クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ルノートゥインゴの場合

2023-01-28 13:01:37 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
ルノートゥインゴはリヤエンジンリヤ駆動車。RRです。

サスペンション形式は、フロントストラット。
リヤはあまり見ないカタチのドディオンアクスル。

ビール缶が中にすっぽり入りそう外径80mmのパイプをコの字型に曲げて、
両サイドに車輪、フロント中央をゴムブッシュで車体と連結。

横方向の力は左右に長いリンクが伸びていて中央で支えます。

クルマ旅を楽しんでいる人から、乗り心地が気になるのでなんとかしてほしい、と相談がありました。

一度出掛けると数百キロ、ないしは千キロオーバーもしょっちゅうなので、
気楽に遠くに快適に⋯誰しもの願いです。

乗用車然としたクルマでも、乗り心地が万全かといえば、
大体はいいけどこんな動きが気になる⋯時々聞きます。

さらに特別仕様車などでよくあるパターンとして、車高が下がっている、
大径ホイールとセットの低扁平タイヤが付いている、バネレートが違う、減衰値が違う、
スタビライザーが違う、シートが違う⋯走りの良さをイメージさせるそれですが、
時にアダとなることがあります。

今回のクルマが該当するかどうかは知りませんが⋯

車両購入前の短距離試乗しただけでは分からない、
長距離試乗後の気になる乗り心地を探し当てて手立てする⋯今回のケースです。

ビルシュタインダンパーを仕立ててこのクルマに合わせ込みます。

ちょうどMFI誌のサスペンションウオッチングのページでルノートゥインゴを取り上げるタイミングと
重なりました。(2月売り号)

クルマのサスペンション その2

2023-01-19 13:59:27 | セッティングレポート(SUSPENSIONDRIVE)
ハンドル操作をすると"関連縣架"はどう動くか、どう動くのがいいのか。

クルマをロールさせてみます。

例えば左コーナーに入っていけば左前輪のサスペンションが伸び上がり、右前輪のサスペンションが縮みます。

この時の内輪側の伸び上がり量と外輪側の縮み量は同量です。
内輪側が10mm伸び上がれば外輪側は10mm縮むと言った具合。

・リヤサスペンションの話はひとまず置いておきます。

止まっているクルマの中で左側の席に座っていた人が右側の席に移っても、荷重移動の影響を確かめられます。
(車高を測定してくれるお手伝いが必要ですが)

横Gが掛かっていなくても同じです。

荷重移動が起きても、その荷重がどこかにいってしまったり、新たに加わったりする訳ではなく、
四輪の荷重の合計値は常に同じです。

たとえば一輪の接地荷重がゼロになったとしたら三輪で荷重を受け持ち、三輪の合計荷重は元の荷重と同じです。

左右輪が同量伸び縮みするのは、サスペンションが伸び切るとかバンプラバーが
強く押しつぶされ始める前までの動きです。

伸び縮みが同じ量なので、シーソーの動きに置き換えれば支点が車体の真ん中(トレッドの中央)あたりにあって
ロール運動を"開始"していると想定できます。

但し、ここまでの話はダンパーの減衰値を考慮しない、バネのみでロールさせた時の動きです。

つづく⋯

クルマのサスペンション

2023-01-10 14:36:06 | セッティングレポート(SUSPENSIONDRIVE)
独立縣架方式も車軸式も、路面の起伏に追従している時は四つのタイヤがバラバラに上下します。

四輪それぞれが動いて地面を捉えてこそのサスペンションなのでこの通りなのですが。

これは地面側から見たときのサスペンションの動き。

サスペンションは車体に吊り下げられているので、車体を動かした時には
四輪が連動して動くと考えることができます。

例えばハンドルを動かして車体をロールさせると、フロント外輪は縮み、対角線の後輪内側は伸び上がります。

後輪外側は縮み、前輪内側は伸び上がります。

それぞれのサスペンションの動き量は違うものの、動き始めのタイミングは必ず一斉のせいなので、
これはある種の関連縣架と言えます。

この時、伸び縮みするサスペンションのバネストロークは「荷重変動量」を示し、
バネの撓み量をタイヤの垂直荷重に置き換えることができます。

バネが縮んでいればそれだけ荷重が増えていることになり、
バネを下側で支えているタイヤにその荷重が載っているわけです。

その逆にバネが伸び上がっているなら荷重が減って、
タイヤを押さえつける荷重が小さくなっているということです。

タイヤの垂直荷重はコーナリングフォース(タイヤグリップ)の大きさを決める大切な要素なので、
限界特性を考える時には、車体重量が四輪にどのように移動しているかを考えるところから始めます。

このドライバー操作(ハンドル、アクセル、ブレーキ)によって荷重移動が起きることがイメージできたら、
次の段階は荷重が変動する「時間」⋯⋯ダンパーの減衰値を絡めて考えていきます。

⋯⋯つづく