けも自信につながり、自信は緊張に影響しそうだ。
それとも心臓に毛が生えていればいいのか!? 


検証 バランススロットル 58  4つのライン取り+2

2012-11-10 13:40:18 | バランススロットル

先回の練習会を見ていて思ったのは、4つのライン取りがかなりの難題のようで、足踏み組が多かった。
知ってしまえば、どうってことのないライン取り、といつも言っているのだが
まだうまく伝え切れていないのかも知れない。
4つのライン取りが、うまくいかない人は車をどう動かすのかの手順と、
ライン取りの理由がシンクロしていないと思われる。
とはいえ、この先も悶々としたままではいけないので“4つのラインのトレーニング方法”を
あれこれ考えている。
今はまだ、速度もGも指定せず、とにかくラインを描くことを優先してやってみよう!の段階にいるのを
次回はワンステップ上のGとライン取りを重ね合わせたトレーニングにしてみようと思う。
それと、4つのライン取りを、より理解しやすくする目的で、更に2つのラインを新たに考えた。
えっ、6つのライン取り!?にはなりません。
従来の4つのラインはそのままで、追加の2つも加わることはありません。
あくまでトレーニング用(説明用)のものです。
インベタで回るラインを♯0 アウトベタを♯5
これを用いて旋回スピードの考え方、ヨーコントロール、ブレーキアクセルの切り替えポイント等々
わかり易く学ぼうというもの。
もっとも♯0と♯5が走れなかったらお手上げになるか・・・。


第2東名高速

2012-11-08 23:37:59 | ドライブレポート

第2東名高速を走ってきました。
富士山が近くに見える。
山、山、山で一度も海が見えない。
ゆる~いRと、ゆる~い上り下り、あとはトンネル。
道幅にゆとりがあって、速度感が良くわからない。
路面がきれいでワダチもない。
車の乗り心地に気をもむこともなく、快適そのもの。
走っている車両も少なく、トラックスピードに付き合わされることもなく
アベレージを保つのも楽々できた。
なんだかずい分と移動時間が短く感じられた。
移動の車はアレ。
ディーゼルターボのエンジンとトランスミッションで、駆動コントロールは申し分なし。
サスペンションは“凝った”ものだが、言われなければわからない。
いや、説明されてもわからないか。
乗っても評価がむつかしいもの、とも言える(路面も手伝って)。
しかし、路面の問題が全くない平らな道を走らせても、直進性が今ひとつ。
そしてハンドルに触ると、超過敏に進路が変わる。
ハンドル外周で3mmも動かせば、進路変更ができる(イメージ)。
一般ドライバーには横Gを立ち上がらせないで車線内を走らせるのは
かなりむつかしいことが想像できる。
二度と乗りたいとは思わない車だった。

 


MFiフォーミュラ

2012-11-05 13:42:16 | なんでもレポート

昨日、MFi誌の打ち合わせを行った。
お手伝いしているサスペンションウォッチングのページが衣替えする。
新車ないしは気になるサスペンションを、これまで一方的に紹介してきたのだが
大きく方向転換して、読者参加型に。
先号でその内容は告知されているが、紙上で走らせるフォーミュラカーを募って紹介していこうというもの。 
新しいサスペンションというのが約束だ。
誰も応募してこないのでは?と気をもんでいたのだが、 ちょうど中国の南の島でサスペンションチューニングをやっている最中に、応募があったことの連絡をもらった(これで企画がスタートできるとホッと一息)。
そして昨日、当人を交えてミーティングを行った。
その込めた想いを聞いているうちに時間が経ち、昼過ぎに始まった打ち合わせは夕方まで伸びてしまった。 
素晴らしいアイデアのそれは、次号に紹介される。
実車、実走を狙ったアイデアではあるが、完成品である必要はない。
見所があれば良し。
見たこともないサスペンションの必要もない。
何かの組み合わせでも良いし、従来型の部分改良でも良い。
こんなのできないかなーの発想のキッカケになるようなものでも良い。
それを見た別の読者が新たなアイデアを生んでくれるかもしれない。楽しみだ。