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【問13】 Aが所有している甲土地を平置きの駐車場用地として利用しようとするBに貸す場合と、一時使用目的ではなく建物所有目的を有するCに貸す場合とに関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 AB間の土地賃貸借契約の期間は、AB間で60年と合意すればそのとおり有効であるのに対して、AC間の土地賃貸借契約の期間は、50年が上限である。
2 土地賃貸借契約の期間満了後に、Bが甲土地の使用を継続していてもAB間の賃貸借契約が更新したものと推定されることはないのに対し、期間満了後にCが甲土地の使用を継続した場合には、AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされることがある。
3 土地賃貸借契約の期間を定めなかった場合、Aは、Bに対しては、賃貸借契約開始から1年が経過すればいつでも解約の申入れをすることができるのに対し、Cに対しては、賃貸借契約開始から30年が経過しなければ解約の申入れをすることができない。
4 AB間の土地賃貸借契約を書面で行っても、Bが賃借権の登記をしないままAが甲土地をDに売却してしまえばBはDに対して賃借権を対抗できないのに対し、AC間の土地賃貸借契約を口頭で行っても、Cが甲土地上にC所有の登記を行った建物を有していれば、Aが甲土地をDに売却してもCはDに対して賃借権を対抗できる。
1 【正解:×】
◆存続期間の比較
●建物所有を目的としない土地の賃貸借
建物所有を目的としない土地の賃貸借は,借地借家法が適用されないため、民法の規定により、20年を超えることができず、20年を超えて存続期間を定めても20年に短縮される(民法603条1項)。
●建物所有目的の土地の賃貸借
建物所有目的の土地の賃借権は、借地借家法が適用され、一時使用目的の土地の賃貸借や事業用借地権を除いて、当事者間の合意により存続期間を100年以上にすることもでき、50年が上限ではない。土地の賃貸借は最低存続期間は法定されているが、それよりも長い期間を当事者が定める場合は、その存続期間による。したがって、借地の存続期間の上限に関しては制限が無い。
建物所有目的の 土地の賃借権 |
普通借地権 | 原則として30年。当事者間でこれより 長い期間を定めれば、その期間になる(3条) |
定期借地権 (事業用借 地権以外) |
定期借地権、建物譲渡特約付借地権 (22条)、(24条)とも50年を超えて設定できる。 |
|
事業用 |
50年未満のみ(23条) | |
建物所有を目的としない 土地の賃借権 |
民法の存続期間である20年を超えて 設定できない(民法604条1項)。 |
2 【正解:×】
◆更新の比較
●建物所有を目的としない土地の賃貸借
賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用または収益を継続する場合に、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借契約と同一の条件で更に賃貸借契約をしたものと推定する。
この場合、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる(民法619条1項)。⇒ 期間満了後にBが甲土地の使用を継続した場合には、AB間の賃貸借契約を従前のものと同一の条件で契約したものと推定されることがある。
●建物所有目的の土地の賃貸借(普通借地権の場合)
借地上に建物が残っており、期間満了後も借地権者が引き続き土地の使用を継続し、土地の所有者〔貸主。借地権設定者〕が、遅滞なく、正当事由をもって異議を述べない場合は、期間を除いて(※)、従前の賃貸借契約と同一の条件で更新したものとみなされる(借地借家法5条2項、6条)。⇒ 期間満了後にBが甲土地の使用を継続した場合に,存続期間を除いて,AC間の賃貸借契約が更新されたものとみなされることがある。
(※)借地借家法の規定により、この場合、更新後の存続期間は更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新では、20年)とされる(借地借家法4条)。
みなす | 法律関係が確定する。当事者がみなされたものと異なる事実を 主張することはできない。 |
推定される | 反証を立証すれば、推定された法律関係を覆すことができる。 |
3 【正解:×】
◆存続期間を定めなかった場合の比較
●建物所有を目的としない土地の賃貸借
存続期間を定めなかったときは、貸主・借主のどちらも、いつでも解約の申入れをすることができ、申入れから1年が経過すると賃貸借契約は終了する(民法617条1項)。
(※)「賃貸借契約開始から1年が経過すれば」という部分は余計です。1年が経過していなくても、また1年が経過していても、解約の申し入れができるからです。
●建物所有目的の土地の賃貸借 (普通借地権の場合)
普通借地権では、存続期間を定めなかったときは、存続期間は30年とされる(借地借家法3条)。
普通借地権では、期間が満了し、賃貸人の正当事由が認められ、借地の更新されなかった場合にのみ、賃貸借契約は終了する。したがって、正当事由があると認められる場合でなければ、解約の申入れはできない(借地借家法6条)。
4 【正解:○】
◆賃借権の対抗要件の比較
●建物所有を目的としない土地の賃貸借
賃借権の登記をしていなかったときは、新所有者に賃借権を主張できない〔対抗できない〕。
●建物所有目的の土地の賃貸借
賃借権の登記をしていなくても、借地上の建物に登記があれば〔表題登記、所有権保存登記、所有権移転登記のどれでもよい〕、新所有者に賃借権を主張できる〔対抗できる〕。(※)
建物所有を目的としない 土地の賃貸借 |
賃借権の登記をしていなかったときは、 新所有者に賃借権を主張できない〔対抗できない〕。 |
建物所有目的の 土地の賃貸借 |
賃借権の登記をしていなくても、 借地上の建物に登記があれば、 新所有者に賃借権を主張できる〔対抗できる〕。 |
(※) 一時使用目的の場合も適用されることに注意。
東京・台東借地借家人組合
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