今から13年ほど前にリリースされた独Compostレーベルの記念すべき1作目。最近クラブジャズに興味を持ち始めた方にはさほど馴染みがないかもしれませんが、Compostと言えば一昔前のシーンでは圧倒的な人気を誇っていた名門レーベルです。特にジャザノヴァ以降の90年代後半におけるクラブジャズを語る上では、決して避けて通ることの出来ない非常に重要な存在。「未来のジャズ=Future Jazz」という概念を提唱し、当時のダンスフロアーで一世を風靡していましたね。このA Forest Mighty Blackは、そんなCompostレーベルの中心人物であるRainer Trübyらによるユニット。おそらくジャザノヴァ以前におけるこのレーベルの看板ユニットは彼らだったのではないでしょうか。その彼らのデビュー作にして代表作がこの12インチ。何と言ってもSide-AAに収録されたFresh In My Mindの人気と知名度が圧倒的です。Tenorio Jr.によるジャズサンバの名曲Nebulosaを効果的に使用したループの魔法。アルバムに収録された高速ドラムン・ベースのヴァージョンも相当格好よいですが、エレガント度という点でこのオリジナルに軍配かな。要所で巧みに挿入されるKitty Kのジャジーなスキャット・ワークも良い感じです。ただ、個人的にはSide-Aのタイトル曲の方がFresh~よりもさらにお気に入り。どこまでもグルーヴィーなベース・ラインに乗る、メロウなフェンダー・ローズの調べが余りにも素晴らしい。さらにはNovi Singersから拝借した爽快な混声コーラスまで加わり、聴いていると何だかいつの間にか幸せな気持ちになってきます。フリーソウル周辺の音楽が好きな人にはこの展開はたまらないはず。初期のモンドグロッソやU.F.O.にも近い雰囲気ですね。最近の日本でのクラブジャズ・シーンは、ニコラ・コンテやTFCQ以降すっかりオーセンティックな傾向にあって、こういう一昔前に流行った打ち込みの曲はおざなりにされてしまいがちですが、そんな中にもやっぱり時を越えて愛すべき曲ってあると思います。ただブームに便乗しただけのツマらない曲が多いのも事実ですが、そんなのいつの時代だって同じことですし…。
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