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約定更新料で新判断―最高裁が地主の上告を棄却
〈合意無ければ支払義務無し〉
法務省の司法統計によると「借地紛争」が多発したのは、1965年(昭和40年)前後と1985年(昭和60年)前後である。統計的に予測される次の「借地紛争」多発の時期は戦後60年に当る2005年(平成17年)である。「借地紛争」の実体は、借地人側から見ると更新料問題である。
更新料の授受は慣習に多く頼っており、地域差が非常に大きいという理由から「借地借家法」(1992年8月1日施行)においても更新料の規定は置かれなかった。更新料については法律には何の規定もない。従って法律上は、賃借人が更新料支払の義務を負っている訳ではないし、また賃貸人が更新料を請求する権利を持っている訳でもない。
最高裁は更新料に関して「賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決・同趣旨の最高裁1976年10月1日判決)(注)としている。
即ち、予め更新料の支払約束が無い場合は賃貸人が賃借人に対して更新料を請求することが出来ないというのが判例の主流である。実際、前記最高裁判決後、借地・借家に関して更新料支払合意が無い場合に更新料支払義務を認めた判例は存在しない。
〈約定更新料は支払義務無し〉
それでは、契約書に更新料支払の特約がある場合、賃借人は更新料の支払義務を負うのか。
借家に関しては、既に更新料支払約定があっても法定更新された場合には借家人に更新料支払義務がないという最高裁判決(1982年4月15日)<「借地・借家 更新料について」資料3>(東京借地借家人組合連合会 頒価500円送料別)がある。
借地に関してはどうだろうか。
地主が借地人に対して契約で合意した(約定)更新料の支払を求めて東京地裁に訴えた事例を検討してみたい。これは江東借地借家人組合の会員の場合である。
裁判では法定更新の場合、借地人の約定更新料の支払義務の有無が争点になった。
東京地裁は「更新料支払合意が契約の法定更新の場合を除外する趣旨のもの」とは認められないとして借地人は法定更新しても約定更新料の支払義務を負うと判示し、借地人に更新料約76万円(坪当り約25,600円)の支払いを命じた(2000年3月13日判決)。
しかし、地主は更新料が低額であるとして東京高裁へ控訴した。東京高裁は「法定更新された本件においては、本件更新料支払合意は効力を有するとは認められず、したがって、右合意を根拠とした控訴人(地主)らの本件請求は本来理由のないもの」(2000年9月27日判決)として地主の請求を根拠が無いと否認した。
地主はこの判決を不服として最高裁へ上告した。
最高裁は地主の上告を棄却し、予め合意された更新料支払の約定は法定更新の場合には適用されず、借地人の更新料支払義務を負わないとする東京高裁の判決趣旨を是認した(最高裁2002年2月22日判決)。
借地人の「2005年問題」の闘いに・更新料不払実行に有利な判決がまた一つ追加された。
(注)
「宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」 (最高裁1976年10月1日判決、判例時報83563頁)<「借地・借家 更新料について」資料1>(東京借地借家人組合連合会 頒価500円送料別)
「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」 (最高裁1978年1月24日)<「借地・借家 更新料について」資料2>(東京借地借家人組合連合会 頒価500円送料別)
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