こちらも何年か前に発掘され話題になった1枚。オハイオで1978年に結成されたバンドの、おそらく唯一の作品となる1982年のアルバムです。なんでも結成当初は、リード・ヴォーカルのRon Boustead(ロン・ボーステッド)を除く4人組のフュージョンバンドだったようで、そこに彼らのファンでもあったロンが合流することで形作られたバンドとのこと。そんなこともあり、バンドの音としては全体的にフュージョン色が強めになっています。Bill Radin(ビル・レディン)のギターを大きくフィーチャーしたアルバム中唯一のインストとなるA-5のMidnight At Bentley'sや、高速ブラジリアン・フュージョンでジョン・ヘンドリックスをカバーしたA-3のI'll Bet You Thought I'd Never Find Youあたりがおそらく彼らの真骨頂。自主系AORの流れで発掘されたレコードなのでついAOR的な音を期待してしまいがちですが、元々どちらかというとこの手の音が得意なバンドなのだと思います。AOR~フリーソウル的な観点での注目曲は冒頭A-1のHello。ミディアムテンポの爽快なポップスで、気持ちよく伸びるロンの歌声と軽やかな演奏が気持ちいい佳作に仕上がっています。個人的に気に入っているのはB-2のHeaven。あまり他では聴いたことがないボサノバ系のワルツビートと中盤のエレピソロが非常にお洒落で、午後のリラックスタイムにぴったりな可愛らしいナンバーになっています。昔カフェアプレミディのコンピに選曲されていたタイプの曲が好きな人ならおそらくツボに入るはず。ちなみにこのブログをご覧の方は既にご存知かと思いますが、本作は数年前に韓国でCD化されており、そのタイミングでこっそりと解説付きの日本盤もリリースされていました。アナログは未だそれなりに高価なので、まだ聴いたことがないという方はCDでの購入を検討してみると良いでしょう。先日のパートタイムに引き続き、いわゆるAORな音ではありませんが、良い作品であることに違いはないので、この辺りの音楽が好きな方なら聴いてみる価値の作品かと思います。
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