東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 阪神・淡路大震災により、、賃貸マンションが滅失したとされた事例

2007年07月23日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

 判例紹介

 阪神・淡路大震災により、賃貸マンションが滅失したとされた事例 (大阪高裁平成7年12月20日判決、判例時報1567号104頁)
 

 (事実)
 本件建物は、鉄筋コンクリート造4階建のマンションであり、借家人は、保証金を交付して、その一室を賃借していた。
 本件居室の賃貸契約書には、「目的物件が使用不能となったとき、あるいは天災地変、火災等によって損壊したときは、本件賃貸借契約は当然効力を失う。」との約定がある。右マンションが阪神・淡路大震災により損傷した。本件建物については、神戸市発行の全壊した旨の罹災証明書があり、借家人は建物滅失により本件賃貸借契約が終了したとして保証金全額の返還を求めたが、家主は、逆に、修理可能であり滅失に当たらないとして保証金の全額返還を争った。

 (争点)
 本件の争点は、阪神・淡路大震災により損傷した借家(マンション)の滅失の有無である。

 (判決要旨)
 裁判所は、損傷が、賃貸借契約の終了事由としての定められていることに照らし、損傷により建物として社会経済上の効用を喪失し賃貸借契約を存続させることが社会通念に照らし相当でないと判断される場合をいうとし、建物の主要部分が物理的に消失した場合はもちろんであるが、損傷した部分の修復が通常の費用によって可能な場合であっても、地震等により付近一帯の建物が損傷した等の事情により修復に時間を要するような場合には、当該建物の被災状況のみならず、地震に直接間接に関係した地域全体の被災状況や置かれた状況等諸般の事情を総合考慮し、賃貸借契約を存続させることを相当とするような期間内に修復が可能か否か等の事情を加味して判断すべきであるとした。

 そして、本件建物は1階部分の鉄骨柱が建物内部で折れ曲がり傾いた状態になったほか、1階部分は階段床、天井にも崩れた部分があり、2階ないし4階部分の躯体部分は右側に傾いて1階部分に落ち込むような状態にあること、本件建物と同様の規模の建物を建替えるには2億円以上を要すること、全壊した旨の罹災証明書があること、本件居室も床面が傾いて社会通念上そのままでは居住の目的で使用できないこと、被災地における復旧への取組がなされていることなどを理由に賃貸用居住建物としての社会経済上の効用を喪失したとして、建物の滅失を認定した。

 (短評)
 本判決は、従来先例の少なかったコンクリート造建物の滅失についての判断である。本判決は、建物の滅失について、物理的な観点および社会経済的な観点ばかりでなく、建物の用途(居住建物)、補修の可能性をも判断に当たっての重要な事情としており、実務上参考になるものである。

(1996.09.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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