クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

工作の時間 2019

2019-12-24 10:26:28 | なんでもレポート
簡易型ダンパーテスターを作ってみました。

ダンパーをセットするブラケットをスプリングシートに交換すれば、スプリングテスターにもなります。

ダンパーテスターと言えばハイパワーのモーター駆動が一般的ですが、今回のものは手で駆動します。

アンチロールアングル その10

2019-12-10 09:42:32 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
FF車でコントロールを失う瞬間というのを、ラリーカーのクラッシュシーンで見ることができます。

その場でクルリとスピンするか、一瞬リヤが流れてカウンターステアーを当てるも、
すでにマシンはドライバーのコントロール下になくコースアウト。

FF車特有のタックインと呼ばれる現象です。あるいはFF車でカウンターステアーを当てるとこうなるの典型的な映像。

タックイン?

最近ではあまり聞かない言葉かもしれませんが、車両の限界特性を表す言葉の一つです。

FF車のタイヤは前後同サイズが基本、ほぼ例外なく。

60%の荷重を受け持つフロントタイヤから先にグリップ限界に達し、40%の荷重を受ける後輪は
まだグリップに余裕があるので、ハンドリング特性は最後までアンダーステアーのはずです。

なのにスピンモードに陥るのはどうしてなのか。

ターマックラリーを走るラリーカーの車高はかなり低くセットされています。

いわゆるローダウン車。

となるとフロントロワーアームに上反角(バンザイ)がついています。

このセッティングでブレーキングしながらハンドルを切ると、旋回外輪に荷重が集中しやすくなります。

タイヤ荷重の変動タイミングがドライバーのコントロール下にあれば問題ないのですが、
上反角車両はそうはいきません。

上反角がロールの自励運動を引き起こすからです。

ロールが深くなるとロワーアームの取り付け点が下がるので上反角度合いが増し、
ジャッキダウン力がさらに大きくなるのと、この力はロールスピードを加速させる力にもなります。

当然すぐにショックストロークが底付きします。車体にタイヤ直付け状態。
この瞬間タイヤ荷重が増大します。
(つまずいたような感じで荷重が増大するので持続性はありません)

残り三輪のタイヤ荷重が抜け落ちるのでグリップを失いスピンモードに至ります。

荷重の乗った前輪アウト側タイヤを軸にスピンしているのが動画で見れます。

素早いカウンターステアーを当てられれば回避できるのでは?とも考えられるのですが、
横Gと連動しているジャッキダウン力がロールを深く抑え込んでいるので、
わずかな量のカウンターステアーでは効き目がありません。

逆ハンドルと言われる状態までハンドルを回してやっとフロントが動き始めるのですが、
重いフロントが一旦外向きに動くと、ヨーイングが反転して旋回半径が極端に大きくなります。
つまりコーナー外側に向かって一直線⋯

スピンするか、コースアウトするか。FF車の危険極まりない動きです。

下反角はアンチロールアングル。
上反角はアクティブロールアングルで、
前者は安定領域角、後者は不安定領域角と言い換えることができます。