クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

いい脚あり〼 ゼロタッチバネ その15 997の場合

2022-06-22 10:41:29 | ガレージレポート(オリジナルボックス)

*フロント 初期仕様


*フロント 最終仕様


*リヤ 初期仕様


*リヤ 最終仕様

ゼロタッチバネに合わせてダンパーチューニングを行いました。

997のフロントストラットはツインチューブタイプの非分解のダンパー。

これは自動車メーカーがテストで使用する分解型のものにしました。

リヤはモノチューブダンパー。

このまま分解してチューニングを施す方法もあるのですが、
重い重いリヤの車重をしっかり受け止めるのに、
別タンク式のダンパーを新規製作。

レーシングカーなどで採用される形式と同じで、
ストロークと減衰値がより確実に作動させられる構造です。

線図は初期仕様と最終仕様です。

フロントは圧側の減衰ボリュームを低く設定しました。

リヤは減衰を大盛りにしていけば、車体の上下動を止められるようになるものの、
引き換えに乗り心地の悪化が考えられます。

「止める」のではなくゆっくりスピードで揺らして振幅を減らしていくことで、
乗り心地との折り合いがうまくいくことがあります。

つまり動きの「速さ」に減衰を効かせたいので、ピストンスピードの高速域寄りに
減衰ボリュームのある速度依存型のリニアピストンに変えました。

純正はデグレッシブピストンで、ピストンスピードの低速域寄りに
減衰ボリュームが集中しているタイプです。

ストロークの出始めから動き終わりまで終始強くブレーキがかかるので、
身動きしないようなバネ下との一体感のある動きとも言えるのですが、
この状態から減衰を大盛りにすると、仔細な路面の凸凹も吸収できなくなり
ブル感だったりボコ付きが気になりはじめます。

その手前に答えがありそうですが、速度依存の傾きが寝ている分、
高速域の減衰不足が顔を出すことがあり、
ゴツゴツするのに大きくストロークする瞬間が入り混じります。

と言ってもリニア、デグレッシブ。それぞれに一長一短があって使い方次第。

リヤに関してはデグレッシブからリニアに変えました。

フロントはデグレッシブのままです。

初期仕様と最終仕様との間に、かなりの時間とたっぷりの手間、
それにあちこちの協力会社などの人手があって、開発ストーリがぎっしり詰まっているのですが⋯

ブログで見るとああそうなんだ!

いい脚あり〼 ゼロタッチバネ その14

2022-06-09 15:09:46 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
ゼロタッチの証、スプリングコンプレッサーで押さえつけなくても取り付けナットがかけられます。


ポルシェ997

997用のゼロタッチバネができあがってきました。

純正形状のバネを一台分だけ、しかも車高を指定して製作してもらうのは⋯ある意味かなり贅沢な話です。

優れたバネ素材⋯最新の設計技術(巻き方)⋯雪道対応の贅沢塗装&特注色。

ストラットと組み合わされるバネなので、荷重中心線の管理も然り。

バネメーカーさんに試作として作っていただいているので、当たり前のことですが、
クルマに組み込んだ後の寸法を見れば指定した車高がいくつだったかが正確にわかるほどです。

さすがと言っていいのか、当たり前でしょうなのか、恐れ入りましたとしか言いようがありません。

毎回思うことですが餅は餅屋。

サスペンションセッティングをまとめるにあたって、決めてになる車高を
きちっと作り込んでもらえることがどれだけありがたいことか⋯

このバネに合わせて減衰力チューニングを行います。

乗り心地を良くする⋯と聞けば、柔らかくて刺激の少ないイメージが浮かんでくるのですが、
柔らかく感じるけど快適さがないとか、硬くしっかりしているのに不快じゃないと言ったことが
しばしばあるので、はじめに乗り心地のふるい分けから。

さてどんな仕上がりになるのでしょうか。