クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ゼロタッチバネ その16 997の場合

2022-07-08 13:03:19 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
特注のゼロタッチバネを997ポルシェに組み込んで最終確認です。

でも、以前乗った仕様との違いが分からない、とは、ひとっ走りしたあとの森慶太氏のコメント。

そのはずです、テスト時の組み合わせ仕様とゼロタッチバネのレートは数%違い。

違うのは1G車高が変わったことと、バネの巻き方変わった⋯
これはざっくり言えば雑味が減るので違いが分かりづらい。

ステアリング操作に対して車両の反応が分かりやすく穏やかな方向に調ったことで、
これまでこのクルマを走らせた時に感じていた緊張感が和らぎました。

例えればステアリングのオーバーオールレシオが一割ほど緩くなった印象、
又は夏タイヤから冬タイヤに履き変えた時に感じる、ステアリングをほんの少し
先行して操作できるまろやかな反応に似ています。

特に旋回姿勢から直進に戻る時のステアリング操作の気難しさが減って、
俺って運転上手くなった?と思える扱いやすさになりました。

それと、道の凸凹が無くなったように感じる、とは別のドライバーさんの同乗コメント。

FF→FR→FMR→RMR→RRと荷重(重心)が後ろよりになっていった時に、
ピッチング対策とハンドリングの組み立て方は、
果たしてこれまでのサスペンションチューニングの線上にあるのか。

つまりRR車の潜在的なピッチング挙動を手なずけることが、快適さを演出する為の前提条件で、
今回一番の課題だった訳です。

フロント三種類、リヤ二種類のバネの組み合わせを試して「前後バランス」と「バネレート」を探り、
もう少しこうしようを加味した数値をゼロタッチバネに反映させました。

出来上がったものは、ポルシェが純正で設定しているバネレートのすぐ近く、組み合わせの妙プラスαの範囲。

ロワーアーム角と、バンプステアー、キャンバー変化、トレッド変化、トー変化は全て連動して動きます。

「設計車高」のあたりにそれぞれの数値の中央値があり、
トーインからトーアウトに変化する(リヤサスペンションは逆)ロールステアー又は
バンプステアーと呼ばれるトーの切り替え点もここに設定されています。

これはサスペンション設計の基本、世界中で走り回っているクルマの90%以上はこの約束で作られています。

とここまで書いて思い出しました、一部に肝心要の車高がアレレのクルマがあったりするので例外もあります。
持ち込まれた時点の997も・・・

現代の高性能タイヤを履いていれば、当然ながらそのジオメトリーを反映した動きが色濃く出ます。

「ホイールアライメント」「車高」の扱いはレーシングカーのそれと同じに"慎重"に管理すべきで、
甘い考えは走りを台無しにしてしまいます。


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