なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

コロナ罹患後の熱中症

2023年08月21日 | Weblog

 8月18日金曜日の午後に熱中症の50歳男性が救急搬入された。救急担当は大学病院の外科医(バイト)だった。コロナ患者さんの熱中症を大学の先生が引き受けたらしい、と内科の別の先生が言っていた。

 8月10日に発熱があり、翌日(祝日)にたぶん当番医だった病院を受診して、コロナ(COVID-19)と診断されていた。5日間の療養期間を経て、8月17日(発症8日目)から仕事に復帰していた。

 仕事は養豚業で、暑い日に行うのは大変そうだ。これまでもっと暑い日でもしていた仕事だが、コロナに罹患して体調は良くなかったそうだ。

 めまいがして、その後全身の筋肉がつって動けなくなった。大量の発汗がある。外科医は外来で1本点滴(酢酸リンゲル)をして帰宅くらいのつもりだったようだ。

 

 救急室に見に行った時には、全身の筋肉のつり(筋けいれん)は軽減していた。点滴の速度を速めて、2本目を追加した。医局に外科医がいたので、あとはこちらで診ますと伝えた。

 点滴が2本目になった時に検査結果が出てきた。赤血球数597万・Hb17.8g.dl・Ht52.3、血清総蛋白9.6g/dl・血清アルブミン5.5g/dlと血液濃縮を認めた。血清クレアチニンは3.05mg/dlと急性腎前性腎不全を呈している。

 これは入院して大量の点滴が必要です、と患者さんに伝えた。コロナの患者さんということで、病棟(看護)師長が救急室に降りてきた。

 発症9日目だが、普通の入院にできない。当然個室入院(個室代免除)だが、看護師さんたちにはN95マスク・ファイスガード・手袋で対応してもらうことにした。それだとさほど手間はかからない。フルPPE(ガウン)まではいらないということにした。

 翌19日には簡易検査だが血清クレアチニンが1mg/dl台まで下がっていた。食事摂取もできる。初日は午後から3000ml入れたが、点滴は半分にして翌日曜日の検査は不要とした。

 週開けの今日(21日)、患者さんはすっかり回復していた。すでに20日で入院の隔離解除になっていた。血清クレアチニンが0.92mg/dlになって、昨年の健診時と同じだった。

 家族が迎えに来るというので、午前中に退院とした。次の日までは休暇の予定にしたそうだ。

 

 2年前の8月にも熱中症で受診していた。その時の血清クレアチニンは2.21mg/dlと上昇していた。当時の常勤外科医が診て、外来で点滴500ml2本を入れて帰宅としていた。1日入院の方が無難だと思うが、経口で十分に水分をとって軽快したのだろう。

 

 

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熱中症

2023年08月20日 | Weblog

 8月17日木曜日の夕方に、34歳男性が職場の同僚に連れて来てもらっていた。午後の救急当番の先生が、その日の当直でもあった。

 大型施設内とその外でしごとをしていた。暑い日だが水分摂取は少なかった。昼頃から調子が悪くなり、休んでいたそうだが、倦怠感や嘔気が回復しないために受診した。

 血圧は147/103mmHgとむしろ高値だった。脈拍数113/分、呼吸数11回/分、酸素飽和度97%(室内気)、体温35.9℃でバイタルとしてはさほど問題がない。

 熱中症として点滴と検査が行われた。(時間外は検査技師不在だが、時間内ぎりぎりの受診だったので、残業して検査してくれた)

 血算は、赤血球624万・Hb19.2・Ht56.7と著明な脱水症だった。血清クレアチニンが2.82mg/dlと急性腎前性腎不全を呈している。

 500mlの点滴6本(酢酸リンゲルを使用していた)が入って、翌18日は赤血球534万・Hb16.1・Ht50,5と前日よりだいぶ改善したが、おそらく普段の値には戻っていないだろう。血清クレアチニンが2.58mg/dlと悪化はしてないので、回復していくと見込まれる。

 受診時はCK296と軽度の上昇だったが、翌日は5485と著明に上昇して、横紋筋融解が起きていた。入院後は下肢のツッパリ感を訴えていたが、翌日には軽減していた。

 翌日の検査で退院も考慮となっていたが、入院・点滴は継続となった。

 

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息子は2階で

2023年08月19日 | Weblog

 8月17日木曜日の午後に90歳女性が救急搬入された。息子(66歳)と二人暮らしをしていた。その日、東京在住の娘が実家を訪れて、1階でぐったりしている母親を発見して救急要請した。

 1週間前に電話をした時は変わりがなかったそうだ。その翌日は電話に出なかったので(息子は以前から、電話が来ても出ない)近所の人に電話して訪問してもらった。室内に悪臭があった(失禁のためだろう)。

 その後、電話には出るが、元気がないというか、様子がおかしかった。それでその日に実家を訪問したという経緯だった。

 

 救急隊到着時、体温が38.0℃あり、心拍数が頻脈気味だったが、それ以外のバイタルは問題なかった。

 救急隊が本人に、息子のことを訊くと、「2階で寝ている」と答えたそうだ。救急隊員が2階に上がって、腐乱の始まった息子の遺体を発見した。救急隊から警察に連絡がいき、後は警察の問題になる。(娘は兄弟の名前を呼んだが、返事がないので、不在だと思って救急隊到着まで1階で母親に付き添っていたのだろう。)

 病院到着時、コロナ・インフルエンザの迅速試験は陰性だった。特に麻痺はなかった。発熱あるいは熱中症(その日はまた気温が上がっていた)による脱水症のように思われる。

 

 脱水症で腎前性腎不全(血清クレアチニン3.05mg/dl)を呈していて、CKが著明に増加(2024)していたので、ずっと横臥していたことによる横紋筋融解が起きている。入院して点滴が継続された。

 

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カテーテル関連血流感染症

2023年08月18日 | 感染症

 現在、当院で提出される血液培養は月10件ちょっととかなり少ない。尿路感染症(急性腎盂腎炎)・胆道感染症・原因不明の発熱での提出もあるが、病棟からだとカテーテル関連血流感染症疑いでの提出になる。

 カテーテル関連血流感染症では基本的にはカテーテル抜去を要する。バイタルが安定していれば血液培養の結果で診断確定してから抜去することもあるが、バイタル不安定では直ちに抜去する。

 コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)以外の菌では原則、カテーテル抜去になる。CNSでは抗菌薬ロック療法でカテーテル温存を試みてもよいらしいが、行ったことはない。

 

 4月13日地域の基幹病院整形外科で大腿骨頸部骨折術後(人工骨頭)に80歳男性が、回復期リハビリ病棟に転院してきた。4月から赴任した整形外科医が担当になっていた。

 ところが4月25日から癒着性腸閉塞(虫垂炎術後)からの嘔吐で誤嚥性肺炎を来した。こうなると整形外科では診られない。一般病棟に転棟して、担当も内科(腎臓内科の若い先生)が担当になった。

 腸閉塞はNGチューブ挿入で保存的に軽快して、誤嚥性肺炎も抗菌薬投与で軽快した。結局経口摂取困難となって、末梢点滴からCVカテーテル挿入(右大腿静脈から)で高カロリー輸液になった。

 しばらく安定していたが、発熱が続き、7月⑪日提出の血液培養2セットからコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococcus caprae)が検出された。バンコマイシン投与で軽快していたが、CVカテーテルはそのままだったので治りきることはなかった。

 8月1日提出の血液培養2セットからまた同じ菌が検出された。CVカテーテルを抜去して、今度は右上腕の静脈からPICCが挿入された。

 腎臓内科の先生はPICCが得意だった。当院では以前に在籍した外科医がもっぱらPICCを行っていたが、どうも固定しにくいセットだったらしい。使いやすいキットを購入したいと周囲の先生方に訊いていたが、他に行う人はいないので、希望のキットを購入して下さいとお伝えした。

 

 PICCはやってみたいと思いながらまだ行ったことはない。認知症の高齢者だと首と上肢を動かしてしまうので、それを抑えて内頸静脈から挿入するのは難しい。上腕だったらなんとか(動くのを)抑えられるかもしれない。

 地域の基幹病院では血液培養の提出が月に100~200件らしい(県庁所在地の専門病院は300件と聞いた)。血液培養の提出件数が病院の診療レベルを表すとされるので、件数を増やす必要がある。

 

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脛骨骨折

2023年08月17日 | Weblog

 8月14日月曜日の当直の時に、自転車に乗っていて転倒した73歳女性が救急搬入された。隣の市内からで、救急隊は左膝関節部の擦過傷程度なので大した事はないと判断したらしい。

 受傷時の様子を訊くと、自転車に乗っていて水溜まりを避けようとして、左側に転倒したそうだ。左膝痛がひどかったが、夢中で自宅まで戻った。

 その後膝が痛くて歩けなくなり、救急要請している。脳梗塞後遺症の夫と二人暮らしで、ご本人は市内の病院に通院している。

 左膝関節は軽度に腫脹して(ぷよぷよしている)、膝蓋骨部に擦過傷があった。単純X線では膝蓋骨も含めて骨折はなさそうに見えた。膝関節に面する部位の正中がちょっとおかしいようには見える。

 その日は夕方からMRIの修理が入っていて、搬入時点では撮像できなかった。下肢の血流障害はないので緊急性はないが、膝関節は痛くてわずかにしか動かせない。入院として、翌日に整形外科で診てもらうことにした。

 別居の娘が持参した薬手帳には、降圧薬・経口血糖降下薬(血糖コントロールは良好)にバイアスピリンの処方もあった。自転車に乗るくらいで、ふだんの日常生活には支障はなさそうだが、ラクナ梗塞でもあるのだろうか。

 翌15日の朝に、整形外科医に入院させている旨をお伝えした。X線を見て、関節内血腫があるといわれた。MRIで精査するという。

 午前中に関節穿刺が行されて、関節液は血性だった。脂肪も混じっている(=骨折)。MRIでは脛骨になかなかの骨折があった。整形外科医に訊くと、単純X線ではわからないという。やはり整形外科診療にはMRIが必須なのだった。

 

 

 解剖は、「図解解剖学事典、いわゆるFeneis」で確認するくらい。学生の時に第1版(1974年発行)を購入したが、数年前に第3版(2013年発行)を再購入した。

図解 解剖学事典 第3版

 

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誤嚥性肺炎軽快後の発熱

2023年08月16日 | Weblog

 多系統萎縮症の76歳男性が、7月9日(日)に誤嚥性肺炎で入院していた。その日日直だった消化器科医が主治医となっている。

 両側肺の背側に浸潤影があり、顕性誤嚥ではないが、普段からムセはあるので誤嚥性肺炎だろう。

 内科当番も置いているが、内科・消化器科として診療してきているので、そのまま担当してくれていた。以前にも誤嚥性肺炎で入院していて、当方も担当したことがある。現在は施設に入所している。

 入院後はゾシン(PIPC/TAZ)で治療を開始して軽快していた。投与期間が5日だったので、ちょっと短いかもしれない。

 7月24日に発熱があり、尿混濁があることから尿路感染症として抗菌薬(チエナムIPMCS)を開始していた。尿培養では感受性良好な大腸菌が検出されている。

 7月29日に発熱があり、セフメタゾール(CMZ)に変更していた。その後、8月4日からミノマイシン(MINO)内服に、8月9日からバクタ(ST合剤)に変更していた。ちょっと迷走している感じがするが、発熱が気になるのだろう。

 入院時のゾシン投与後は炎症反応は陰性化して、その後に微熱があっても検査上は炎症反応は陰性で推移していた。軽微な誤嚥を反映しているのかもしれない。

 37℃台の微熱であれば数日経過をみていいと思われる。高熱になってきたり、炎症反応が上昇してくれば、そこで培養検査を提出して治療を考慮する。

 担当していないので評論家的見方になるが、直接担当していれば、そうもいかないのかもしれない。

 

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大腸菌ESBL

2023年08月15日 | Weblog

 8月8日に病棟の看護師さん(55歳女性)が発熱で発熱外来を受診した。前日から下腹部違和感(左右どちらともいえない)嘔気もあった。下痢はなかった。

 呼吸器症状として咳があるが、これは以前から続いていて、呼吸器外来(大学病院から)で相談していた。咳喘息疑いとして吸入ステロイドで経過をみることになっていた。

 となると呼吸器症状はなく、発熱と前日からの腹部症状ということになる。虫垂切除術と卵巣嚢腫摘出術を受けた既往がある。あるとすれば憩室炎くらいだが、腹部症状に局在性がない。

 発熱外来扱いなので、コロナとインフルエンザの迅速試験から始まるが、どちらも陰性だった。 

 点滴をしてほしいという希望だった。腹部は平坦・軟で圧痛がないが、押されると嘔気が少しするという。その日は点滴とアセトアミノフェンの処方だけ行った。

 翌9日も発熱が続き、外来を受診した。有意な呼吸器症状はなく、やはり右下腹部の違和感と嘔気があった。

 前日に精査すべきだったと思いながら、血液・尿検査と画像検査を行った。白血球数とCRPは軽度に上昇していた。尿は混濁している。特に腸管や肝胆道系には問題がなかった。肺炎もない。

 3年前にも発熱・嘔気・腹部違和感で受診していて、結果的に尿路感染症(急性腎盂腎炎)として外来治療を受けていた。症状はその時と同じだった。除外診断になるが急性腎盂腎炎の症状のようだ。

 入院はしたくないというので、尿培養を提出してセフトリアキソンを外来で点滴静注した。翌日に解熱していればそのまま外来治療で、改善しない時は入院とお話した。

 翌日も高熱があり、食事摂取してないというので、(いやがっていたが)入院してもらうことにした。次の日の10日の午前中まで発熱があったが、その後は解熱して、食事摂取できるようになった。

 放射線科のCT読影レポートでは左腎臓周囲の脂肪織に炎症像がありそうとなっていたが、よくわからない。(そもそも腎臓周囲の毛羽立ちが炎症を反映するかどうかははっきりしていない)

 連休明けの14日月曜日には、退院できますかと訊かれた。血液検査で炎症反応は軽快して、尿所見も改善していた(細菌は陰性)。翌日までセフトリアキソンを入れると1週間投与したことになるので、退院にして抗菌薬内服を出すことにした。

 本人に退院の話をした後で、夕方に尿培養の結果が出てきた。大腸菌ESBLが検出されてきた。検査室の技師さんからも連絡が入った。技師さんも意外だったのだろう。

 大腸菌ESBLにセフトリアキソンは感受性はない。ないが、確かに臨床的には効いている経過だった。尿路系感染だと感受性がない抗菌薬でも大量に尿路系に排出されるので、(臨床的には)効いてしまうことがある。ESBLだと濃度の問題ではないので、不思議ではあるが。

 しかし菌名が判明して感受性が出ると、無視はできない。といっていまさら、メロペネムの点滴静注を開始する気にはならない。ST合剤に感受性があれば使用するが、今回は感受性がなかった。

 プラチナマニュアルによれば「キノロン系は感受性があれば効果がありそうであるが、ESBLsを産生するような腸内細菌は、すでにキノロン系は耐性を有していることが多い。感受性があった場合でも、低レベルの耐性が推定されていて治療失敗の報告がある。」。

 しかし「ブレイクポイントMICが1以下の場合であれば感受性でも信用できない。0.25以下であれば安全かもしれない。」とある。今回LVFXが0.25以下だったので、レボフロキサシンを使用することにした。その日と(退院予定の)次の日に点滴静注にして、その後は経口薬で継続することにした。(再燃すればメロペネム使用)

 外来患者さんの尿培養でESBLs産生菌が検出されることはあるが、大抵は施設入所中の高齢者だった。看護師さんで検出されたのは、職業がらということになるのだろう。

 

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左下肢痛の100歳

2023年08月14日 | Weblog

 8月9日の当直の時、左下肢痛を訴える100歳女性が救急搬入された。4年前に当院の整形外科で左大腿骨骨幹部骨折の手術を受けている。(その後整形外科医は不在となり、また今年4月から再開)

 それまでは杖歩行はなんとかできていたそうだが、4日前から左下肢痛で歩行できなくなった。日中に整形外科を受診してもらうのがいいが、その日に思い立ったのだろう。

 左股関節部と左膝が痛い、という訴えだった。転倒したというエピソードはない。明らかな圧痛はなかった。骨盤・大腿骨近位・膝関節のX線を行ったが、明らかな骨折はないようだ。

 高血圧症で治療しているが、血圧が90~118で低めになっていた。ジクロフェナク座薬を使いにくいので、アセリオ注を入れると、症状が少し軽快した。自分で左膝を曲げ伸ばししていた。

 起き上がれるかというと(体重が多いのもあり)体動困難で、家族は連れて帰るのは大変という。外来のベットで朝まで待機してもらって、整形外科外来受診とした。

 

 朝医局にいた整形外科医に事情をお話した。X線を見て、髄内釘の遠位部に損傷(ヒビ)があるといわれたが、それによる症状ではない。

 外来で精査します、ということだった。腰椎と骨盤~大腿部のMRI検査が行われた。第3腰椎に新鮮な圧迫骨折があり、L3/4・L4/5・L5/S1の脊柱管狭窄がある、と診断された。

 左下肢痛はL3の神経根痛と判断された。あくまで短期間の入院になります、と家族に説明されて、整形外科で入院になった。(動きが悪いと、ずっと病院に置いて下さいとなる)

 

 以前の整形外科医は四肢の外傷が得意だったが、脊椎の手術はしていなかった。今回来られた整形外科医は脊椎外科を専門としている。

 

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胃癌・肝転移

2023年08月13日 | Weblog

 7月31日の夜間に発熱・ふらつきで83歳男性が救急外来に搬入された。当直は整形外科医だった。

 コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。5月にコロナ(COVID-19)に罹患した既往がある。高齢者なので院内に入ってもらって、検査を行っていた。

 血液検査(試験紙の簡易検査)で白血球7800・CRP0.2と炎症反応は陰性だった。肝機能も問題なかったが、その他の検査項目は器械故障で出なかったので、数値が出た検査の参考値相当と判断されている。

 胸腹部CTで肺炎はなかった。肝臓内に低濃度巣が散在しているように見えるが、息止め不十分もありはっきりとはしない。

 発熱の原因は感冒とされて、アセトアミノフェンが処方された。外来で肝臓は調べた方が、とはお話していたようだ。

 

 8月8日の昼近くに発熱でまた受診した。当方の午前中の救急当番が終わるころだった。前回のCTを見ると、腫瘍か膿瘍が多発しているように見える。胃の噴門部に腫瘤が疑われた。胃癌・肝転移だろうか。

 造影CTを行うと、肝内に多発性に転移巣を認めた。そして胃の噴門部には腫瘤がある。

 症状を家族にも伝えていなかったが、飲み込んだ後につかえるような感じがあるという。発熱もあったが、食事摂取量が低下して、ADLも低下したので家族が連れてきたのだった。

 8月10日に上部消化管内視鏡検査を入れた。消化器科医が行う検査をいっしょに見ていた。胃の噴門部に1型進行癌を認めた。接触だけでもoozingがある。生検3個を採取して、其の後さすがにトロンビンを噴霧していた。

 生検の結果を2週間後に聞きにきてもらうことにした(盆休みで検査結果が遅れる時期)。治療は難しいと思われるが、希望があればがんセンターに紹介します、と家族に伝えた。(高次医療機関で判断されないと、当院の説明だけでは納得されないことがあるため)

 

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熱中症のような

2023年08月12日 | Weblog

 水曜日の当直の時、大汗をかいて服がびしょびしょになった患者さんが救急搬入された。

 

 統合失調症で精神科病院に通院している62歳男性は、その日の朝から倦怠感・食欲不振があった。夕方になって体動困難になって救急要請した。両親が亡くなった広い実家(8室)にひとりで生活していて、エアコンはあるらしい。

 搬入時血圧が92/71mmHgと低下して、脈拍は110台/分だった。発汗多量でTシャツがびしょびしょになっている。意識は清明で会話は可能だった。 

 脱水症になっているようで、輸液(乳酸リンゲル)を早めに入れると、血圧100ちょっとになってきた。検査では血清カリウムが2.9と低下して、CKが500と軽度に上昇している。

 胸部X線・心電図は異常がなく、血液検査他の項目は問題なく炎症反応は陰性だった。点滴をKの入った3号輸液で継続したが、乳酸リンゲルにカリウム製剤を混合する方が良かったかもしれない。

 入院して点滴を継続すると、翌朝にはトイレ歩行となり、朝食も全量摂取できていた。血清K、CKも軽快してきていた。一人暮らしなので週明け(3連休になる)まで入院で経過をみることにした。向精神薬の副作用ではないようだ。

 

 午前0時半ごろに、74歳女性が救急搬入された。午後10時までエアコンをつけていたが、寝る時はエアコンを止めていた。扇風機だけにして、窓を開けて自然の風が入るようにしているという。

 搬入時は発汗多量で服(パジャマ)も髪の毛もびしょびしょだった。看護師さんがストレッチャー上で病衣に着替えさせた。特に疼痛もなく、普通に会話もできる。朝まで点滴で経過をみることにした。

 朝には良くなっていて、トイレに歩行できる。搬入について来ていた息子さんには、朝まで病院で預かって連絡すると伝えていた。

 息子さんに来てもらって、病院の売店で軽食を買ってきてもらうと普通に飲食できたので、帰宅とした。

 

 一番ひどい時よりはましかもしれないが、まだまだ暑いのだった。

 

 

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