(前回からの続き)
前述のことからアメリカでは、その通貨であるドルが、他国通貨、なかでも「円」に対して高くても安くても、どのみちインフレが激化していくしかありません。それは、こちらの記事に書いたとおり、FRBが利下げ(金融緩和)はもちろん利上げ(同引き締め)してもインフレを抑えられないのと同じことです。だからこそ、実際、上述の金(ゴールド)価格が利上げ開始時の2022年春の時点よりも政策金利5%超の現時点で史上最高値付近にあるわけですが・・・
かくしてドルは「終わりの始まり」すなわち、いよいよ第3コーナーを回って最後のインフレ(価値劣化)一直線コースに入ってきました(?)。そうなってしまったのは、まあ・・・双子の赤字(経常&財政)の拡大を放置し続けてきたアメリカ自身に最大の原因がありますが、他方でそれは・・・ドルに基軸通貨(≒石油交換券)としての価値を与えてきた1970年代初頭からの「石油本位制」、そして・・・それ以上に本質的に強力な、戦後ずっと機能してきた「日本本位制」がドルの信認を裏付け続けた(日本がドルの価値の減価を引き受け続けてきた)からこそ、かの国とドルは上記拡大を放置してきても、ここまで生き永らえてきた、ともいえる面があるわけです・・・
で、これでうまくいっていた?はずなのに、ここにきて「終わりの・・・」になった大きな要因は、やはり「アベノミクス」(日銀現行金融政策開始)以降のわが国の「体たらく」・・・の元凶である「円安」(ドル高)でしょう。これが前述、そして、こちらの記事等に綴ったように、「日本本位制」の対米効力を失わせた、すなわちアメリカ(とFRB)を(ジャパンマネーの対米投資力減少等による)マネー不足(金利上昇圧力増大)に陥らせて「不動産本位制」(不動産等バブルでの錬金術)へと走らせ、もう二度とそれらの価格の下落に耐えられないように―――マネーを刷り続けるしかないように―――導いた、という次第ですね。
以前から指摘しているように、アメリカの「アキレス腱」―――外国に頼らざるを得ない国家的弱点―――は「金利」ですが、「円安」は結果的に、かの国が外国・・・って、ぶっちゃけ唯一の「同盟国」である日本を十分に頼れないようにすることで、その「アキレス腱」を脆弱化させた―――「金利」(インフレ)コントロールを失わせた―――かたちとなりました。そのあたりこそ、もはや「日本本位制」で日本がドル減価という巨大損害を食らい続けるのはゴメンだ!という強い国家的意志のもと、日銀の上記政策の真に秘めた「本当に本当の目的」(アメリカにインフレを起こさせて自壊させること)なのですが(?)、まるでその逆、つまりドル高誘導によるアメリカ&ドルの支援こそがその「本当の目的」であるかのように振る舞っているのが・・・本邦政府&日銀の役者なところなんですけどね・・・(???)