東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

地代の値上げ(相続税路線価から地代を計算してみた) (東京・台東区)

2005年09月09日 | 地代の算出方法

   地代の増額請求調停 

 台東区東浅草の非組合員の森さん(借地28坪)は、簡易裁判所で地代値上げの調停中。地主は、現行地代1か月19,040円(1坪当り680円)を23,520円(坪当り840円)に値上げ請求している。

 調停は最終段階を迎え、森さんは現行額の1%増(28坪で190円)なら呑んでもいいと回答し、それ以上なら拒否するつもりでいる。しかし、森さんは確信が持てない。現在の地代が高いのか、安いのか、判断する根拠が解らないからだ。

 地代値上げを呑まずに調停が不調になって、本裁判になった時にどうするか、弁護士の手配・費用は等々、悩みは尽きない。 そこで、台東借地借家人組合へ電話を入れ、最終調停の前日組合事務所を訪ねた。

 組合は、インターネットで国税庁が公表している相続税路線価データを調べ、地代を推定してみた。正確な固定資産税と都市計画税は都税事務所の固定資産課へ行って評価証明書の交付を受けて、それに基づいて計算するのが基本である。 

 住所で調べた路線価は1㎡当り205,000円であった。1坪当りに換算すると676,500円である。国税庁が公表している相続税路線価は国土交通省の地価公示価格の80%に設定されている。

 従って、路線価÷0.8=地価公示価格であるから、推定公示価格845,625円になる。

 固定資産税評価額は公示価格の70%に設定されている。固定資産税評価額=公示価格×0.7

(1)1か月当りの固定資産税=固定資産税評価額(年間)×1/100×1.4(固定資産税率)×1/6(註1)×1/12〈か月)

(2)1か月当りの都市計画税=固定資産税評価額(年間)×1/100×0.3(都市計画税率)×1/3(註1)×1/2(註2))×1/12(か月)

 計算すると、(1)固定資産税と(2)都市計画税の合計は、1か月1坪当り139円となる。

 標準的な地代は(1)(2)の合計の2~3倍といわれている(註3)。例えば2.5倍とすれば、坪当たりの地代は347.5円となり、28坪で9,730円となる。

 地主の要求している23,520円は、かなり高額であると言える。現行でも割高であり、寧ろ値下げを要求すべきである。

 翌日の調停で、森さんは1%の値上げ以外は認められないと確信を持て主張した。地主側も要求額を譲らず、調停は不調に終った。

 しかし、地主側は調停の翌日、森さんの主張(1%の値上げ)を全面的に受け入れると連絡して来た。結局、現行地代の1%の値上げ190円で決着した。

 (註1)軽減措置で200㎡(60坪)以下の場合は、(1)固定資産税は1/6で(2)都市計画税は1/3に減税。200㎡(60坪)以上の場合は、(1)固定資産税は1/3で(2)都市計画税は2/3に減税。

(註2) 都内23区の軽減措置で1/2に減税されている。

(註3) 東京簡易裁判所の調停成立事例では住宅地は3.1倍前後、商業地は2.4倍前後という調査結果がある。

 

 (参考) 最高裁判所事務総局から1991(平成3)年12月付で「民事裁判資料第198号」として「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。それは「各庁の民事調停事件処理要領(案)」(裁判官・書記官用)と「民事調停事件処理要領案」(裁判官・書記官用)の2つである。

 その1つに「民事調停事件処理要領案 (裁判官・書記官用)(東京地方裁判所 管内簡易裁判所」がある。

 そこには「最終合意賃料の公租公課との倍率(地代について)」として「最終合意賃料が公租公課の2~3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」(23頁)と記載されている。

 言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2~3倍の範囲内であれば適正地代と言える。

 

東京・台東借地借家人組合

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