At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Vagamente / Wanda

2007-05-12 | Brasil
押しも押されぬクラシックなので、今さら紹介するのも気が引けるのですが、なんとなく最近の気分なので紹介。後にブラジル65のヴォーカリストとしても活動することになるワンダ・サー嬢の初リーダー作にして、60年代ブラジルが誇る永遠の金字塔的一枚です。いわゆる「ギター片手に弾き語り」という類の作品ではないので異論はあるかもしれませんが、個人的には本作が醸し出す世界観がボサノバの究極の形。(本来の意味での)ボサノバでオススメのアルバムを一枚挙げるとしたら、僕の場合、真っ先に頭に思い浮かぶのはG/9 Groupと本作でしょう。どちらも主役のヴォーカルもさることながら、それ以上にバックの演奏が非常に素晴らしい作品です。さて、そんな本作においてバックを務めるのは、ストリングス入りのオーケストラを1組含む計4組の別バンド。一枚のアルバムでこれだけ頻繁に演奏陣が変わるのに、全体の雰囲気がしっかりと一つに統一されているのがまず凄いですね。その4組の中で個人的に特に気に入っているのは、ルイス・カルロス・ヴィーニャスとテノーリオ・ジュニオールがリーダーを務める両コンジュント。曲単位ならばM-2のE Vem O SolとM-12のタイトル曲が好きです。前者はルイス、後者はテノーリオが中心となって演奏されるプレイですが、同じピアニスト中心のコンジュントでもリーダーによって微妙に音色に差が出るところが面白いですね。柔らかいタッチでわりと前面に出るルイスに対して、主役の座をホーンに譲りリズム隊に徹する職人気質のテノーリオと言ったところでしょうか。2人の音楽に対する姿勢の違いが伺えます。そう言えば本作は、Os CobrasのO LPやEdison Machadoの1st、それからVictor Assis BrasilによるDesenhosらの作品と並び、テノーリオのプレイが聴ける数少ない盤のうちの一つとしても知られていますね。あくまで裏方に徹しているため、ここに挙げた3作や自身のリーダー作に比べ遥かに地味な演奏ではありますが、ファンならば聴いておいて損はないかと思います。と言うより、それでなくても上にも書いたとおりボサノバ究極の一枚なので、真の音楽好きならば一度は耳を通してみてください。幸せな午後のひと時を約束します。

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1 コメント

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Unknown (boticario)
2010-02-02 00:39:37
これのリイシュー盤が89年だったか90年だったか、大量にレコード店に出回っていました。何と1枚(もちろん新品ですよ)が50円くらいだったので、大量に買って、ブラジルに研修に来ていた青年たちにお土産としてプレゼントしたのを、懐かしく思い出しました。
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