東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 店舗の途中解約の際、保証金の20%償却する特約が有効とされた事例

2007年07月20日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

 店舗賃貸借の保証金について途中解約の際に20%償却する旨の特約が有効とされた事例 (東京地裁平成5年5月17日判決、判例時報1481号144頁以下)

 (事案)
 賃借人Xは賃貸人Yから期間5年、賃料月額35万3000円で約30坪の店舗を借り、保証金588万6000円を差入れた。これには「保証金は5年で20%償却する。償却分は5年目に埋めるものとする。途中解約は20%償却する」との特約がついていた。

 Xは1年後に店舗を明渡した。そこでXは、「右の保証金償却特約は、仮に1ヵ月後に明渡した場合でも保証金の20%を貸主が取得するという内容になっているから、少なくともその部分は社会通念に照らして著しく借主に不利であり、本件契約が継続していた1年間という期間に対応する4%の償却は認めるが、それを超える16%の部分は借家法の精神や民法90条に照らして無効というべきである。したがって588万6000円から4%を差引いた565万0560円を返還すべきである」と主張した。

 これに対しYは、「5年で保証金の20%を償却するという約定はごく一般的であり、借主の一方的な都合による中途解約の場合も同様に20%を償却するとの条項は十分に合理的であって有効である」と主張した。

 (判旨)
 「Xは本件償却規定の趣旨を十分に理解した上で賃貸借契約を締結していること、20%の償却額は1ヶ月の賃料の3倍には満たない金額で、借主側の負担として過大なものとまでは認められないこと、借主の交替の際には新借主を見つけるまでにある程度の家賃収入を得られない期間を生ずることは往々にして避けられず、その際には貸主において新借主獲得のための仲介業者に支払う報酬等の諸経費が必要となることが認められ、そうした事情を考えると、賃貸借契約が短期に終了することを防ぎ、ひいては安定的な収入を確保するために賃貸借契約がその期間満了を待たず、中途で解約となる場合に期間満了に比して多額の償却をして保証金を返還することは不合理とはいい得ないこと、以上を総合すれば本件償却規定が借家法の精神や民法90条に照らして無効とは認めがたい

 (寸評)
 民法90条は「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」と定めている。
  わずか1年しか借りていないのに保証金の20%も償却するのは、あまりにも借主に酷であ利、貸主のもうけ過ぎではないか、それは民法90条によって無効であるはずだというのが借主の主張である。

  判決は右のような理由で無効とまではいえないとしたのだが、判例の中には借主の都合による中途解約の場合に保証金全額を没収する旨の特約を有効としたものもある。借地法や借家法に明白に違反したものでない限り「特約」を無効というのはなかなか難しい。

(1994.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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